話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

先生転生~魔法の言葉は金平糖~

ぽん

つとめて出発せん

「うぉえ…もう無理…吐きそう…」

絶賛、後悔中です。


一時間前、一歩も出ることを許されなかった王城を出ると、目の前に黒い馬車が止まっていた。

そばには執事服を着た青年が立っており、一行を見ると一礼。

「こちらの馬車は皇女様から皆様への贈り物でございます。中には旅に必要な道具、少しばかりではありますが旅費などが取り揃えてあります。あなた方の旅がせめて少しでも楽しいものになるように…と皇女様自ら用意なさっていました。…皇女様から伝わっておられませんでしたか?」

初耳だ。

中里はばつが悪そうに頭を掻き、隠すように早足で馬車に近づき中を確認し出す。

調理道具や寝袋、ロープ、タオル、ありとあらゆる道具が揃っている上、7人入れるだけの広さもある。

中里が見る限り、完璧である。

「ところで御者はいないんですか?」

唯一足りない…そう、御者だ。
永峰の至極もっともな問いに男は首を傾げる。

「もしや馬車を引く経験がないのですか?」

あるわけねぇだろ。
心で悪態をついてしまうほどにはあちらの世界の常識とかけ離れた話だ。

「…で、では乗馬の経験は…」

執事が酷く焦ったところで助け船がでた。

「乗馬くらいなら昔習っていたが…」

ファインプレー・朽木、前回に引き続き、救いの女神!…女神?

「それなら問題ありません、多分」

なんだか不穏な響き…。
しかし執事はこれ以上は関わってられない様子で無理やりに転生者様御一行おっさん達を馬車に詰め込む。

最後に朽木が手綱を握ったのを確認して執事。

「それでは、よい旅を!」

某ネズミの国を思わせる軽快な調子で手を振る。

最早どうにでもなれ。彼らの率直な感想である。

乗馬とはまた違った動きに困惑しつつ馬車は進む。
たどたどしい手つきは誰がどう見ても“こりゃダメだ、事故って死ぬ”。

しかし馬は利口な生き物である。
或いはそう教えこまれたのか。

なんとかして町を抜け出すことが出来た。

進むにつれ馬車は安定していく。
なんとか事故らずに済んだらしい、と彼らは胸を撫で下ろした。

朽木の親父に感謝しなくては。

だがしかし、悲劇とは突然やって来るものである。

町から離れるにつれて道は荒れていく。
馬車は石を轢いて跳ね上がるわガタガタと上下左右に揺れるわでおよそ乗り心地の良いものではない。

このことから想定できる悲劇とはなにか、勘の良い方ならお分かりではなかろうか。

さぁ冒頭部分に戻ろう!

「うぉえ…もう無理…吐きそう…」

馬車酔いである。

「先生転生~魔法の言葉は金平糖~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く