好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第25話世界滅亡と子猫

11月に入り肌寒い日が続きカズヤが寒いのを言い訳に抱きついて来る事が多くなった。


『お前そんなにくっつくなよ』


『え〜いつも何も言わないのになんでですか?』


『限度ってもんがあるだろ!!動きにくい』


『わかりました...控えます』


少し落ち込んでいるがこのぐらいがちょうどいいのだろう。


土曜の部活終わり


『先輩!久しぶりに泊まりに行ってもいいですか?』


『いいけど。なにするの?』


『いや、特には...ただ一緒にいたいなって』


『まぁ、いいけど いつも通り映画でも借りてく?』


『そーですね! たまにはホラー以外がいいです』


『カズヤ選んでいいよ』


やったー とカズヤが喜ぶ。レンタル店に入ると
カズヤは真っ先に恋愛もののコーナーに向かった。


『いやいや、選んでいいって言ったけど男2人で
恋愛映画はないだろ』


『え〜先輩といいムードになれるかなって』


パシッ   と頭をひっぱたいた。


『冗談ですよ〜 じゃあさっきでてた新作の
世界が滅ぶのを防ぐ内容の奴にしましょ』


『まぁ、よくある系の映画だけど嫌いじゃないし
いいよ。』


映画を借りて俺の家に向かう。


『お母さんに連絡しなくていいの?』


『朝言ってきたので大丈夫です!』


『お前最初から止まる気だったのかよ』


カズヤがニヤッと微笑む


部屋に着くと疲れてベットに横になる。
カズヤも俺の隣に横たわってきた。


『近いよ〜』


『最近我慢してたんで、今日くらい許してください...』


カズヤが子猫のような目で見て来る。


『しょうがないな〜』


とカズヤに覆いかぶさる。


『せんぱいっ  重い!』


しばらくじゃれ合うと2人とも眠くなってきた。


『先輩。くっついて寝ていい?』


『いつも聞きもしないでくっついて来るくせに』


カズヤが俺に密着してくる

カズヤの髪に顔をつけるといい匂いがする。


『先輩、汗くさいですよ』


『え!着替えるわ』


『いいです。 この匂いが好き...』


『お前、変態だな...』


ガンっ


頭突きをしてきた。


『いってぇ』


起きたら18時前、外も薄暗くなっていた


カズヤがグゥ〜と腹を鳴らしている。


『腹減った? 親出かけてるし何もないんだよな
コンビニ行くか』


薄暗い中歩いてコンビニへ向かう。


カズヤは下手くそな鼻歌を歌っている


『おまえ、下手くそだな〜』


『鼻歌に下手も上手いも関係ないですよ。楽しければ!』


『ニャ〜』


『お前、猫の鳴き真似上手くね?』


『何も言ってませんよ?あっちから聞こえました。』


道路沿いの畑にダンボールが置いてあった。


中を覗くと白と黒のまだら模様の子猫が腹を空かして泣いていた。


『捨てられたんですね...可愛そう』


カズヤが子猫を抱えて頭を撫でると
気持ちよさそうにしている。


『先輩どーします?』


『どーしますったって...ほっとけないしな』


『先輩の部屋連れてっても大丈夫ですか?』


『え!? 俺ん家?...まぁ、小さい時猫飼ってたし大丈夫かな...』


『よかった!僕の家に連れて行きたいですけど、お母さん猫アレルギーなんで...    僕夜飯とこの子の餌買ってくるんで先輩見ててください!』



ニャーとずっと泣いている。



カズヤが走ってコンビニへ行き、子猫の餌と夜ご飯を買って戻ってきた。


部屋に連れて戻り、子猫にミルクと
子猫用の餌を与えるとガッつくように食べる。


『やっぱりお腹空いてたんですね!
可愛いなぁ〜 』


カズヤが子猫に夢中になっている。


新しいダンボールにタオルを敷いて子猫を入れるとスヤスヤと眠った。


『先輩の家で買えます?』


『いやぁ、それは親に聞いてみないと
取り敢えず一晩寝かせて、明日聞いてみるよ』


子猫も眠ったので自分達の夜ご飯を食べる。


食事中、カズヤはずっと考え事をしていた,


『何考えてたの?』


『...決めました! 【ステネ】
にしましょう!この子の名前!』


『お前、名前なんかつけたら愛着湧くだろ。家で飼えなかった時どーすんだよ。
てか、なんでステネ? 変な名前だな』


『変って言わないでくださいよ!
すてねこ だからステネです!』


『いや、変だろ』


バカにしたように笑うとカズヤが拗ねる。


『まぁ、いいわ。ステネが寝てる間に
風呂入ってこようぜ』


2人で風呂に入り部屋に戻るとステネが起きてダンボールの中をうろちょろ歩いていた。


『ステネ〜おいで〜』


カズヤが両手をだし抱き抱えると安心したようにまた目を瞑った。


ステネを下ろし、カズヤが紐を垂らすとじゃれて遊んでいる。


『僕の新しい友達ですね』



『お前、そんな悲しいこと言うなって...  ステネ〜おいで〜』


俺が両手を伸ばすと匂いを嗅いで遠ざかって言った。


『.....』


『先輩のことは嫌いみたいですね』


カズヤが小馬鹿にしたように笑う。


しばらくしてダンボールに戻すとまたすぐに寝始めた。


『そろそろ映画見ようぜ 』


映画を見はじめると、よくあるタイプの世界救う系の映画だ。


『先輩だったら、1番大切な人と全人類
どっちかを選べって言われたら、どっちを守ります? 両方はダメですよ』


映画の主人公は両方を守りきりハッピーエンドだった。


『俺だったら...全人類かな。
全人類犠牲にして俺の勝手な判断を選べないよ』


そうですか とカズヤが頷く。


『カズヤは?』


『僕だったら...全人類って先輩みたいには選べないかもですね。
1番大切な人のいない世界なんて生きてても意味がないですよ...』


カズヤにとっての1番大切な人は誰だろう。母親か俺の知らない人か、カズヤの大切な人が気になった。


『カズヤの1番大切な人は?』


『んー1番なんて、すぐには選べないですよ。お母さんも大切だし、先輩も大切だし... 先輩は誰なんです?』


俺の大切な人...1番に守りたい人


素直にカズヤと思いたい自分と


それをまだ拒否している自分が葛藤している。


『俺もすぐには決められないな』


映画も見終わり一緒に眠る。


次の日の朝、カズヤが起きる前に親に
ステネのことを話したら飼っていいと即答された。


カズヤに報告するとものすごく嬉しそうに喜んだ。


『ステネじゃあね〜』


カズヤが別れ惜しそうにしている。


『今度から先輩の家に来る楽しみ2倍ですね!』


カズヤを見送りステネの元へ戻る。


『あいつの事よろしくな』


カズヤの新しい友達にそう頼んだ。

          

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品