好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第41話お願い事は...

近くの神社に向かうとチラホラと人が集まっていた。


焚き木の炎が勢いよく燃えている


カズヤのお母さんは眠いと言ってまた寝てしまったので2人で歩いてきた。


息は真っ白になり、地面はカチカチに凍っている。


『寒いなぁ〜甘酒飲みたいです。
ぼくお酒は甘酒くらいしか
先輩はお酒強いんですね?』


『まぁ、そんなに酔わないかな。
つか、甘酒は酒じゃねーぞ』


まじか?という顔をしている。


鳥居をくぐり抜け賽銭箱の列に並ぶと
カズヤが5円玉が沢山入った袋を出してきた。


少なくとも100枚以上はある。


『え?なにその量..』


『この日の為に1年間貯めてたんですよね。 毎年このくらいの量になります』


先輩にも分けますと、五円玉を一掴み、袋から取り出して渡してきた。


『ありがとう...』


ジャラジャラジャラ


賽銭箱に大量の五円玉を投げ入れると
後ろの人が驚いたように見ている気がする。


鈴を鳴らし、手を合わせて願い事をする。


(今年1年、カズヤと一緒に楽しく過ごせますように...)


列を離れ、おみくじを引きに向かう。


『先輩お願い何しました?


ぼくは、周りの人達が1年間健康でいられますようにって!


今年は先輩の事も健康でいられるようにってちゃんと頼んどきましたよ!』


『お願いって人に言うと叶わなくなるんだよ。』


『え!?』


驚きの顔をしている。


『だから内緒!』


『そっか...じゃあ言っちゃったから、
先輩は今年健康じゃなくなりましたね...』


『いや、あくまで迷信だし。そんなこと言われたらなんか悲しいわ』



おみくじ売り場に着き、100円を払う


『勝負ですね先輩!』


『おみくじに勝負も何もねーよ』


少し呆れ顔でおみくじを引く。


【大吉】


『おぉ〜!先輩いいなぁ』


カズヤが引くと中吉だった。


『先輩?交換しましょう...』


『いや、そういうもんじゃないから』



『先輩!甘酒ありましたよ!』


甘酒を買って、焚き火の前で2人で暖まった。


焚き火の炎がゴオゴオと燃えてとても暖かい。


『先輩?今年1年楽しい事沢山あるといいですね』


『そーだな..でも今年は進路とか色々あるから忙しそうだな』


『進路かぁ.. 来年は先輩卒業しちゃうんですよね...』


カズヤの悲しいそうな顔を焚き火が、赤く照らしていた。



『1人になっても大丈夫?』


ずっと気にかけていた事、まだ先の話と思っていたがあと1年後の事だ。


『わからないです...』


『そこは嘘でも大丈夫って言ってよ』


『そーですね』


カズヤは作り笑顔で笑っていて、聞くんじゃなかったと少し後悔した。



          

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