なんだかこの部活はおかしい

みじんこ(みじみじ)

なんだがこのメイドはおかしい

5月6日 放課後 くもり

部室に一人の少女が入ってきた。

「あの...入部したいのですが。」

彼女は川村葵。この前の騒動を起こした張本人だ。魔物の存在を知られてしまったところだったので口止めしようと考えていたので入部はちょうどいい。正義感というやつだろうか。

「まぁ良い。そこの山田と一緒に政治家の汚職事件についての依頼をこなしてくれ。」

「え!入部できるんですね。というかいきなりの仕事重くないですか。」

あいにくこっちは考え事で疲れがたまってるのでね。

「入部を断る理由もない。ほら!山田起きろ!」

「は、はい!山田桃子高校二年生です!」

彼女は山田桃子。見た目は普通。一見モブキャラだが、彼女もそうとう癖が強い。

「よろしくです。私は川村葵です。」

まぁ良い。二人に任せておくか。

「ちょっと俺は用事があるから。」

「「いってらっしゃい」」

なんだろう。子ども扱いされている気がする。

5月6日 夕方 くもり

俺の今日の用事はストーカーだ。まぁいきなり何を言い出したのかというと。例のメイドの件だ。明らかにあの日のメイドはおかしかった。とは言って簡単に見つかるわけではないのだが。しかしなんとショッピングモールですぐに見つけた。

「お客様。だからそのような数は必要がないと思われるのですが。転売目的での購入はご遠慮ください。」

「お嬢様が飲みたいと言っていたカステラの限定品だと聞いたので三十個頼みたいのですが。」

「お客様。申し訳ございませんがここに書いてある通り、お一人おひとつまでなんです。」

うん。確実にあの人だ。見た目が美人なのに。一見ただのやばい客だ。

5月6日 夜 くもり

あれからずっとつけてきたが...。なにか変な行動はない。まぁお嬢様思いの変わったメイドといったところだ。そろそろ帰るか。

そんな時。雷鳴が響いた。まさか。タイミングが悪い。この前言った通り、魔物は月からやってくる。

流星となって。しかも落ちたのはすごい近くだ。走るか。

「少し体に傷をつけてしまったな。まぁ良い。」

目の前にいたのは全身骨で包まれた黒い液体と固体の中間みたいなやつ。まるで人体の教科書に出てきそうな見た目だがすこし違う。左手がない。左手が頭蓋骨になっている。しかも風格から相当な上位階級の魔物だとわかる。だが相当負傷しているようだ。

「めんどくさそうなのが二人いるな。あっちにいたときはこの惑星の我々による侵略っぷりは聞いたことがある。しかもほとんどの人間が我々の存在を知らないとか。けど話と違いますねぇ。まぁ殺すだけですが。」

その後、彼の体は見る見るうちに修復されていった。

それより。二人!あのメイドか。やはり何者だろうか。

「死ねぇ。」

メイドはいきなり殴った。女って怖い。

しかし骨の体はもろいかわりにすぐ再生してしまう。

「爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ」

彼の左腕の頭蓋骨がくちを開けた。その中から出てきたのは小さな頭蓋骨だ。その頭蓋骨は爆発を起こした。

原理を予想すると、彼の体の本体はあの緑のスライムみたいなやつだと思う。それが骨を作り出している。それが強力な再生能力を持っている。あのスライムみたいなやつの動きを見る限り、あのスライムみたいなやつは分裂や移動、増殖ができるようだ。そして爆弾。これはおそらくあのスライムのようなやつが爆破する性質を持っていてそれを分裂させて作り出した頭蓋骨で包み、飛ばしているのだろう。だとすると厄介だ。倒せたと仮にする。するとやつはやけになって体を爆弾に変える恐れがある。この一切れのスライムみたいなやつですらこの爆発力だ。この町ごと吹っ飛ばしてしまうかもしれない。何にせよ、相性が悪い。ナイフや銃による俺の物理攻撃はほとんど通らないし先ほどのようにやけになられる可能性がある。そしてこのメイドもおそらく物理攻撃系。相性が悪すぎる。ここは助けを呼んだ方がいいかもしれない。ためしにやってみるか。

「おりゃあ!」

何本もののナイフを服から出して宙に投げる。それをもって切ってからまた投げて切りつけるという技を繰り返し、短時間で一部の部位に強烈なダメージを与える。

「貴様。手練れか。だがなぁ」

当たり前だ。お前とは技を磨いた時間が違う。

しかし、再生のスピードには追いつけなかった。骨を切っていると同時に少しずつ内側に骨を新たに作る。そうして外側の骨が切れたとき、そこの周辺を引っ込める。その分とあらたに作った分を使って俺が内側の骨を切っている間に外側に骨を形成する。それを繰り返している。それも二人を相手にしてだ。こいつやはり並みの魔物ではなさそうだ。本気になってもいいのだが...。

「ああ。光の王よ。火薬をつかさどる悲しき死神に天罰を下したまえ。」

「魔法陣だと!」

適当に殴ってるだけではなく、足で魔法陣を書いていたようだ。見る見るうちに魔物は封印されていく。

そうか。封印か。そうすれば確かに安全だ。一件落着だな。

封印で石になったものを土に埋めた。

「それより。あんた何者なんだよ?」

「ただのメイドです。今日はずっと尾行していたようですが、そんなに信用されてないですかね。まぁこれで信用してもらえると助かります。お嬢様に迷惑はかけたくないので。最後の最後にお嬢様を守れるのはあなただけです。」

「俺は、あんたを信用したわけではない。そしてあのお嬢様を信用しているわけでもない。そして彼女を守る気もない。」

彼女はお嬢様のところに戻る必要があるといって歩いて行った。

俺は少しつぶやく。

「あんたがいるだろうに。あんたがいれば彼女も大丈夫だろう。あいにく俺は人を守る資格はないものでね。」

今日は月がさらにきれいに見えた気がした。

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