最強技能は少女と共に

黒狐

6話 選択

薄暗い洞窟の中、俺たちは地上を目指して走っていた
皆戦いの疲れもあるだろうが、誰一人として口には出さない
一度でも、出してしまえば俺たちは止まってしまう
止まるのは、許されない
俺たちを逃がすために一人戦っている、彼のためにも


~~~~~~~~~~~~~


俺たちはダンジョンからの期間途中にフロアボスに遭遇、逃げる途中で柊が転んでしまった
正直な話、俺は心のどこかで彼女は助からないと考えてしまった
何故ならほかの皆は、気づいていない。気づいていても、俺みたいに動けない
でも彼は、彼だけは違った。彼は、転んだ柊を見た瞬間に魔法陣の中に飛び込み、彼女と場所を入れ替えた
柊が転んだのは、
助けよう、とも
自分が代わりになれば助かることも、
でも、
俺は、心が弱い。そのことを分かっていると思っていた、いや分かっていると信じていた
だから、俺は動けなかった。だから、彼女は助からないと考えてしまった
事実彼が居なければ彼女は犠牲になっていただろう。その後は皆で自己正当化して終わりだ
でも現実は違う。彼女は救われ、安全圏にいた人が窮地に立った
しかも彼女を救ったのは、暴力を振るわれ、馬鹿にされ、ステータスも、スキルも強くない
ただの、クラスメイトだった


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城についた俺たちは休む前に王と謁見して先の事をすべて話した


「現状はわかった。準備でき次第、兵を向かわせる。あとは我に任せ、しばしの休息をとるがよい」


「ありがとうございます」


俺は簡単に礼をして部屋に帰り、夜が明けるまで今日の事に頭を悩ませ続けていた
次の日、俺は眠気覚ましを兼ねて王城の風呂に来ていた
ここの風呂はなかなか立派で、一般的な銭湯の木材部分を石材に変えた感じだ
脱衣所には先客として榊原が来ていた


「よう。これから風呂か?」


「ああ。夕べに入らなかったのと眠気覚ましにな。そういうお前は風呂から出てきたのか?」


「俺も昨日あんなことがあって寝付けなくてよ、訓練場で特訓してたんだ。
んで気づいたら朝になってたから、ちょっくら入って来たってことよ」


榊原と別れた後風呂に入り軽く剣を振っていたら、朝食に呼ばれ俺は食堂に移動した
食堂には彼を除いた全員と王様、それにフランクさんが来ている。王様は食堂に来る前に呼んできた
俺は皆の手が止まってきた所を見計らって全員に話しかけた


「皆、ちょっと聞いてくれ。俺たちの今後についてだ」


皆困惑している。突然こんなことを言われて理解できる人は少ないだろう


「今後って...なんだよ...」


田山が皆の思考を代弁して聞いてきた


「まず迦楼の事だが...彼は...駄目だったらしい...」


全員に戦慄が走る。このクラスで彼は嫌われている方だったが、それでもクラスメイトの死には動揺する


「だからもう一度身の振り方を考えてみてもいいと思う」


「身の振り方って言ってもよ...」


「そう言うと思って俺とフランクさんで考えたそして出たのが
このまま城に残って戦う。城を出て冒険者になる。城を出て他の職業に就く。今出てるのはこの三つだ
この中のどれを選んでも良いし自分で考えて行動しても良い。王様に許可はとってある」


「貴重な戦力を失うのは残念だが、無理に呼んだのはこちらだ。好きにしてくれて構わない」


「期限は一週間後だ。それまでに答えを決めておいてくれ。質問とかはあるか?」


「決めたらどうすれば良い。誰かに言うのか?」


「王様とフランクさんには絶対言ってくれ。他は言いたい奴に言えばいい。
質問がなければこれで終わりだ、解散していい」


俺はそういって部屋に戻った。他でもない自分自身の道選択するために

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