好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第55話3年目の県大会

県大会


高校生活最後の大会


負けたら引退の大事な試合だ。
今までの試合とは比にならないほどの緊張感がある。


『流石に緊張するなぁ...
明日で引退するかもしれないとか
実感わかないな...』


『そうですね..,
でも先輩なら大丈夫ですよ!
毎日頑張って練習してましたから!』


引退かかる試合前にそんなこと言われると涙腺が緩くなる。


(やばい 泣きそう...)


『んなことねぇよ... 練習なんて、適当にこなしてきただけだし...
辞めたいっても何回も思ったし』


『せんぱい!!』


カズヤが大声を出してきた。


『まだ負けてもいないのにそんなに
辛気臭くなったらだめですよ!!
先輩の今までの成果を発揮するだけです!』


『そうだな...』


カズヤに励まされ、緊張が和らいだ。



大会当日


大会はうちの高校で行われるので、朝早くから準備などがある。


朝7時前、カズヤが迎えに来る。


『おはようございます!』


『おはよう...』


挨拶を終えると無言のまま学校へ向かう。


こうして部活に2人で向かうのも最後になるのかもしれないと思うと、しんみりしてしまう。


『先輩、また変なこと考えてるでしょ
負けたらこうやって2人歩くのも最後だなとかって思ってるでしょ!』


(なんでわかんだよ...)


『...そんなこと思ってねー』


『じゃあ何考えてるんですか?』


『帰って寝たいなって...考えてた』


『最後の大会でそれはどうかと...』



学校について、着替えをすます。


1年生はすでに来ており、みんなせっせと会場の準備をしている。


『おはようございます!先輩!』


1年生達が元気に挨拶してくる。


挨拶を返して準備を手伝おうと思ったら、顧問に3年生だけ呼ばれた。


最後になるかもしれない大会前に顧問のいい話をされたがよく覚えていない




とうとう試合が始まり着実に順番が近づくと緊張感が高まってくる。


今は思考を止める事にした。


何かを考えると感情が揺らいでしまう



自分の番が来た。


心は今日1番落ち着いている。


弓を構えて矢を放つ。


その瞬間、今までの部活での
辛かった事、楽しかった事、いろんな思い出が一瞬にして蘇って来て


最後にカズヤの笑う顔が浮かんだ。




『お疲れ様でした!』


待機場に戻るとカズヤがすぐさま寄って来た。


『泣いてます?』


知らぬうちに、涙が流れていた。


涙を袖で拭い笑顔を作った。


『なんでもねぇ!』



結果は... 全国大会出場決定


(よかった...まだあいつと練習できるんだな)


気が抜け、体に力が入らなくなった。


『先輩おめでとうございます!
僕とまだ練習できて安心してます?
よかったですね!』


(だからなんでわかんだよ!)


心で思い切りつっこんだ。


見透かされて少し恥ずかしい。


『そんな事思わねーよ!』


1年生達もひと段落して休憩している。


自販機でカズヤと飲み物を買って1年生たちに渡す
とありがとうございますと感謝された。


『ナツキもおつかれ! 1年生は大変だよな』


『少し疲れましたけど大丈夫ですよ!
先輩のかっこいい姿も見れましたし』


『なに?俺に気があるの』


冗談めかして言っていると思いのほかの反応が帰ってきた。


『そそそ、そんな事ないですよ...
僕が男を好きなんてありえませんよ』


明らかに動揺している。


(あれ?...これはあれかな。 なんで俺の周りそんなの多いの。 つかなんで俺そんなに男にモテるんだよ...)


気のせいだと思いながら確かめて見た。


おつかれと言ってナツキの頭を撫でてみると顔を真っ赤にして下を向く。


『せんぱい...恥ずかしいですよ..』


『あっごめん...』


不覚にも可愛いと思ってしまった俺も、知らぬうちに男が好きになってしまったのだろうか。




          

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