好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第14話解決できない心の悩み



夏も終わり秋風が吹かれ少しずつ涼しくなってきた


秋服、冬服が欲しいとカズヤが言うので電車で遠出をしアウトレットパークに来た。


海近くのアウトレットで店舗数120店舗以上、高さ100m以上ある観覧車が目印だ。


『観覧車大きい! すごいなぁ』


到着するやテンションが上がりあちこち走り回っている。


『ちょっとは落ち着け!時間たっぷりあるんだからゆっくり見ようぜ』


何店舗か見て試着して気に入った服を購入した。


『先輩、これどっちがいいですか?』


ワインレッド色とブルー色のニットセーターで悩んでいるよう。


『青系の方が爽やかに見えていいんじゃない?』


『ん〜、そーですね! こっちにします 買ってきますね』


カズヤに隣の店見てくると伝え時計店で物色していた。


とてもではないがバイトもしていない高校生に買うことはできない値段だ。


かっこいい時計があり値段を見て諦める。


『先輩!終わりましたよ〜』


『次なに見る?』


『先輩、時計欲しいんですか?』



『欲しいけど、今買える値段じゃないね』


カズヤが値段を見てそーですねと笑う。


『お昼食べましょうか お腹すきましたね』


フードコートへ向かうと、どこも行列ができていたので空いてたハンバーガー屋でセットを注文し外のテラス席へ向かった。


周りはカップルばかりで男2人だと少し恥ずかしい


『なんか、デートみたいですね!』


『そうだね、デートみたいだね』


【みたい】と言う言葉を強調した。


これでカズヤが女の子なら迷いなく付き合ってる


『先輩は嫌ですか? こーやって2人で遊ぶの?』


『嫌じゃないよ、でも周りの目が気になるかな』


カズヤは人前でも俺にくっついてきたりするから周りの視線が気になる。


『そーですか』


『カズヤは周りの目は気にしないの?』


『先輩と一緒なら、知らない人にどう思われても平気ですよ。どうせもう合わないんですから』


確かにと素直に感心する。


『じゃあ、手繋ぐ?』


『いいんですか!? 先輩そういうの嫌ですよね?』


『ここじゃ知ってる人もいないし、カズヤなら嫌じゃないかな...』


うれしいとカズヤが微笑む。



ハンバーガーを食べをえ、まだ見ていない店舗の方へ向かう。


『カズヤ、』 左手をカズヤの方に向けるとニコッと俺の手を繋いでくる。しばらく歩いていると
やはり周りの人はじろじろこっちを見てくる。


〔キモい〕 〔ホモカップルだ〕 などと陰口を言われてるんだろうと不安になる。


『先輩?大丈夫ですよ 周りになんて思われても
嫌な事言われても、ぼくが先輩の事を守ります』


俺の不安を感じ取ったのか励ましてくる。


店内でも手を繋いだまま歩き回った。


お店の人、お客さん、みんな奇妙なものを見るような目で見てくる上に、ひそひそ声が聞こえ俺らの事を話している。


(もう無理かも 辛すぎる)


『カズヤ?...』


カズヤの顔を見ると俺以上にこわばった顔をしている。


『ここは出るか』


カズヤの手を離し店を出てしばらく歩いた。


いくら周りの目を気にしないと言うカズヤも、目の前でじろじろ見られたり悪口が聞こえたりすると嫌な気分になったのだろう。


(本当は人一倍人の目気にするのにさっきは強がってたんだな...)


『僕は昔から男の子が好きだから変だとは思った事無いけど、普通の人からしたら僕は変な人なんですね...』


カズヤはまた泣き出しそうになっている。


『カズヤは変じゃない。お前は何も悪くないんだから自分を悪く思うな!


この国は俺も含め同性愛者への偏見が強すぎる


しばらく会話もないまま歩くと観覧車の前に出た


『カズヤ乗る?』


『いいです...』


『じゃあ俺が乗りたいから付き合って』


カズヤの手を引き観覧車のチケットを買い、観覧車に乗り込み向かい合って座る。


観覧車の4分の1進と少しずつ景色が見えてくるが
カズヤは下を向いてうつむいてる。


『景色綺麗だぞ、カズヤ見ないの?』


『.....』


『ここなら誰もいないしとなりに座っていい?』
カズヤの隣に座り手を握る。


『先輩?』


『ん?』


『僕っておかしいんですかね?男の子が好きって
人と違うって凄く怖いんですよ』


『人と違わない人なんていないだよ。みんな人と同じくなりたがるだけで』


俺は今、自分の事が1番わからない。


俺はカズヤの事が好きかも知れない。


けど男を好きになる気持ちは正直言って分からない。


好きと認めたくない自分がいる。


偏見を持っている自分がいる。


カズヤの気持ちを理解しきれない自分がいる。


観覧車の天辺にさしかかると壮大な街並みが見渡せる。


『綺麗ですね、先輩と見る景色はいつも綺麗に見える。』


『俺は魔法使いだからね』


暗い空気を払拭しようと冗談を言う。


カズヤが少しクスッと笑った


『そうですね』








          

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