同世界転生の最強貴族
第三十二話 神の過去Ⅰ
    朝起きて三階の寝室から一回のリビングまで降りると、いつも決まって兄様と父様が会話をしていた。母様は、料理を作り終え、お皿に盛り付けをしている。
    そして、挨拶をする。だが、父様と母様は何も反応せずにいる。まるで、私が存在しないかのように。
『おはようございます父様、母様、兄様』
『おはようレナ。良い朝だから早く朝食を摂って出掛けよう』
『・・・・・・・・』
    兄様は誰にでも、特に私達家族にとても優しかったし、何においてもパーフェクトな完璧な兄だった。
    だが、その為に、私は父様や母様、同年代の子達から『出来損ない』や、『なんでロイ様みたいに出来ないんだよ』とか、『早く居なくなればいいのに』、『あんな奴は神に相応しくない』等と蔑まれていた。
    それなのに、いつも兄様は私にも優しくしてくれた。唯一無二の心の拠り所だ。
『なんで挨拶しないの?レイル父様もローナ母様も。家族だし普通は挨拶するでしょ』
    これは兄様が初めて口にした私への態度への疑問。その言葉に、父様と母様は分かりやすく顔を顰める。
『こんな出来損ないの妹なんて以内も同然だ。こんな出来損ないと会話している時間が無駄だ』
『・・・・・・』
    心の内では分かっていたのだが、いざ言われるとなると、心に深く突き刺さった。そして、その言葉を聞いた兄様は、無言で魔法を使ったのだ。
    それも・・・・・精神破壊つまり、魂と同じく生物を形成する重要な物、精神を破壊する、破壊神しか使えないはずの魔法を使ったのだ。
『・・・・・・行こう。もう心配要らない。俺がお前を守るから』
『うぅ・・・うわぁぁん!!』
    この時初めて泣いた。素直に嬉しさと、ようやく開放された安心感からだった。そして、そのまま泣き続け、いつの間にか疲れて眠ってしまった。
──それから一年半後のある日だった。兄様は十八歳、私は十五歳になっていた。それまで平和に暮らしていたのだが、それは突如として一変した。
    神界歴1万9083年89月37日(一ヶ月百日、一年百ヶ月とする)。
    私達の住んでいた神界の西区域の家に突如として現れたのは、その頃の絶対神アルファが創った神工生命体ロストだった。そしてロストは、兄様を見つけると、すぐに攫って行った。
    それを見た私は思わず叫び出した。
『何でなの・・・・兄様じゃなくて、私が悪いのに・・・・・なんで兄様が・・・。お願い・・・・・連れて行かないでぇ・・・・・兄様を連れていかないで・・・!!』
    精一杯、喉がガラガラに枯れようと、目の前を過ぎていく神に疎まれた目で見られようとも叫び続けた。
    気配が一切感じられなくなると、私は家の扉に鍵を掛け、兄の使っていた布団を抱き、そのまま泣き続けた。
───次の日の明朝。私はとある場所を訪ねた。それは東区の帝位神の住宅街で、入る為にはパスポートが必要だったのだが、兄の名前を言うと、そのまま通してくれた。
    そして、私が行った所は、当時の絶対神アルファの妻にあたる、絶対女神アルテリア=ロディアヌスの所だった。
『あら?低級の中の低級の神がこの私になんの用かしら?』
『・・・・・・ロイ兄様・・・』
『!!?』
    その言葉に凄く驚いていた。そして、態様を改める。それはそうだ。私の兄はその優秀さ故、神全王デュナミス・レギナイン=シェクリエンと同じ地位まで登り詰めているのだ。
    誰もこの名前を聞いて逆らう事は出来ないだろう。そして、この名前を呼び捨てで呼べるのは同じ地位の者か、その者の家族のみなのだ。
    これは違反する事が出来ない神界の強制ルールだ。
『それで?なんの用かしら?』
『兄様は・・・兄様を!何処に行かせたのですか!!』
    机を思いっきり叩き、胸倉を掴み、ブンブンと揺り動かす。だが、相手の瞳は揺らぎもしなかった。
『・・・・・・神界第三処刑場よ・・・。これで満足かしら?』
    数分間言葉を失った。いくら父親と母親を再生不可能状態にしたとはいえ、殺してはいないのだから、降位か堕とされるのが最高だろう。だが、処刑場に行くと言う事は、死罪を意味するのだ。
『何故ですか!そんなのは明らかに不正です!!取り消してください!!』
『出来ないのよ!!・・・・・・これは神全王様の御決定なのよ』
『そんな・・・・・・・・・』
    確かに、それなら手が出せないのも、当たり前である。なんて言ったって、神全王の決定は絶対で、誰も異を唱える事は出来ないのである。
『何で・・・・・・っ!!何で私達ばかりこんな目に遭わないと行けないの!?こんな世界呪ってやる!!』
    その瞬間、自分の中の制御装置のような何かが、音を立てながら崩れた。そして、わけも分からずに魔方陣を書く。
『禁忌魔術式 Code:L-666 及び 世界侵略術式』
    この魔法を使った瞬間、神界は黒や赤、紫の世界へと変貌を遂げた。そして、それに気付いた神全王様がすぐさま私を地上へと堕とした。
    それも、能力を残したままであった。
    そして、挨拶をする。だが、父様と母様は何も反応せずにいる。まるで、私が存在しないかのように。
『おはようございます父様、母様、兄様』
『おはようレナ。良い朝だから早く朝食を摂って出掛けよう』
『・・・・・・・・』
    兄様は誰にでも、特に私達家族にとても優しかったし、何においてもパーフェクトな完璧な兄だった。
    だが、その為に、私は父様や母様、同年代の子達から『出来損ない』や、『なんでロイ様みたいに出来ないんだよ』とか、『早く居なくなればいいのに』、『あんな奴は神に相応しくない』等と蔑まれていた。
    それなのに、いつも兄様は私にも優しくしてくれた。唯一無二の心の拠り所だ。
『なんで挨拶しないの?レイル父様もローナ母様も。家族だし普通は挨拶するでしょ』
    これは兄様が初めて口にした私への態度への疑問。その言葉に、父様と母様は分かりやすく顔を顰める。
『こんな出来損ないの妹なんて以内も同然だ。こんな出来損ないと会話している時間が無駄だ』
『・・・・・・』
    心の内では分かっていたのだが、いざ言われるとなると、心に深く突き刺さった。そして、その言葉を聞いた兄様は、無言で魔法を使ったのだ。
    それも・・・・・精神破壊つまり、魂と同じく生物を形成する重要な物、精神を破壊する、破壊神しか使えないはずの魔法を使ったのだ。
『・・・・・・行こう。もう心配要らない。俺がお前を守るから』
『うぅ・・・うわぁぁん!!』
    この時初めて泣いた。素直に嬉しさと、ようやく開放された安心感からだった。そして、そのまま泣き続け、いつの間にか疲れて眠ってしまった。
──それから一年半後のある日だった。兄様は十八歳、私は十五歳になっていた。それまで平和に暮らしていたのだが、それは突如として一変した。
    神界歴1万9083年89月37日(一ヶ月百日、一年百ヶ月とする)。
    私達の住んでいた神界の西区域の家に突如として現れたのは、その頃の絶対神アルファが創った神工生命体ロストだった。そしてロストは、兄様を見つけると、すぐに攫って行った。
    それを見た私は思わず叫び出した。
『何でなの・・・・兄様じゃなくて、私が悪いのに・・・・・なんで兄様が・・・。お願い・・・・・連れて行かないでぇ・・・・・兄様を連れていかないで・・・!!』
    精一杯、喉がガラガラに枯れようと、目の前を過ぎていく神に疎まれた目で見られようとも叫び続けた。
    気配が一切感じられなくなると、私は家の扉に鍵を掛け、兄の使っていた布団を抱き、そのまま泣き続けた。
───次の日の明朝。私はとある場所を訪ねた。それは東区の帝位神の住宅街で、入る為にはパスポートが必要だったのだが、兄の名前を言うと、そのまま通してくれた。
    そして、私が行った所は、当時の絶対神アルファの妻にあたる、絶対女神アルテリア=ロディアヌスの所だった。
『あら?低級の中の低級の神がこの私になんの用かしら?』
『・・・・・・ロイ兄様・・・』
『!!?』
    その言葉に凄く驚いていた。そして、態様を改める。それはそうだ。私の兄はその優秀さ故、神全王デュナミス・レギナイン=シェクリエンと同じ地位まで登り詰めているのだ。
    誰もこの名前を聞いて逆らう事は出来ないだろう。そして、この名前を呼び捨てで呼べるのは同じ地位の者か、その者の家族のみなのだ。
    これは違反する事が出来ない神界の強制ルールだ。
『それで?なんの用かしら?』
『兄様は・・・兄様を!何処に行かせたのですか!!』
    机を思いっきり叩き、胸倉を掴み、ブンブンと揺り動かす。だが、相手の瞳は揺らぎもしなかった。
『・・・・・・神界第三処刑場よ・・・。これで満足かしら?』
    数分間言葉を失った。いくら父親と母親を再生不可能状態にしたとはいえ、殺してはいないのだから、降位か堕とされるのが最高だろう。だが、処刑場に行くと言う事は、死罪を意味するのだ。
『何故ですか!そんなのは明らかに不正です!!取り消してください!!』
『出来ないのよ!!・・・・・・これは神全王様の御決定なのよ』
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    確かに、それなら手が出せないのも、当たり前である。なんて言ったって、神全王の決定は絶対で、誰も異を唱える事は出来ないのである。
『何で・・・・・・っ!!何で私達ばかりこんな目に遭わないと行けないの!?こんな世界呪ってやる!!』
    その瞬間、自分の中の制御装置のような何かが、音を立てながら崩れた。そして、わけも分からずに魔方陣を書く。
『禁忌魔術式 Code:L-666 及び 世界侵略術式』
    この魔法を使った瞬間、神界は黒や赤、紫の世界へと変貌を遂げた。そして、それに気付いた神全王様がすぐさま私を地上へと堕とした。
    それも、能力を残したままであった。
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