好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第54話ゆっくり流れる時間

起きてみたらもう夕方の7時を迎えていた。


久しぶりにぐっすりねれた気がする


隣を見るとカズヤはまだ爆睡しているようだ。


起きないようにそっと唇にキスをする。


(寝てると可愛いんだけど...)


起こそうと思ったが気持ちよさそうに寝ていて起こしづらい。


そーっと部屋を出て近くのコンビニへ向かい、2人分の夜ご飯を買った。


1人で歩きながら、母親のことをどうしようかと
頭をひねる。


(もう恋人とかって言っちゃったしな...


もう、男好きってことで通しちゃえばいいかな


別に男が好きなわけじゃないけど...


でてけって言われたらそれまでだな...)


もう流れに身をまかせることに決めた。


部屋に戻るとまだ眠っていた。


割り箸の袋を開け、爪楊枝をとりだしカズヤのほっぺたにさした。


『うおっへん!』


跳ね上がって起きた。


(すごい起き方だな..)


『あ、おはようございます...ハチさんにほっぺた刺された夢見ましたよ』


『そりゃ大変な夢だな...』


愛想笑いをして気づかれないよう爪楊枝をこっそりゴミ箱に捨て証拠を消した。


『夜飯買ってきたから食べようぜ。この後どうする?温泉行く予定だったし行く?』



『行きましょ! お腹すきました...何買ってきたんですか?』


『スパゲティだけど...足りないかな?』


『大丈夫です!』


スパゲティを一つ渡すと美味しそうに食べ始めた。


『あとこれも』


好物のシュークリームを渡した。


『うわ!シュークリーム!ありがとうございます!!』


(シュークリーム1つでよく喜ぶな...)


さっさと食べ終えて外に出て温泉に向かった。


近くの温泉街に電車行って人のいなそうな温泉に入りゆっくり体を温めた。


中は人も少なく露天風呂も付いていた。


体を洗い露天に入る。


『こういうのいいですね... 何気ない時間をゆっくり過ごすの。 好きです』


『そうだな...』


ゆっくり流れる2人だけの時間。


とても普通で、ゆっくり流れる。


どこかへ旅行なんかしなくても、2人でいれば
幸せを感じ取れる。


『カズヤ...俺今が1番幸せかも』


『...何言ってるんですか?



ぼくは毎日幸せですよ!先輩がいるんですもん』


こいつも俺と同じ気持ち
こんなに幸せなことがあるだろうか


『先輩...』


『なに?』


『...やっぱりなんでも..』


なんだろうと思いながらも、のぼせる前に風呂を上がった。



風呂を上がって携帯を見ると母親から何件も着信が来ていた。


(なんだよ..めんどくさいな)


『お母さんですか?』


カズヤが携帯をのぞいてきた。


『うん...ちょっとかけてくる』


カズヤが待ってますと言い、近くの売店に向かっていった。


電話をかけると、また説教でもされるのかと思ったが反対に謝られた。


どうやら同性愛について調べたらしく、自分の勉強不足と偏見がひどかったと謝ってきた。


カズヤに謝りたいとも言ってきた。


正直、カズヤに合わせたくなかったが今度連れて行くといい電話を切った。


(親は子供を理解しようとしてくれるんだな...)


少し心が温かくなった。


『つめたっ!』


カズヤがほっぺたにアイスをつけてきた。


『さっきの仕返しです』


ニヤッと笑って嬉しそうにしている


『きずいてたのかよ...』


爪楊枝の件バレていたらしい


胸のモヤモヤは全て解決してスッキリできた。











          

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