デッド ヴァンガード

ザクキャノン

第1章4話 脱出

    飛鳥町で住人が凶暴化して他人を襲う事件が勃発して警察機能が麻痺してからニュ
ーロード社が送り込んだ証拠隠滅部隊は民間用に紛らわしたヘリコプターからロープで降下してあらゆる地点に展開した。
    警察特殊部隊SATの隊員は相変わらず住宅地で凶暴感染者と交戦をしており被害が出ている。
   末安と白田はなんとか生存者を安全地帯に避難させた後、和式一軒家が多い住宅地に向かった。
   「待て!例の黒SUVが停まっている。」
   末安は白田に言った。
   「奴を奇襲して尋問でもするか?」
   白田はは末安に指示をあおった。
   「そうしよう。」
   末安は承諾してショットガンに弾を装填した。
   黒塗りのSUVは動く気配が無い。
   末安はショットガンを構えて白田はハンドガンを構えて近づく。黒塗りのSUVの中にいるドライバーと助手席の男は居眠りしており警戒心が打ち解けた感じであった。
   末安はウインドウを蹴って起こした。
   男は目を覚ます。目の前にはショットガンを構えた末安とハンドガンを構えた白田の姿が目に映った。
    白田がハンドガンを空に発砲すると男は慌ててSUVから降りた。
    男は黒の背広を着ており、いかにも怪しい姿だった。
   「何者で何の目的でここに来たか教えてもらおう。」
   末安はシャットガンのポンプを引いて脅しを入れた。
   「どうせここで死ぬんだから言おう。俺とこいつはニューロード社の調査員で飛鳥町の精神病院の地下施設から凶暴化した奴らが逃げ出したからそれらを調べるために来た。」
   背広の男はあっさり答えた。
   「なるほど…どうして奴らが発生した。」
   末安は尋問を始めた。
   「俺らの会社はNMLウイルスという狂犬病と狂牛病をコラボしたようなウイルスを開発していた。症状はだいたい察しがつくはずだ。俺たちは違法であることは分かっていた。たが反論したり不服申し立てをすれば命の保証はない。俺が仲よかった仲間も告発を試みて消息不明になっている!」
   背広の男は説明した。
   「ならば人生をやり直すチャンスをやる。どうせ銃火器を隠し持ってあるんだろうからそれを武器に一緒に調査しながら脱出を目指すぞ。」
   白田は協力するように求めた。
   「分かった。俺と相棒を殺したければいつでも殺していい。ただ注意してくれ。ニ
ューロード社の野郎が証拠隠滅部隊を送っている。奴はこの事件を知っている奴らを消すつもりだ。女や子供であろうと平気で殺す連中だ。心して挑んだ方が良い!」
   背広の男は真剣な表情で言った。
   背広の男を運転手にして4人はSUVに乗った。小さな町役場に行くとナイフとサブマシンガン、弓矢を持った全身黒の忍者風に近い服を着た者たちが凶暴感染者を始末している。
    「奴だ。ニューロード社が送り込んだ私兵集団だ。特殊な運動能力や忍術で任務を遂行する部隊で俺らや事件に関わった者、遭遇した者を証拠隠滅のために暗殺するための役割を果たしている。」
   背広の男は末安と白田に言った。
   「迂闊に近寄らない方が良さそうだな…」
   末安は皮肉そうに言った。
   証拠隠滅部隊は小刀で凶暴感染者の首を斬りつけて手裏剣で頭を確実に当てて仕留める。
   4人は裏口から回って証拠隠滅部隊に見つからないように移動して行った。背広の男の相棒が倒れた。振り向くと手裏剣で目と眉間をやられて死んでいた。
   「クソ!仲間であるはずの俺らでさえ御構い無しかよ!」
   背広の男は隠し持っていた拳銃を出して応戦した。
   証拠隠滅部隊は優れた運動神経で側転したりバク宙して逃げる。末安は側転で着地したら忍者風の敵をハンドガンで仕留めた。
   黒い烏マスクのような防護マスクにゴーグルをつけており、とてつもなく運動神経が優れている。凶暴感染者を盾にしながらサブマシンガンを撃ってきた。末安と白田と背広男はすぐに隠れた。
    証拠隠滅部隊は前転してまたハンドガンやサブマシンガンで撃ってくる。
   「小賢しい野郎だ。死ねえ!」
   白田がハンドガンを何発か撃ち続ける。
   証拠隠滅部隊は起き上がると同時に全身に弾丸を浴びてそのまま倒れ込んだ。銃撃は止んで静けさが漂う。
   「どうやら奴も懲りたようだな。」
   背広の男は起き上がった。
   3人は町役場の中に入った。町役場の中は受付の男性が無残な有様で死んでおり白いシャツが赤く染まっている状態だった。
    凶暴感染者となった警備員が警棒を持ったまま近寄ってくる。背広の男がハンドガンを頭に照準合わせて撃ち込んだ。警備員は眉間に弾丸を喰らって後ろへ倒れた。
   「この集落はほとんど壊滅状態やな。人口はそこまで多くはないだろうけど問題は警察がどう動くかが問題かもな。」
   末安はスマートフォンを使おうとするが圏外になっている。
   「このスマホもここでは役立たず。しかし脱出すれば使えはするやろう。」
   そう言ってスマートフォンをポケットに入れた。
    町役場の中にいる凶暴感染者はほとんど死体になっており、おそらくさっき銃撃戦を仕掛けてきた証拠隠滅部隊が殲滅したと思われる。
   役場を出て行くと外はほとんどが霧で覆われており昔流行ったホラーゲーム「サイレントヒル」のような光景となっていた。
    霧の中を車で運転するわけには行かず徒歩で移動すると完全武装の黒い服を着た謎の兵士達が米軍が使用しているM4A1自動小銃を持って集団行動していた。全員ガスマスクをしており顔は確認できない。
    凶暴感染者達はガスマスクの兵士に襲いかかって行く。しかし兵士達は自動小銃で射殺して確実に仕留める。 兵士達は霧の中に入っていくような感じに姿を消した。
   「あいつらは何者?自衛隊?それかサツが送り込んだSATか?」
   白田は半信半疑に言った。
   「警察はあの銃使わないし自衛隊なら特殊作戦群ならありえるがここまでくるには時間がかかるのではないかな?」
   末安は白田の疑問に答えるように言った。
   3人はガスマスク兵士が向かった先へ進みガスマスク兵士の正体を探ることにした。
   飛鳥町の路地にはほとんど凶暴感染者が彷徨くようになり正常な住人の姿は見つかりづらい状態になった。
   先へ進んでいくと田舎に唯一のホームセンターがあり残り僅かの弾が込められている銃と証拠隠滅部隊の死体から回収したサブマシンガンを頼りに中に入って行った。
   ホームセンターは相変わらず綺麗な状態で荒らされてはいなかった。
   「ここならしばらく籠城するのに良さそうだな。」
   背広の男は呟く。
   手斧、チェンソー、シャベルを集めて武器になりそうなものを選んだ。その他包丁や果物ナイフもあり、ほうきの柄を組み合わせて槍まで制作した。
   監視カメラを見てみると外側まで映っておりガスマスク兵士が映っていた。外から銃撃音がすると思いきや兵士が凶暴感染者と交戦しており1人が噛まれてまたもう一体の凶暴感染者に噛まれた。噛まれた兵士がハンドガンで自殺を図った。こめかみに弾丸をぶち込んでそのまま倒れた。他の兵士達が自動小銃で次々に現れる凶暴感染者を始末していきホームセンターの所に入ってきた。
    「どこかに隠れて身を潜めろ!」
   末安は白田と背広男に言った。 
   「俺は楠木慎也。よろしく。」
   背広男は軽く自己紹介して身を隠した。
   ガスマスクの黒戦闘服着た兵士達が入ってきた。
   「リザード2がやられた。ここは日本だろ。アメリカだったら弾薬が手に入るのにな…」
   黒戦闘服の兵士が仲間に愚痴をこぼした。
   「俺たちはこの街の偵察に行って欲しいと言われただけで具体的な任務を教えてくれなかったからな。」
   他の兵士も話している。
   「ここの地域は疫病対策チームが封鎖を開始している。近隣住民には口止めをして近くに監視人も配置した。」
   隊長らしき兵士が言った。
   末安が背後からハンドガンをガスマスク兵士に突きつけたを
   「どこの所属だ。答えろ!」
    ガスマスク兵士を脅す。
    末安は蹴りを入れて強引にガスマスクを外した。
   「自衛隊か?警察か?それかニューロード社の手先か?!」
    白田はナイフまで突きつけている。
    「俺たちはニューロード社という会社の雇った傭兵だ。事情は知らされていない。命令でここに来たら地獄のような場所だったさ。最初は銃が禁止の日本に銃を持っていくことに対して不思議に思ったよ…」
    ガスマスクを剥ぎ取られた兵士は尋問に答えた。
   末安はハンドガンを兵士に突きつけながら進み隊長の元へ向かった。
   「お前らは何者だ!楠木!お前もこんなところで何している?」
   隊長は驚いている。
   「俺も隊長達が来る前にこの地域の調査に駆り出されたんですよ!足を踏み入れると人が人に食いかかってやられた奴も化け物になる。」
   楠木は腕を組みながら説明した。
   「この街から離れた先の精神病院の地下室で新型ウイルスが漏洩した感じらしい。俺もあの病院内での惨劇を生き延びた口だがあんたらと同類の戦士はほとんど死んだ。椚原小隊長はご存知ない?」
   末安は隊長に言った。
   「椚原…まさかあの精神病院に潜入したのか?あいつはまだ生きているのか?」
   隊長は怯えたように末安に聞く。
   「あの精神病院で戦死したよ。結局、あの化け物が多くて食い止めることが出来なかった。部下を最後まで守るために散っていったよ。」
   末安は隊長に告げた。
   一方、SAT隊員は証拠隠滅部隊のナイフ戦術と忍術で全滅してしまい完全に住人を助け船となる者はいなくなってしまった。
   証拠隠滅部隊はあちこちに分散しており凶暴感染者を駆逐していく。鎌のように曲がったナイフで凶暴感染者の首を切っていき確実に仕留めて外にいるもの全てを駆除する。
    ガスマスクの傭兵を指揮する隊長はワルサーP99ハンドガンの弾を装填してレイルに敵の目を眩ますためのフラッシュライトを取り付けた。
    「あのゾンビを見てわかったことは眩しい光が当たると急に怯み出す。懐中電灯やライトを持ってるだけでだいぶ違うはずだろう。」
   隊長は部下と末安、白田、楠木に言った。
   外に出て凶暴感染者に気づかれないように移動して生存者を探すことにした。前方にいる凶暴感染者をナイフで始末して前へ進んでいくと運送トラックがあり運転席と助手席を調べた。誰も乗ってない状態でキ
ーはささったまま。荷台を調べるとショットガンや自衛隊が使っている89式自動小銃が積み込まれていた。
   「おそらく警察の特殊部隊も極秘裏に送り込まれたんだろう…」
   末安は呟いた。
   隊長は89式自動小銃を回収してM4A1自動小銃を捨てた。末安はショットガンに持ち替えて弾もベストの中に入れる。
    白田も89式自動小銃を手にした。
   「モデルガンでよく見るがまさか本物を持つことになるとはな…」
   白田はニヤけながらつぶやいた。
   楠木は末安と同じくショットガンを手にして弾を装填していつでも戦えるように準備する。
   住宅地の一軒家はほとんどもぬけの殻となり作業服やジャージを着た凶暴感染者が外に出て行っており絶命したガスマスク兵士の死体に群がっていた。強引に防刃チョ
ッキを剥がそうとするがそうもいかず死体の防刃チョッキを叩くように暴れていた。
   兵士や住人の死体が転がっており起き上がらないか不安になる中、死体をまたごして先へ進んでいく。廃工場が見えてそこへ進んでいく生存者達。隊長の部下が先頭に立って89式自動小銃を構えながら進んでいく。工場内には作業員やガスマスク兵士がおりゾンビのようにもたれかかりながら歩いていた。
   隊長が89式自動小銃の照門で狙いを定めてガスマスクの凶暴感染者を撃っていく。
   末安がショットガンのポンプを引いて凶暴感染者の顔を撃ち抜いて吹っ飛ばした。凶暴感染者に変わり果てたガスマスク兵士は目ガラスや吸入管を砕けさせて後ろへ倒れる。
   隊長の部下が事務室に入っていくと死角に隠れていた凶暴感染者が後ろから襲い首を噛み付いた。他の部下が拳銃で凶暴感染者の頭を狙い撃ちした。凶暴感染者は噛み付いている歯を離して倒れる。噛まれた部下の兵士は拳銃で自決した。
   「まじかよ!ここに来てから仲間が減っていく一方じゃねえかよ!」
   部下の1人が凶暴感染者の死体を踏みつけた。
   工場の周りはフォークリフトやワゴン車が数台止まっており鍵は事務室の鍵かけに管理されていた。   
    凶暴感染者は次々に来て隊長の部下を襲い食い荒らして隊長の方に向かってくる。
   「嘘だろ!全員殺してやる!」
   仲間を殺された隊長は89式自動小銃を連射して迫ってきた凶暴感染者を前蹴りで倒して銃床で頭を砕き、後ろから来るのも正面打撃で倒し顔を撃ち抜いた。末安と白田や楠木も協力してショットガンや89式自動小銃で迎撃して撃退していった。
   工場の作業場には凶暴感染者の死体が溢れかえっており地面は血の海になっていた。
   工場のガラスが割れ煙幕が投げられ隊長と楠木、末安、白田は作業台に隠れた。町役場で銃撃戦を繰り広げた証拠隠滅部隊が再び現れた。
   「おいおい…勘弁しろよ。」
   隊長は手榴弾を投げ込んだ。
   証拠隠滅部隊の連中は分散して手榴弾から逃れた。末安がハンドガンで応戦する。奴らは側転してバク転してから移動した。
   「忌々しい野郎だ!堕ちろ!」
   末安はショットガンで証拠隠滅部隊員を吹き飛ばした。
   白田は証拠隠滅部隊員を89式自動小銃で牽制しようとする。証拠隠滅部隊は手裏剣を投げて白田の横腹に命中させた。手裏剣が飛んできた方向に89式自動小銃を連射するが弾が切れてそのまま手裏剣を全身に浴びて絶命した。
   「白田ぁぁぁあ!」
   楠木は叫んだ。
   白田は全身血まみれになって倒れてからピタリとも動かなくなった。
   「クソ野郎ども。地獄に突き落としてやる。」
   末安は忍び寄ってショットガンで証拠隠滅部隊の顔を撃ち抜き小刀で立ち向かってくる隊員の股間を撃ち抜いた。側転蹴りを避けて前蹴りで倒した後に顔をおもいっきり踏みつける。最後にもう1発踏みつけてた。起き上がろうとしたところをナイフで首を滅多刺しにして絶命まで追い込んだ。
    「これで全部か…片付いたが白田が死んだ。生き残れば事件の証人にもなったのに。」
   楠木はうなだれた。
   末安はショットガンに12番ゲージ弾を装填してハンドガンに9ミリ弾を装填した。
   「ところで末安は何故ここに来たんだ?正体は何者なのか?」
   隊長は末安に聞いた。
   「実は日本政府の裏方と言った方が短説に済むかな。自衛隊を辞めて職がなく放浪して犯罪に手を染めて捕まった時、前科揉み消しを条件にこの役職に就くことになった。」
  末安は隊長の質問に答えた。
  「この集落か町か分からんようなところでニューロードが得体の知れないような実験をしているという疑惑があってな。調査に行くように命令が来た。他にも先輩も潜入していたが行方不明になり、椚原小隊長が死んだあの病院で変わり果てた姿で見つかった。凶暴感染者になってたのさ。」
   末安はここまで来た経緯も話始める。
   「ニューロード社はかなり狡いからな。求人では美味しいことばかり書いてるが、ほとんど悪事に手を染めている。全ては金の為、富と名誉のためなら何だってする連中だ。隊長のような兵士も俺もただのモルモットさ…ここに送り込んだのもどのように対応するか実験してたんだ。都合よくここから出すわけにもいかない。そこで証拠隠滅部隊が投入された。」
   楠木は長々と説明した。
   「ここは脱出してしばらくは日本を上手いこと離れるしかなさそうだな。」
   隊長はつぶやく。
   「とりあえずここを移動しよう。」
  末安は2人に言った。
  「そういえば民家のところでこの紋章見つけたが俺、この紋章見覚えあるぞ。」
   隊長は末安と楠木に見せた。
  「顕不会だ!ニューロードが裏で癒着してるカルト教団。日本全国に展開していて入るとほとんど抜け出せない。末期ガン患者に試験段階でない抗がん剤を試すために不正にニューロード社から買収していた。どうりで販売員は喜ぶも薬事法違反で捕まった訳さ。」
   楠木は隊長に説明した。
   「ここも顕不会の信者が多い。それでこの地域に研究施設を作ってたんだな。そしてこの場所でバイオハザード発生という訳か。」
   隊長は驚いて表情が引きつっている。
   事務室に残っていた兵士も凶暴感染者となってしまい隊長は「成仏せえ!」と言ってハンドガンで頭を撃ち抜いた。ワゴン車の鍵を取り駐車場まで駆けつけた。ワゴン車のエンジンをかけて発進する。
   「おそらくトンネルは封鎖されて山に登れないことはないだろうけど険しくなっている。」
   隊長は脱出できる場所がもはや無いような事を言っている。
    凶暴感染者は通り道を彷徨っておりもはや完全に死人となっていた。事件の発端となった精神病院に向かい道を阻んでくる凶暴感染者を突き飛ばしながら進んでいき数十分ぐらいで病院に到着した。
   精神病院の周辺は目を疑うぐらいに無残な状態になっている。防護服を着た人がよろめきながら彷徨っており黒い戦闘服を着た兵士も同じ状態になっていた。黄色い防護服も赤い液体や肉片がべっとりついており3人とも絶句した。
   「あそこはもう入らない方が良い!証拠品もちゃんと把握してるからそれ以上追求するのも命取りになる。」
   末安は隊長に言った。
  「それと生存者4人がいる。安全な場所に避難させた。旅館にいるから救出しよう。」
   末安はまた口を開いた。
   ワゴン車を動かし看護師4人を隠した旅館へ向かわせた。
    旅館まで到着してワゴン車から降り旅館の周りにいる凶暴感染者を始末して旅館の扉をノックした。
   看護師4人を連れてその場を離れて脱出できる場所を探した。
   再び住宅地へ向かうと変わり果てた姿のSAT隊員が足を引きずりながら末安のところに寄ってきた。末安はショットガンで首を撃ち抜いて吹き飛ばした。
   「警察の特殊部隊もほとんど感染してしまったか…」
   隊長は特殊部隊員の死体からUSPハンドガンを回収して左手に持ち2丁拳銃で至る所から現れる凶暴感染者を撃っていき最後の弾が尽きたUSPハンドガンを捨ててベレッタM92Fハンドガンを手にして迫り来る敵の頭をどんどん撃ち抜いていった。
    ハンドガンから発射される9ミリ弾は凶暴感染者の頭を貫いていき次々に倒していく。
   「もうすぐで弾が尽きる。」
   末安はショットガンに最後の弾薬を装填して間近にいる凶暴感染者の顔を吹き飛ばしながら隊長のところへ向かった。
    「俺も後少ししか無い。」
    隊長は怒鳴った。
    楠木は弾の切れたショットガンを捨ててハンドガンに持ち替えた。隊長や末安の元へ向かう凶暴感染者を撃ち殺していき倒れても動いている個体の頭を踏みつけて潰しにかかった。
   「もう、終わりか…」
   隊長は残りわずかな弾薬を使い果たしハンドガンを捨てた。
    凶暴感染者達は隊長に向かって行き隊長はコンバットナイフで目や喉を刺して確実に仕留めて行き、横から襲いかかろうとしている凶暴感染者にハイキックを見舞いして後ろから現れた奴らに肘打ちして首を掻っ切った。
    特殊部隊装備の凶暴感染者が隊長の後ろに掴みかかって首筋を噛み砕いた。前からも左右からも群がって来て隊長を埋め尽くそうとしていた。唯一、隊長に目が行かなかった感染者が末安に向かって行く。
   末安はショットガンの先で目を突いて凶暴感染者の視界を奪いショットガンのグリップで頭を殴って倒した後、銃口の先端で突き刺すように打撃を与えて撃退した。
    隊長は最後の力を振り絞って手榴弾のピンを抜いて自ら自爆して埋め尽くした感染者を道連れにした。
   「嘘だろ?隊長が死んだ…」
    楠木は衝撃のあまりひざまづいた。
   「落ち込んでる場合では無いぞ!生き延びて奴らの悪事を暴いてやるんだよ!」
   末安は手を差し伸べて楠木を後押しするように言った。
   「ありがとう。すまない!」
   楠木は礼を言って立ち上がり近くに落ちていた鉄パイプを拾って近づいてきた凶暴感染者の頭を殴って撃退する。
    遠くからヘリコプターのプロペラの音がした。遠くからステルス武装の輸送戦闘ヘリが飛来して来たのである。
   「感染者を機銃掃射せよ。」
   ヘリコプターの操縦士が搭乗員に命令した。
   輸送戦闘ヘリから機関銃を撃つような音がひじき始めた。次々に現れる凶暴感染者は次々に肉片を撒き散らしながら倒れて遠くにあったガスボンベも爆発を起こした。ガスボンベの近くにいた凶暴感染者は燃えたり吹き飛ばされたりして倒れて行く。
    着陸して搭乗員が降りて視界に入った凶暴感染者を89式自動小銃で撃退して行き末安に近づいた。
   「末安貴文だな。よく生き残ったな。感染もしていないだろうから回収に来た。もちろん生存者もだ。」
   搭乗員はそう言って周囲の警戒に当たった。
   隠れていた看護師4人を優先に輸送戦闘ヘリに乗せてその後に楠木と末安が乗り込んだ。
    「全員乗ったな。出発しよう!」
    搭乗員は乗って扉を閉めた。
    輸送戦闘ヘリは離陸して惨劇の起こった飛鳥町を少しずつ離れた。
    搭乗員は安堵の溜息をついて椅子に座って扉越しに肩をつく。
    「看護師の姉さん達もこの事件の事は内密にお願いしますぜ。しばらく3日程は保護しますからね。」
   搭乗員はそう言ってサバイバルベストを脱いだ。
    生存者の看護師は黙ったまま眠りについて末安は飛鳥町の風景を見つめている。楠木も安堵のため息をついて眠りについた。もう、ここはヘリコプターの中であり地獄ではない。完全に無事に生き延びた。末安は安心の笑みを浮かべ始めた。そして少し仮眠を取ろうと眠りについた。
    
    数時間後
   末安は事件の時の夢を見てうなされて目が覚めた。
    「おい、末安!降りるぞ!」
   搭乗員は強く言った。
   そのまま降りて周りを見るとよく分からない島のリゾート地のような場所にあるビルのヘリポートだった。
    黒い出動服を着た兵士らしき男達に誘導されて取調室のような場所に連れていかれた。
    黒い背広を着た男が入ってきてその後にまた見覚えのある男が入ってきた。特務機関に勤務する上司で名前は来島星矢。歳は40歳で末安に特命任務を付与した張本人でもあった。
   「来島さん!何故ここに…?」
   末安は動揺していた。
   「よお、無事で何より。そして任務ご苦労。黒出動服男がしたお前の調査資料を読ませてもらった。パソコン使えば良いのにアナログな奴やな。手書きという無駄な労力お疲れさん。」
   笑いながら末安を小馬鹿にしたように言う。
   「ところで今回の精神病院はニューロード社と顕不会が絡んでいるようだな。」
    来島は一気に真顔になって言った。
   「ニューロード社は自分の雇った傭兵でさえ生贄にして、先輩達をあの化け物にしました。傭兵ながら知り合った小隊長を含め勇敢に立ち向かった者は全員戦死しました…」
   末安は頭を抱えながら言う。
   「今回の件は証拠集めたにしてもほとんど賠償金と言う名の罰金で済ませるだろうな。おそらくメディアでは麻薬栽培村に変貌した飛鳥町、摘発の為、封鎖する。という事になるのは目に見えている。3日程、バカをしないように隔離するような形で保護するにする。自衛隊でいう残留みたいで嫌かもしれんがな。」
   来島は末安に事件の後の推測と保護する趣旨を話した。
   
   

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