好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第53話いけない考え....し



『カズヤ!どこいんだよ!!』


カズヤから電話が来てホッとした。


『せんぱい?....』


『...なに?』


『僕はやっぱり、生きてちゃダメなんですよ...


人と違うのは悪い事です。


僕は...ぼくは..   』


電話の向こうで声を殺して泣き出した。


『そんなこと言うなよ...


お前がいなかったら俺は生きてる意味がない。


人と同じ奴なんていねぇ。


人と違うことを極端に嫌がる奴の方が罪人だ。


カズヤは生意気だし...わがままだし..すぐ泣くけど


優しくて...正直で...純粋で...お前以上にいい人間なんていないと思うくらいだ。


つらいなら1人で抱えるなよ。


お前には俺がいる。つらいなら俺のとこに来いよ 頼れよ。


俺がダメになりそうな時は、お前のとこに行くから...


だから...   』


カンカンカンカンカン


電話の向こうから踏切の閉まる音が聞こえた。


(踏み切り!?)


急いで近くの踏切へ向かうが携帯を見ると電話が切られていた。


踏み切り付近に着くと踏み切りの前でカズヤがぼぉーと立っている。


こちらには気づいてないようだ。


そっと近づき声をかける。


『カズヤ?なにしてんだよ...』


こちらを振り向き目から涙を流したまま少し笑う。


『変なこと考えてたんじゃねーよな』



『僕はただ、死んだら楽になるのかなって...考えてただけです。


辛くなるとたまに、ここに来るんですよ


でもいつも、
最後の勇気が出なくて何もしないんです。』


カズヤが力のない声で話す。


『お前はそんなに辛いのか...』


『僕以外にも辛くて死にたい人は沢山いるんだとは思います。


その人達に比べたらどうでしょう


こんな世界で生きてても...』



『死にたいなら死んでもいいよ』


カズヤの顔が一瞬にして青ざめる。


『先輩も僕のこと...わかりました』



『でも、お前が死んだら俺もすぐに
死んでやるからな!
死にたいって思うならそれを覚悟しておけ!』


両腕で思い切り抱きしめる。


『辛くなったらいつでも電話しろ。


死にたくなったら俺のとこに来い。


だからもう...心配かけるな...』


我慢ができず涙がでてきて、
カズヤもまた泣き始めた。


周りの目など気にもならなかった。


少し落ち着き家に帰りたくなかったのもあり、カズヤの家に向おうと思う。


『今日は本当にごめん...うちの親が
ああいう反応するのはわかってた。


だから今まで合わせなかったんだ。


やばいな...家に帰りづらい』


『僕に襲われたって言ってくれれば大丈夫ですよ。


もう先輩の家には行かないので...』


『それはできないな...』


『僕のことは気にしなくていいです』


『そうじゃなくて...


母親にお前は俺の恋人だって言ったから』


カンカンカンカンカン


ちょうどいいタイミングで踏み切りが閉まる。


電車が通り過ぎて静かになる。


『先輩、電車が来て聞こえませんでした。 なんて言ったんですか?』


『なんでもない!』


(あぶな...言うとこだった。)


カズヤの部屋に着くと、どっと疲れがでてきた。


布団を借りて横になるが少し寂しい。


『カズヤ、一緒に寝ようか..』


『しょうがないなぁ〜』


嬉しそうにしながら布団に入ってきた。


『先輩にくっついてると安心しますね』


今は眠ることにした。嫌な事を忘れて











          

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