神眼の転生者
第18話「勇者偵察、敵国漫遊」
アリア出発から10日が経過し、俺とリオンは目的地であるプライディアに到着した。
今回ここに訪れた目的は偵察だ。入国審査の時には観光しに来たと言ってある。本当だ、観光もするつもりだったからな。
「とりあえず……昼食だな」
「はい……」
歩き詰めの10日間だったから、久々に店での食事がしたい気分だ。
「ごちそうさま……と」
「おいしかったです」
「ああ、久しぶりのまともな食事だったな。……俺も全部終わったらどこかに腰を落ち着けようかな……」
「そういえば、マコトさんって何のために旅を?」
「ああ、それはだな……」
そんな話をしばらくしてから店を出た。その後は先に拠点となる宿を取ることにした。
今回は普通の宿、冒険者御用達と言ったところか。そのため特筆すべき特徴は無し、部屋はリオンと隣同士の部屋を取ることになった。
「それじゃあリオン、俺はこれから勇者達がいると思われる場所に偵察をしに行ってくる。夕食前には帰ってくるつもりだからゆっくり休んでてくれ」
「わかりました。私が心配してもしょうがないですけど、気をつけて行ってきてくださいね」
「了解だ、それじゃまた後で」
さて、それでは……
(ウィズさん、勇者達は何処にいるのでしょうか、お力添えを……)
《…………》
(ごめんってウィズぅ……頼むよ……何でもするから……)
《ほう、今何でもすると言いましたね、マスター》
(……はい、出来ることなら何でもやります)
《マスターは、話しかけるようにとお願いしても忘れてしまうみたいですので、私が話し掛けたらすぐ答えるようにしてください》
(可能な状況なら。それで許してくれますか……)
《まあいいでしょう。騎士訓練場にいるみたいです、行きましょう》
「よーっし、出発だな」
視界にマップを表示、ウィズに目的地とルートを設定してもらい、訓練場に向かった。
「……着いたな。さて、どう入ろうかな」
《暗殺者にスイッチして隠蔽を使用すればいいかと》
「決まりだな、『スイッチ』っと」
モードが変わると同時に『隠蔽』を有効化し、正門に堂々と足を運んだ。建物の中はいくつか分岐した道があったがご丁寧に見張りの付いた道があったのでそちらへ向かう事にした。
(おうおう、沢山いるな……)
通路を進んだ先に広い訓練場が見え、そこでは今まさに訓練をしてるであろう日本人の集団がいた。
(やっぱりクラス召喚かよ……って……ん?)
見覚えのある顔が見えた。
はいはいはい……マジですか。
この世界の一国プライディアにクラス召喚された勇者達。その正体は──────
─────俺のクラスメイトだった。
(無いわ……超ないわ……えぇ……)
《マスター?どうされました?》
(ああウィズ……あいつら、俺の同郷どころか、所属していた組織の同窓だ……)
《ほぅ……奇異なモノですね。そういう事もあるのですか》
(しかもさ……クリムベルと話した時から分かってたけどさ……心理隷属状態だ……クソ過ぎる……何でいるんだよお前ら……)
《召喚されたからでしょうが……何故マスターだけ別に……?》
(え?…………あーうん、俺あの日早退したんだった。ゲームしたくて我慢出来なくて。つまりあん時サボってなかったら俺もあいつらの仲間入りだったわけだ。どちらにしろ死んだわけだが)
《それでマスター、敵の正体がわかったところで……どうしますか》
まあそりゃ答えは決まってる、俺は勇者が起こす戦争を止めに来たんだからな。クラスメイトだろうが知った事ではない。まあ無為に殺すつもりもないしやりようはあるだろ。
とりあえず今のあいつらのステータスも確認したし一回帰るか。
「そういう訳で、勇者は知り合いだったわ」
「いやいやいや?!どういうわけです!?」
「そりゃまあ、召喚されたのが俺の知り合いだったってだけだよ、同じ所に属してたわけだ。」
「えぇ……じゃあ、マコトさんも勇者なんじゃ……?」
確かに、そうなる可能性もあったな。さてさて……
「とりあえず今日は休むか、明日改めて観光しような」
「あ、はい。わかりました……?」
俺とリオンは夕飯を頂いてたっぷりと惰眠を貪ることにした。
翌日、俺とリオンは朝食を食べた後、町に繰り出した。
「街中は案外平和なもんだな、もう少しピリピリしてるイメージだった」
「私だって、戦争が起きるって聞かされても実感はそんなに無いですけど……ここの人もそうなんじゃないですか?」
「そんなもんかね、まあ空気が荒れてないならその分、行動もしやすいから助かるしいいんだがね」
「そうですね。でも、あんまり無茶はしないで下さいね?昨日も言いましたが、私じゃマコトさんの力には及ばないですけど、やっぱり心配はしてしまいます」
「ありがとさん、気を付けるよ。……なんか見たいところあるか?」
 「観光、でしたっけ。それなら……」
その日は2人でプライディアを観光し、ついでに戦争に向けてちょっとした仕掛けをしつつ1日を終えた。
明日は勇者達の方に張り込みだな。
日も中天に昇るお昼時、勇者達は午前の訓練を終えて休憩に入った。どうやら午後からは実戦訓練……ダンジョンに行くらしい。何故古代から存在するダンジョンの上に国を建てたのか当時の人の正気を疑うがとにかく国が管理するダンジョンがあるらしく、そこでの訓練との事だ。
「ウィズ、隠蔽状態はダンジョンでも有効に働くと思うか?」
《問題ないでしょう、先程までの監視中もバレる様子は無かったので監視に徹すれば見つかる事はないと思われます》
「……りょーかい、さんきゅー」
と、いう訳で勇者達の背を追い俺自身もダンジョンへと向かうのだった。
今回ここに訪れた目的は偵察だ。入国審査の時には観光しに来たと言ってある。本当だ、観光もするつもりだったからな。
「とりあえず……昼食だな」
「はい……」
歩き詰めの10日間だったから、久々に店での食事がしたい気分だ。
「ごちそうさま……と」
「おいしかったです」
「ああ、久しぶりのまともな食事だったな。……俺も全部終わったらどこかに腰を落ち着けようかな……」
「そういえば、マコトさんって何のために旅を?」
「ああ、それはだな……」
そんな話をしばらくしてから店を出た。その後は先に拠点となる宿を取ることにした。
今回は普通の宿、冒険者御用達と言ったところか。そのため特筆すべき特徴は無し、部屋はリオンと隣同士の部屋を取ることになった。
「それじゃあリオン、俺はこれから勇者達がいると思われる場所に偵察をしに行ってくる。夕食前には帰ってくるつもりだからゆっくり休んでてくれ」
「わかりました。私が心配してもしょうがないですけど、気をつけて行ってきてくださいね」
「了解だ、それじゃまた後で」
さて、それでは……
(ウィズさん、勇者達は何処にいるのでしょうか、お力添えを……)
《…………》
(ごめんってウィズぅ……頼むよ……何でもするから……)
《ほう、今何でもすると言いましたね、マスター》
(……はい、出来ることなら何でもやります)
《マスターは、話しかけるようにとお願いしても忘れてしまうみたいですので、私が話し掛けたらすぐ答えるようにしてください》
(可能な状況なら。それで許してくれますか……)
《まあいいでしょう。騎士訓練場にいるみたいです、行きましょう》
「よーっし、出発だな」
視界にマップを表示、ウィズに目的地とルートを設定してもらい、訓練場に向かった。
「……着いたな。さて、どう入ろうかな」
《暗殺者にスイッチして隠蔽を使用すればいいかと》
「決まりだな、『スイッチ』っと」
モードが変わると同時に『隠蔽』を有効化し、正門に堂々と足を運んだ。建物の中はいくつか分岐した道があったがご丁寧に見張りの付いた道があったのでそちらへ向かう事にした。
(おうおう、沢山いるな……)
通路を進んだ先に広い訓練場が見え、そこでは今まさに訓練をしてるであろう日本人の集団がいた。
(やっぱりクラス召喚かよ……って……ん?)
見覚えのある顔が見えた。
はいはいはい……マジですか。
この世界の一国プライディアにクラス召喚された勇者達。その正体は──────
─────俺のクラスメイトだった。
(無いわ……超ないわ……えぇ……)
《マスター?どうされました?》
(ああウィズ……あいつら、俺の同郷どころか、所属していた組織の同窓だ……)
《ほぅ……奇異なモノですね。そういう事もあるのですか》
(しかもさ……クリムベルと話した時から分かってたけどさ……心理隷属状態だ……クソ過ぎる……何でいるんだよお前ら……)
《召喚されたからでしょうが……何故マスターだけ別に……?》
(え?…………あーうん、俺あの日早退したんだった。ゲームしたくて我慢出来なくて。つまりあん時サボってなかったら俺もあいつらの仲間入りだったわけだ。どちらにしろ死んだわけだが)
《それでマスター、敵の正体がわかったところで……どうしますか》
まあそりゃ答えは決まってる、俺は勇者が起こす戦争を止めに来たんだからな。クラスメイトだろうが知った事ではない。まあ無為に殺すつもりもないしやりようはあるだろ。
とりあえず今のあいつらのステータスも確認したし一回帰るか。
「そういう訳で、勇者は知り合いだったわ」
「いやいやいや?!どういうわけです!?」
「そりゃまあ、召喚されたのが俺の知り合いだったってだけだよ、同じ所に属してたわけだ。」
「えぇ……じゃあ、マコトさんも勇者なんじゃ……?」
確かに、そうなる可能性もあったな。さてさて……
「とりあえず今日は休むか、明日改めて観光しような」
「あ、はい。わかりました……?」
俺とリオンは夕飯を頂いてたっぷりと惰眠を貪ることにした。
翌日、俺とリオンは朝食を食べた後、町に繰り出した。
「街中は案外平和なもんだな、もう少しピリピリしてるイメージだった」
「私だって、戦争が起きるって聞かされても実感はそんなに無いですけど……ここの人もそうなんじゃないですか?」
「そんなもんかね、まあ空気が荒れてないならその分、行動もしやすいから助かるしいいんだがね」
「そうですね。でも、あんまり無茶はしないで下さいね?昨日も言いましたが、私じゃマコトさんの力には及ばないですけど、やっぱり心配はしてしまいます」
「ありがとさん、気を付けるよ。……なんか見たいところあるか?」
 「観光、でしたっけ。それなら……」
その日は2人でプライディアを観光し、ついでに戦争に向けてちょっとした仕掛けをしつつ1日を終えた。
明日は勇者達の方に張り込みだな。
日も中天に昇るお昼時、勇者達は午前の訓練を終えて休憩に入った。どうやら午後からは実戦訓練……ダンジョンに行くらしい。何故古代から存在するダンジョンの上に国を建てたのか当時の人の正気を疑うがとにかく国が管理するダンジョンがあるらしく、そこでの訓練との事だ。
「ウィズ、隠蔽状態はダンジョンでも有効に働くと思うか?」
《問題ないでしょう、先程までの監視中もバレる様子は無かったので監視に徹すれば見つかる事はないと思われます》
「……りょーかい、さんきゅー」
と、いう訳で勇者達の背を追い俺自身もダンジョンへと向かうのだった。
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