最強技能は少女と共に

黒狐

3話 初めての魔道具

ブラウ服飾店を出たあと俺は見事に迷っていた。現在位置は多分貧民街
え、なんで俺こんなとこ居んの。自分でも分かんないとか...
仕方ないじゃん...初めての場所なんだから...まぁ考えても仕方ない。城を目指せば大通りに出られるだろ
方針を決めた俺は突如後ろから声をかけられた


「兄さん邪魔だよ。用が無いならどいておくれ」


声をかけてきたのは壮年の老婆。用の無い俺はどくか


「ああ。すまない少しばかり考え事をしていた」


「あまり店先で考え込まないでおくれ。さぁ客じゃないなら帰った帰った」


「ここは何の店なんだ?」


「興味があるなら入りな。荷物が重いんだ、早くおろしたい」


俺は頷きその店に入った。そこに置いてあったのは謎の骨、怪しい色の液体に満たされた小瓶、
腰につける袋のような物、首飾りなどの装飾品。
例を挙げれば切りがないが、あえて一言で言うなら"異様"
部屋は薄暗く、カウンターの奥はカーテンに遮られて見えない。


「さて、それじゃあ話そうかね。ここは魔法道具屋アルテル、魔道具マジックアイテムを取り扱っている店さ。場所は分かりづらいが質と種類は高いと自負しているさね」


「魔道具?」


「魔道具っていうのはね、装飾品や装備品とかに魔術的処理を施した物のことさね
その効果は多岐にわたりステータスを上げたり、スキルにない魔法を使えるようになったり様々でね
一番の恩恵は効果が変わらないから効果が高いものは他よりも高くなりやすいのも、特徴の一つさね」


「大体の相場は?」


「他は知らないがここで取り扱っているのは大体大銀貨7~8枚くらいだよ
安いやつでも大銀貨5枚、良いやつは金貨まで行くね」


「他人のステータス画面や道具の効果が分かる奴はあるか?
それと物が多く入る袋なんかも在るとありがたいんだが」


「あんた運がいいね。ちょうど似たような物を仕入れてきたところさ
でもあんた金はあるんだろうね?二つ合わせて金貨3三枚だ」


そういって老婆が出してきたのは銀で装飾されたモノクルと片手程の大きさの袋だ
まずいな金が足りない。だがここで逃すわけにはいかないし...
なんか無いかな...ポケットを探した所一個だけあった。高く売れればいいんだが


「買いたいがちょっと手持ちが足りない。この本いくらで買ってくれる?」


そう言って俺が出したのは王城の図書室にあった本、部屋で読み終わって戻す前に街に出たため持ったままだったのだ


「本の後ろの印...この国の刻印じゃないか。あんたどこでこれを?」


「野暮なことは聞くなよ。王城にある一般開放されないこの本、いくらで買ってくれるんだ?」


「大銀貨三枚で良いだろ?」


「馬鹿を言うなよ。本気で言ってるならこの本は別の所に売るさ」


「分かったよ、大銀貨7枚だ。嘘ついて悪かったね。」


まだ出そうだな。カマかけてみるか


「残念だ。俺はもう行くよ、この本は憲兵にでも渡すさ」


老婆は焦って俺を引き留めた後、深いため息をついた


「はぁ...降参だ。金貨2枚だよ」


「ありがたい。ほかにお勧めはあるか?」


「手持ちは?」


「金貨2枚」


「ならこの指輪をもってお行き、いろいろと便利だよ。さぁ代金は全部で金貨3枚だ、買うかね?」


俺は金貨1枚を渡し代わりにモノクル、袋、指輪を受け取る。


「大通りは突き当りを右だよ、気を付けな。また何かあったら持ってきておくれ
今度はちゃんと買い取るさね」


「かたじけない」


無事に大通りに出られた俺は買ったものを装備しステータス画面の確認をした


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カロ ジュンセイ Lv5
HP54  MP48
STR26 DEF33+30
INT40  AGI30
DEX30


スキル
工作Ⅵ 操り糸Ⅵ 
速読Ⅴ 暗記Ⅳ
英雄の導きⅤ 言語翻訳Ⅹ
洞察Ⅴ


洞察 他人のステータスを見ることができる。表示内容は彼我のレベル差に異存


装備
深海のローブ 装備時DEF+15,≪深海の腰布≫と同時装備で〈隠密Ⅰ〉付与
深海の腰布 装備時DEF+15,≪深海のローブ≫と同時装備で〈隠密Ⅰ〉付与
透徹のモノクル 装備時【洞察Ⅴ】付与
マジックポーチⅠ 100㎏まで物を入れられる袋。内部では時間が止まる
マジックポーチⅠ
加護の指輪 装備時〈加護Ⅲ〉付与


状態
隠密Ⅰ 他人から認識されにくくなる
加護Ⅲ 状態異常に抵抗補正+被ダメージを軽減。スキルをLv×5%獲得しやすくなる
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ステータスカードで見られるのって本当にステータスだけだったんだな
装備欄はステータスに変化があるものだけを表示しているのか?
っていうかもらったローブ魔道具か、ブラウ達には感謝しなければ
あと加護が割と強いな。スキルを獲得しやすくなるのは良い、確実に強くなれる
袋のほうは内部の時間が止まっており、いつ出しても入れた状態で出せる優れもの
しかも上限の重さまでは大きさに関わらずいくらでも入るというチート加減
ローブに元々ついてた袋もこれか。いよいよブラウには頭が上がらないな
俺はこの袋を有効活用しながら目的の物を買って城の前まで戻ってきた
そろそろ日が暮れるし帰るか


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「何者だ!何の用があってこの城に入る!」


「すみません、フランクさんをお願いします。あの人なら分かるので」


「合わせるわけが無いだろう!真の目的を言え!」


やべえ入れねえ。出たときと兵士が違うから認識に齟齬があるし、どうしたものか


「何の騒ぎだ」


おっとこの声は


「だ、団長...!」


「通せ、例の異世界人だ。連絡ミスで外に出ていた」


「わかり...ました...」


俺とフランクさんは黙って城内を歩く。行先は俺の部屋だ。
あーやっと寝られる。今日はもう疲れたしスキルの練習はいいかな


「おい」


部屋に入ろうとしたところでいきなりフランクに呼び止められる。


「なんですか?」


「とぼけるな。どうやって城を抜け出した?」


答えたくねぇなぁどうしようかなぁ
あ、そうだ


「迷ってたらいつの間にか外でした」


「はぁ。その嘘はさすがに無理があるだろ。本当の事を言え」


フランクはため息をつき、さらに食い下がる


「本当ですよ、私、嘘、嫌い」


「まったく...これから外に出るときは俺に一声かけろ。そうしたら週末だけ出してやる」


この世界の一年は420日。1ヶ月が35日であり、七日で一週間なのは地球と変わらない。
一日も24時間あり地球の暦を55日ほど増やしただけなのがこの世界の時間間隔だ


「外に出てもいいんですか?」


「もともと禁止していない。今俺が怒っているのは連絡ミスだけだ」


まじか、でも確かになんも言われてなかったな
なんだよ怖い思いして窓から飛び降りる必要なかったじゃん


「わかりました、次から気を付けます。僕はもう眠いので寝ます、おやすみなさい」


フランクは「ああ」とだけ返し、廊下の奥へと去っていった
さて、寝るか

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