最強技能は少女と共に

黒狐

0話 プロローグ

校舎裏、1ヶ月前に転校して来た迦楼純正かろじゅんせいは蹴られていた

「おら!」
「調子に乗ってんじゃねーよ!」
「コイツなんでこんな弱いの?」

言うまでもなくいじめである
いじめられてる本人は地に伏せ、されるがままになっている。

「ヤベッ5分前じゃん」
「そろそろ戻るか」
「こいつどうする?」
「ほっとこうぜ」
「だな」

どうやら鐘が鳴り生徒たちは帰って行ったらしい
先ほどまで蹴られていた生徒は立ち上がり土を払う
その後は保健室に向かう事なく、真っ直ぐ教室に戻って行った

「おいっ!迦楼っ今まで何をしていたっ!もう20分も過ぎてるんだぞっ!」

迦楼が教室に入るなり肌の傷や制服の土には目もくれず
迦楼の担任である福谷武ふくたにたけしは怒鳴った
迦楼は「すみません」とだけ言い、授業の準備を始めた
周りでは他のクラスメイトが、遅刻の理由について好き勝手喋っている
福谷はまだ何か言いたそうだったが
喋るクラスメイトに「静かに」とだけ言い授業を再開した
迦楼と呼ばれた少年は、教科書も開かず外を見てボーッとしている
それを見た福谷は迦楼に言った

「迦楼、続きを読みなさい。真面目に聞いていたら分かるだろ?」

福谷は意地の悪そうな顔でニヤニヤ笑っている
周りではいつもの様にクラスメイトが笑っている。
だが、迦楼はそれを無視して教科書を開き、一度も詰まる事なく一節を読んだ

「あ、ああ、座っていい。」

クラスは一瞬で静かになり、迦楼を睨んだ
内心迦楼は呆れていた
なぜ世界にはこんなに馬鹿が多いのだろう
そんなことを考えていたら、授業は終わっていた

~~~~~~~~~~~~~

残りの授業も無事に終わり、周りは放課後の予定で盛り上がっている
迦楼が一人、帰りの準備をしている時、突然足元に水色に光る魔法陣が浮かび上がり、声が聞こえた

「あー聞こえているか?聞こえていれば良いんだが...まぁ良い
まず、お前らの声は俺には聞こえていない
次にこれからお前らの足元に転送魔法陣を置く
無駄に動くと転送に失敗し体が弾け飛ぶから動かぬように
俺が誰かは無事に転送できたときに話そう」

そうして教室は光で満たされた

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