crew to o'linthart (VRMMO作品)

ノベルバユーザー290341

4話. Another World / 004. 変幻自在士



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_____________________COMPLETE



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【AVATAR】
・C****  (ク***) 

【JOB】
・PROTEUS (LIMIT BREAK)

【CREW】
・-----------

【HOME】
・SIRIUS

【AVATAR LEVEL】
・LV.1**

【WEAPON MASTERY】
・杖   Lv.28
・太刀 Lv.74
・大鎌 Lv.53
・直刀 Lv.33

・****** Lv. 《LIMIT BREAK》
・****** Lv. 《LIMIT BREAK》
・****** Lv. 《LIMIT BREAK》
・****** Lv. 《LIMIT BREAK》
・****** Lv. 《LIMIT BREAK》




___ ‥ __ …


_____________ .. .  ...






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..................ゲームスタート





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バシッ!

廃墟街に刃の激しくぶつかり合う音が何度も何度も鳴り響く。赤みがかった深い暗闇のような空に雨雲が広がり今にも雨が降りそうだ


「上等ダァてめえ! 一人でケンカを売ってくるなんてな”ぁぁ!!」

女性のものだが力強い胃に響くような鋭い声が聞こえてくる

「・・っ!」

「ヒヒッ! もらったあ!!」

間一髪入れずに前に受身を取ると先ほど自分がいた場所からドン!と凄まじい地響きが鳴る。轟音の発信源である大槌が地面に深くのめり込む、そのスティフ(大型スキル後に発生する硬直)に素早くスキルを叩き込む。
思考と同時に頭上に文字が現れる【業炎・烈風斬】手に持っていた太刀の刀身が荒々しい業炎を纏う。思考中のスキル名だけに意識を集中させ真っ直ぐ狙いを定める

「ヒッ!?」

先ほどの威勢とは程遠い恐怖を帯びた声音がスレッジ・ハンマー使いの口から漏れる

「うおおお!」

派手なヒットエフェクトとともにスキルが炸裂する。獣人族の大男は手に持った大槌と共に業火に呑まれた。斬撃のダメージと火属性の魔力付与ダメージが大男のHPを大きく削る

ゴロロロロ!

遥か上空の雨雲から雷鳴が鳴り、あたり全体に轟く

「とっておきのを喰らわせてやるわ!!」

大男との戦闘中に俺の攻撃が届かない位置まで距離を取った女性プレイヤーが勝ち誇った顔で叫ぶ。深い緑色がかった木製の長い杖を天に掲げている

「ウィザードだったか・・」

次の行動パターンを何通りも摸索する。大槌使いの相手をしてる間にもう二人俺をロック圏内に捕らえたようだ。
ファルシオン使いに暗剣使い、接近戦ならまだ分がある。あのウィズ(ウィザードの略称・魔術師)天候を利用した大掛かりな雷属性魔法を間違いなくしてくるだろう…秒の間にそれらを考え、最善の策を選考し、そして行動に移す

「殺れエエエ!」

女ウィズの合図で両方の剣士が地面を強く蹴り、俺との間合いをつめて来る。それに合わせて同時に俺の両手で構えた太刀が消える。

「!?」

「操作ミスかあ"?!バカメェェェ!」

ここぞとばかりにファルシオンと暗剣が白く発光する。スピード系の突進スキルだ。キィーンと高音を鳴らしながら両方の剣士が猛スピードで剣先をこちらに向け突進する


刹那


ファルシオン使いと暗剣使いが同時に突進方向とは逆方向に飛ばされた。それぞれ肩と胸のあたりから斬撃ヒットエフェクトである赤い血しぶきを飛ばしながら


俺の手が握っていたのは太刀ではなく持ち主と同じくらい大きな禍々しい漆黒の大鎌(サイス)だった...



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「何っ!?」

「ちっ・・・」

攻撃の反動で飛ばされたファルシオン使いと両手暗剣使いが体勢を崩した状態で地面に倒れる。

「テメェら、やられてんじゃねええ!しっかりしやがれェ!!」

後方で呪文詠唱を中断していた女ウィズの怒号が倒れていたアサシン二人を起こす。

「マルチウェポン(多種武器使い)の変態野朗か油断しちまった」

「でも、コイツのステータスおかしくないッスカ!?プロテウスにしちゃあ攻撃力が」

「攻撃力が高いのは最初の太刀だけだ、怯むな!」

女ウィザードには確信があった。クヲーレ内のジョブ、プロテウスは全カテゴリーの武器の使用が唯一許された職業である。一度に武器を三種類も装備出来るという他のジョブには無いメリットがあるかわりに、全職業中最も不利なデメリットが付いている。



武器にはそれぞれ熟練度があり、アバターその物のレベルとは別に育てる事が出来る。運営の公開してる情報によれば現在設定しているアバターレベルの上限はLv 300で、武器熟練度はそれぞれLv 150まで上げられる。

アバターレベル、武器熟練度ともにレベルを上げるには膨大な時間と集中力が必要とされている。例えば[Lv.0]のプレーヤーが1ヶ月睡眠も食事も摂らずに休み無しでクヲーレをプレイしたとしても[Lv.10]に到達出来るかどうかも怪しいくらいである。それくらい膨大なプレイ時間が必要なのだ。

運営開始から8ヶ月ほど経った今でもアバターレベルがLv 100に達したプレイヤーは推定5000万人以上いるプレイヤー中たったの3人ほどしか確認されていない

プロテウスの課せられたデメリットはこのレベルに関係している。武器一つにすら膨大な時間が必要とされるのに、三種類も武器を持つという事は他のジョブに比べ3倍もの時間と労力が必要という事だ。不人気職になっているプロテウス(変幻自在士)を選んだユーザーの多くは、装備できる武器のうちの一つだけを優先的に熟練度上げする傾向にある。

だが他の職業と違ってプロテウスには装備する武器のステータスにマイナス補正値が課せられている。

簡単な例えをすると〈長剣士 Lv 10 〉+〈 ロングソード Lv 10 〉=【攻撃力100】になるのに対して
《変幻自在士 Lv 10》+《ロングソード Lv 10》−《職業補正値》=【攻撃力70】になり、同じレベル同じ武器熟練度だったとしても戦かう事になったら数字的ステータスで変幻自在士の方が負けるのだ。



色んな武器が使えて立ち回りやすいが決定力に欠ける『器用貧乏』な職業プロテウス。



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「援護すっから、突っ込めエエ!」

「うっス」

武器を構え直し、再度攻撃を仕掛けるアサシン達。暗剣使いが相打ち覚悟の突進スキルを仕掛ける。

手に持った大鎌が無数の光りの粒子になって消え、再び太刀が現れる。

「時間がないな・・・」

「何言ってんダァ?コイツ」

「かまうな!やれ!隙さえ作れれば何時でも呪文が撃てる」

「「姐さん!!」」

突進してくる暗剣使いのスキルが襲ってくる。敵の両手に握られた2本の剣に意識を集中させる。ホーミングが始まり、攻撃範囲に進入した瞬間に右手の暗剣から垂直切りが繰り出される。




バシッ!




何が起きたのか理解も出来ないまま初段が弾かれて動揺する暗剣使いが硬直する。

「なんだ、なんだよ・・・コイツ!」

その叫びを最後に、太刀に貫かれHPを失った暗剣使いがその場で【DEAD】表示とともに、赤い粒子になって強制帰還される。

「あ、姐御ッ!」

その様子を見てたファルシオン使いのアサシンが恐怖の形相で後方にいる女ウィズの方を振り向きすがるように何かを求めるが、女ウィズの方も何をしたらいいのか分からないのか、口を大きく開けたまま突っ立っている。
そんな事は気にしてないとばかりに太刀を握った変幻自在士が次のスキルを発動させる。

握られた太刀が炎を纏う。スレッジ・ハンマー使い戦に見せた太刀の上級属性魔法付加スキル【業炎・烈風斬】


「こ、降参だッ!頼むデスペナルティーだけは免れ・・・ッ!?」

激しい炎を帯びた斬撃に飲み込まれ【DEAD】表示が先ほどまでアサシンが立っていた場所にも現れる。アサシンが強制帰還させられてからも炎は消えず、大地を焦がし続けそのスキルの破壊力を物語っている


「いっ、いい気になるなよマルチ野朗ォ!天井を穿つ幾多もの光りの矢を操りし神よ、大地に降りてその破壊と破滅の轟雷をもっ・・なっ・・・」

「ウィズが得意とする大型詠唱魔法のスキルは確かに脅威だ。だがな、敵とかなり距離があるからって簡単に長文詠唱が出来るほどデュエルは甘くないんだよ」


「テメェ・・太刀がメインじゃ・・・なんでこんな威力の魔法弾をッ!?」


女ウィズの胸部と腹部にそれぞれ大きな風穴があり、血のエフェクトが派手にあたりに飛び散っている。




「上限・・解除・・・」

頭上に【LIMIT・BREAK】という文字が現れる



「双銃剣スキル【10mmパラベラム・氷雨】・・・・」




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銃口を女ウィザードに向けられた二丁の赤と金の装飾で飾られた銀の美しい長銃剣から無数の銃弾が放たれ、女ウィザードのアバターを幾度も貫ぬき、HPを全て奪い尽くす。



【DEAD】




アバターの死亡表示が現れたが、ノイズエフェクトと共にそれは消え

再度赤い枠と共に別の普段見慣れないプレイヤー状態表示がポップした










_________【 OVER KILL 】






 

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