オタク気質が災いしてお妃候補になりました
5-1 古書
社交界デビューが滞りなく行われ、アリーシアに大きな変化があったかと言えば、大きな変化はなかった。印刷の仕事として、民衆にエドワードのお披露目の儀式の様子をニュースとして知らせる紙の受注が入った。王国から頼まれた大きな仕事である。印刷工房はもちろん、生産が間に合わなく、ほかの工房からも人員を頼んでの作業が始まった。テト達も、アトリエAの作業はいったん休みにして印刷工房へ手伝いにいくことになった。
アリーシアは印刷の原案をみたのだが、アリーシアも記事に出ていた。金髪の青い目の侯爵令嬢が社交界デビューと。そしてアリーシアという名前が公になった。アリーシアという名前は、それほど珍しくもないみたいだが、特徴が似ている。これでアリーシアを侯爵令嬢のアリーシアと決めつけもできるわけではないが、やはりどこから情報が出ているかわからないので、外出も慎重にならなくてはと考えた。
今までも自由に外に出られるわけではなかったが、もう貴族の間では顔が割れてしまっている。安易な行動で誰が見ているかわからないので、より一層行動には気をつけなければ、変な噂をされたら侯爵家の名誉にかかわる。堅苦しい世界だけれども、貴族の世界はせまい世界だけに、流言はすぐ広まるようだ。
アリーシアはアトリエAでの新しい仕事について考えていた。テトの仕事が落ち着いたら、いくつかしたいことがある。それはマンガを作ることだ。
以前、アリーシアが4コマ漫画を描いたことにより、テトは新しい絵の表現方法に興味を示した。テトは何か漫画を作って作品として完成させてはどうか?と提案してきた。テトも忙しいので、どんな作品で、どんな風に作品を作っていけばいいのかということについては、アリーシアがもっと考えなくてはと思った。
この世界で漫画の存在を知っているのは、もしかしたらアリーシアだけかもしれない。
「さあ、今日も書物庫に行きましょうか」
アリーシアはこの世界が、自分のいた前世とどう違う世界なのかはわからない。異世界だとは思っているが、特にファンタジーのように魔法を使える人などを聞いたことがない。現在聞いた限りは、人外といわれるような、生物も確認されていない。アリーシアが住む国も、どの国に対しても国交を広げているわけではない。隣国に行けば、もっと世界の事情を知ることが可能かもしれないと思った。
アリーシアが考えたのは、アランと同じ学校へ通うことも考え始めた。寄宿舎は男女別にあるが、学校は男女一緒に学ぶ科目もあるようだ。アリーシアは16歳になったら、寄宿舎へ行こうかと考え始めた。
そう考えたのは兄・アランの存在が大きい。アトリエAにしても、アランは学校で様々なことを学び、より実社会で応用できることを体験できていると聞いた。
アリーシアがより深くオタク活動をして、もっと前世のように楽しみたい。この世界でそれを実現するには、もっと学んだ方がいいのかもしれないと考えたのだ。
絵本を作って思った。
ないものは作ってしまえば良い。
幸いなことに、資金もあり、それを実現できる環境が整っている。そして家族もやりたいことはほぼ賛成してくれる。なんて幸運であるのか。足りていないといえば、アリーシアの自身の能力だと言って良い。そして自分の頭にあるものを、目の前に実現する手段や能力を磨き、育てていけばいいのではないかと思った。
アリーシアが考えたのは、過去に自分と同じ事を考えた人がいないかということだった。家の書物庫には、この国建国以来の蔵書が眠っている。アリーシアは時間があれば、書物庫で本を読んでいることが多くなった。
アリーシアは端から書物を読むことにした。まるで学校へ行く前の兄のように、時間があったら本を読んでいるアリーシア。体なまってしまいアポロの剣術に付き合い、また書庫へ行く。アポロもアリーシアにならって本を読んでいることが以前より多くなった。
そうした日々を過ごしていると、忙しいはずのテトが屋敷へ訪れた。
実はレインから貴重な書物を預かったらしい。実はレインは実家を出て、マリアの経営する孤児院へ借り住まいをしている。テトは孤児院へ視察がてら、絵本のメンテナンスへ行ったという。そこでマリアとレインがある本を読んでいた。それを見たテトはアリーシアへその本を見せたいと頼んだそうだ。
「テト……………これって、漫画だわ」
「そうです。アリーシア様からうかがって、読んでみたいと思っていたのですが。そうしたらレインさんが持っていたのです。レインさんのお父様の秘蔵の書らしく。遠い異国の地で発見された、古書だそうです。」
「…………古書。とっても古い。でも、印刷技術は素晴らしい。いつの時代でしょう」
「わかりません。レインさんのお父様いわく、ある古代文明の王家の墓に大事に保存されていたらしいのです」
「そうなの」
アリーシアは漫画しか考えられないと思った。遙か昔、それはアリーシアが前世生きた時代かもしれない。もしくはこの世界でもアリーシアの前世レベルと同じ文明発展をした時代があったのかもしれない。だが、アリーシアの考えたことは憶測でしかない。
「アリーシア様のおっしゃっていた漫画が実際見ることができ、これを作品にしたいと思っています」
「この本はどうするの? 」
「レインさんにお返しします」
「ええ、貴重な本ですから。大切にとお伝えください」
「はい」
アリーシアはいろんな思いがあった。漫画を知ったことにより、前世のつながりのようなものを感じた。しかしそのつながりはとっくの昔である。自分の前世ははるかに遠いところになってしまったのだと。それを本を見て、まざまざと感じてしまった。この世界に生まれて、ある程度生きてきて、前世には戻れないとはわかっていたが、寂しい思いが出てきた。
だがアリーシアは希望もあった。この世界でも漫画が作れる、ということは漫画が読めるのだ。アリーシアの当初の野望のオタク活動をすることは、着々と進行している。
わずかに残る悲しい思いを振り払って、書庫に戻り、漫画についての記述がある本を探すことを続けた。
アリーシアは印刷の原案をみたのだが、アリーシアも記事に出ていた。金髪の青い目の侯爵令嬢が社交界デビューと。そしてアリーシアという名前が公になった。アリーシアという名前は、それほど珍しくもないみたいだが、特徴が似ている。これでアリーシアを侯爵令嬢のアリーシアと決めつけもできるわけではないが、やはりどこから情報が出ているかわからないので、外出も慎重にならなくてはと考えた。
今までも自由に外に出られるわけではなかったが、もう貴族の間では顔が割れてしまっている。安易な行動で誰が見ているかわからないので、より一層行動には気をつけなければ、変な噂をされたら侯爵家の名誉にかかわる。堅苦しい世界だけれども、貴族の世界はせまい世界だけに、流言はすぐ広まるようだ。
アリーシアはアトリエAでの新しい仕事について考えていた。テトの仕事が落ち着いたら、いくつかしたいことがある。それはマンガを作ることだ。
以前、アリーシアが4コマ漫画を描いたことにより、テトは新しい絵の表現方法に興味を示した。テトは何か漫画を作って作品として完成させてはどうか?と提案してきた。テトも忙しいので、どんな作品で、どんな風に作品を作っていけばいいのかということについては、アリーシアがもっと考えなくてはと思った。
この世界で漫画の存在を知っているのは、もしかしたらアリーシアだけかもしれない。
「さあ、今日も書物庫に行きましょうか」
アリーシアはこの世界が、自分のいた前世とどう違う世界なのかはわからない。異世界だとは思っているが、特にファンタジーのように魔法を使える人などを聞いたことがない。現在聞いた限りは、人外といわれるような、生物も確認されていない。アリーシアが住む国も、どの国に対しても国交を広げているわけではない。隣国に行けば、もっと世界の事情を知ることが可能かもしれないと思った。
アリーシアが考えたのは、アランと同じ学校へ通うことも考え始めた。寄宿舎は男女別にあるが、学校は男女一緒に学ぶ科目もあるようだ。アリーシアは16歳になったら、寄宿舎へ行こうかと考え始めた。
そう考えたのは兄・アランの存在が大きい。アトリエAにしても、アランは学校で様々なことを学び、より実社会で応用できることを体験できていると聞いた。
アリーシアがより深くオタク活動をして、もっと前世のように楽しみたい。この世界でそれを実現するには、もっと学んだ方がいいのかもしれないと考えたのだ。
絵本を作って思った。
ないものは作ってしまえば良い。
幸いなことに、資金もあり、それを実現できる環境が整っている。そして家族もやりたいことはほぼ賛成してくれる。なんて幸運であるのか。足りていないといえば、アリーシアの自身の能力だと言って良い。そして自分の頭にあるものを、目の前に実現する手段や能力を磨き、育てていけばいいのではないかと思った。
アリーシアが考えたのは、過去に自分と同じ事を考えた人がいないかということだった。家の書物庫には、この国建国以来の蔵書が眠っている。アリーシアは時間があれば、書物庫で本を読んでいることが多くなった。
アリーシアは端から書物を読むことにした。まるで学校へ行く前の兄のように、時間があったら本を読んでいるアリーシア。体なまってしまいアポロの剣術に付き合い、また書庫へ行く。アポロもアリーシアにならって本を読んでいることが以前より多くなった。
そうした日々を過ごしていると、忙しいはずのテトが屋敷へ訪れた。
実はレインから貴重な書物を預かったらしい。実はレインは実家を出て、マリアの経営する孤児院へ借り住まいをしている。テトは孤児院へ視察がてら、絵本のメンテナンスへ行ったという。そこでマリアとレインがある本を読んでいた。それを見たテトはアリーシアへその本を見せたいと頼んだそうだ。
「テト……………これって、漫画だわ」
「そうです。アリーシア様からうかがって、読んでみたいと思っていたのですが。そうしたらレインさんが持っていたのです。レインさんのお父様の秘蔵の書らしく。遠い異国の地で発見された、古書だそうです。」
「…………古書。とっても古い。でも、印刷技術は素晴らしい。いつの時代でしょう」
「わかりません。レインさんのお父様いわく、ある古代文明の王家の墓に大事に保存されていたらしいのです」
「そうなの」
アリーシアは漫画しか考えられないと思った。遙か昔、それはアリーシアが前世生きた時代かもしれない。もしくはこの世界でもアリーシアの前世レベルと同じ文明発展をした時代があったのかもしれない。だが、アリーシアの考えたことは憶測でしかない。
「アリーシア様のおっしゃっていた漫画が実際見ることができ、これを作品にしたいと思っています」
「この本はどうするの? 」
「レインさんにお返しします」
「ええ、貴重な本ですから。大切にとお伝えください」
「はい」
アリーシアはいろんな思いがあった。漫画を知ったことにより、前世のつながりのようなものを感じた。しかしそのつながりはとっくの昔である。自分の前世ははるかに遠いところになってしまったのだと。それを本を見て、まざまざと感じてしまった。この世界に生まれて、ある程度生きてきて、前世には戻れないとはわかっていたが、寂しい思いが出てきた。
だがアリーシアは希望もあった。この世界でも漫画が作れる、ということは漫画が読めるのだ。アリーシアの当初の野望のオタク活動をすることは、着々と進行している。
わずかに残る悲しい思いを振り払って、書庫に戻り、漫画についての記述がある本を探すことを続けた。
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