好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第79話再会

カズヤと話せたあの日からあいつの病状はみるみる回復してきた。


『好きな人の声が聞けて元気出てきた』


なんて呑気な事を電話で言ってきた。


夏に入院してから3ヶ月...


カズヤが明日退院出来ることになったが


さらにそれから2.3ヶ月がたっている。


俺は明日卒業式だ。


進路は結局地元の工場職に就いた。


車の部品を作る会社だが給料は悪くなさそうなところだ。




俺に鬱病の事は分からない。


電話越しでは元気なフリをしているが本当はとても苦しんで、辛くて、あいつは俺に心配かけまいと.....


そう振る舞っていたんだろう。




卒業式後....


プルルルル プルルルル


『先輩!卒業おめでとうございます!』


ハキハキと元気そうな声でそう言った後、声のトーンが急に変わった。


『あの...お願いがあるんですけど..』


『なに?』


『....僕、今日退院じゃないですか..』


卒業式後はクラス全員で集まる予定があり
流石に断れずカズヤの退院に付き合えなかった。


『ごめんな...行けなくて』


『いや...そうじゃなくて』


『....? なら..』


『エッチしましょ...』


俺の言葉にかぶせてそう言ってきた。


『....はぁ..』


『はぁってなんですか!?』


『...ふふっ いいよ。』


(あれ..いいのか?)


『ほんとですか!?』


『う...うん』


『半年ぶり何もしてないんだ溜まってるんです


早く...先輩に触りたいです。』


『ふふっ...変わらず元気そうでなにより


そーいえば学校は?』


『辞めました。...通信制に通い直しますよ』


『そっか... とりあえず明日会いに行くよ。
半年ぶりかな...』


『僕も早く会いたいです!』



次の日


浮き足を立てながらカズヤの家へ向かいインターホンを押す。


ガチャ...


『.....』


カズヤがそそっと出てきて俺と目があった。


お互いにニヤッと笑顔になり、カズヤが腕を広げ
近づいてくる。


『せんぱい!』


カズヤがギュウッと力強く抱きしめてきた。


『いらっしゃい。ゆっくりしていってね』


カズヤのお母さんが顔を出したが、気を使ってか
そそっといなくなってしまった。


『カズヤ...会いたかった..』


そう言って右手でカズヤの髪をくしゃくしゃっと
さすると嬉しいのか抱きしめるチカラが強くなる。


『たくさん...話したい事いっぱい..』


『そうだな..』


カズヤが俺の手を引いて部屋へ向かった。








          

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