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ユニークチート【恋の力】は確かに強いけど波乱を巻き起こす!?

平涼

新たな出会い

 『......お前は誰だ?』

 黒い靄の掛かった人物がアルフに対し、呟く。

 (お前こそ誰だ?)

 アルフも問うが返事は返ってこない。

 『お前は選ばれていない』

 (選ばれる?)

 『お前は一体』

「――――っは!いっ!」

 アルフは目を覚ました。あれは夢だったのか何だったのか未だ分からないままだ。

 だが、おもいっきり起き上がったアルフに誰かの頭が衝突する。

「いってな。ヘレナなにしてん......誰?」

 アルフはヘレナと思い込み、そちらを見るとそこにはアルフが知らない人がいた。だが、その人物はヘレナを助けてくれた人だった。明るめの茶髪に短髪であり、瞳もまた茶色であり、スタイル抜群にも関わらず、服の面積が少ない物を着ている。

「いててて。あ、起きたんだ!うなされてたけど大丈夫?」

 (いや。誰だよ。それに露出しすぎだろ、その服)

 元気な女性に反対に、アルフは不審者を見る目つきでその人を見る。

「あ!私はリーネ!君はアルフ君だよね?」

「え、ええとそうですけど、ここは何処であなたは誰ですか?」

 いきなり知らない人に名前を知られている事に困惑するアルフ。

「記憶喪失?」

「違いますけど!」

 何処か分かっていない事で記憶喪失と間違われたアルフは、一呼吸を置いて辺りを見回すと、ようやく自分が何処にいるか分かったようだ。

「ここはイグナイトの自分の部屋か。てことはあなたはイグナイトの人ですか?」

「そうだよ!それよりも君はどうしてそんなにも強いの!?」

 急にグイグイ来られて若干引いているアルフ。
 だが、リーネの言葉で自分がどうしていたのかようやく分かった。

「もしかして僕とサイクロプスの戦い見てたんですか?」

「そうだよ!気付かなかったの?」

「全然気づきませんでした。ならもしかしてあなたが僕をここまで連れてきたんですか?」

「私と友達が連れてきたよ!いやーびっくりしたよ。団長が強い人をスカウトしてきたっていうからどんな人か色んな人に聞くとレベル4で『初心者迷宮』に行ったって言うし、行ってみたらサイクロプスだっているし」

 うんうんと頷きながら話すリーネだが、アルフは置いてけぼりだった。

「(この人は一体誰の話をしているのだろうか。初心者迷宮?......いや、待てよ。その話に繋がるのって)もしかして俺の事を言ってるんですか?」

 強い人と言われ、誰の事を言っているのか分かっていないアルフだったがようやく気付いたようだ。

「君以外誰がいるのよ!それよりもどうやってレベル4なのにサイクロプスに勝てたの!?」

 話がようやく戻る。

「え、そんな事を言われましても死ぬ気で頑張ったら勝てましたとしか言いようがないですし」

「えええ!そんなんで勝てたら苦労しないよ!」

 リーネは不満を漏らすが、アルフにそれ以上の説明は無理があった。

「そう言われましても、あの時はギリギリでしたしね。どうして勝てたのかは俺にも不思議でしたね」

「うーん。どうしてだろうね」

 リーネもアルフと同じく考えるが、答えが見つからないようだったが、アルフはあまり気にしていないのか、話を切り替え、今の状況を確認する。

「あの、ここって男子部屋ですよね?どうしてあなたが?」

「君が起きてたら話を聞こうと思って入ったらヘレナちゃんがいて、普通にいれてくれた!」

「あ、そうなんですね。それよりもヘレナは無事だったんですよね?何処にいるんですか?」

 アルフはようやく事態が分かってきた。

 (要するにヘレナが助けに来たのがこの人だったのか)

 ヘレナがアルフを助ける為に助っ人を呼ぼうと思っていたら、このリーネと言う人と友達がいた、という事で納得したらしい。

「それがね、さっきから下で騒いでるらしいよ?」

「え?何かあったんですか?」

「分からないけど、さっきからもの凄い騒いでるよ?」

「ちょっと下に降りましょう」

 少しだけ動揺するアルフは少し早歩きで下に降りる。

「(そういえば傷も治ってる)傷もあなた達が治してくれたんですか?」

「そうだよ!って言ってもポーションを掛けてあげただけだけど!」

「ありがとうございます」

 助けて貰ったことに改めてお礼を言うアルフが下に降りると、、

「なんだこれ」

 アルフはその光景に目を疑っている。

「待て――――!忘れて!」

「うう。最高だよヘレナちゃん!なんて健気なんだ!」

「こんな良い子がイグナイトに入るなんて!」

 ヘレナが顔を真っ赤にしながら、イグナイトの人が涙を流しながら追いかけっこをしている光景が見えるのだ。

「......あのコミュニケーション力が殆どないヘレナが普通に話している?」

 アルフは光景ではなく、ヘレナが他人と話している事に唖然としてしまう。
 だが、ヘレナがアルフ達の方に顔を真っ赤にし、怒りの形相で近づくが、用がるのはアルフではなくリーネだった。

「あんたが喋ったんでしょ!」

「え?何の事?」

 リーネは本当に分からない様に首を傾げる。
 ヘレナは顔を真っ赤にしながら、

「だから!その、......迷宮での事よ」

 最後はボソボソと言ったが、リーネは納得が出来たのか、思い出したかのように手を合わせ、

「そう聞いてよアルフ君!このヘレナちゃんがさ」

「ああ!喋らなくていいから!何で喋ってるのよ!」

 ヘレナは大声を上げて、リーネの声を遮る。

「ええ!私あんなの感動して皆に話したよ?」

「何で話してるのよ!ああ!もう終わった!」

 ヘレナは自分の顔を覆いながらしゃがんで、少しの間そうするとまた立ち上がり、

「アル!もう元気ね?元気よね!?迷宮行くんでしょ!?行くわよ!」

「......あ、ああ。確かにもう全然元気だけど」

「じゃあ行くわよ!」

 ヘレナがアルフの手を引いて、自室へと戻り、準備をすると直ぐにイグナイトから出て行く中、ヘレナは皆から温かい目で見られていて赤面していた。

 リーネが皆に話したのはリーネに助けを求めたときの話だ。リーネはそれに感動し、こんな事があったの!っと皆に力説すると、殆どの者が泣き出してしまう始末だ。
 初め、ヘレナが下に降りると少し見られているな程度に思っていたが、話しかけられた人にその話を聞かされ、今に至ったのだ。
 その為、その話をアルフに聞かれたくないからこそアルフを連れだしたという訳だろう。

「なあ、まずステータス更新しに行ってもいいか?」

「別に良いわよ」

 ヘレナにも許可を得たので、アルフとヘレナは冒険者ギルドに向かう。
 ヘレナは外で待っているというので、アルフが一人でケイシーの元に向かう。そして何故か最近お決まりになっている個室だ。

「これがアルフ君のステータスだよ」

 Lv.11 名前 アルフレッド
 年齢 15
 種族 人族
 力 150 C
 敏捷 120 C
 器用 100 C
 知力 100 C
 耐久 190 C
 魔力 5 D
 能力 【格闘】
 称号 無

「おお!能力が出てるじゃないですか!」

 本当はもう二つも能力が出ているのだが、それを知らないアルフは大興奮だ。
 アルフの興奮にケイシーはクスクスと笑いながら、

「能力も凄いけど、やっぱり限界突破出来た事が凄いと思うよ」

「はい!それも嬉しいです!」

 アルフにとって良いことずくめの日だった。
 だが、アルフには言わなければならない事があった。

「......だけどケイシ―さんからもらった防具を駄目にしてしまいました」

 アルフは持ってきておいた防具をケイシーに見せ、謝罪する。サイクロプスとの戦闘でアルフは防具を早速駄目にしてしまったのだ。

「気にしなくていいよ。この防具のおかげでアルフ君が成長できたならそれだけで防具も嬉しいだろうし、私も買ったかいがあったよ」

 だが、それをケイシーは怒ることも無く、気にしていなかった。

「だけどやっぱり武器と防具はきちんと買った方が今後の為にも良いと思うよ?」

「はい。お金が入り次第買おうと思ってます」

 現在アルフの腰には冒険者支援ギルドの支給品の片手剣を貰い、つけている。

「分かっているならいいよ。それじゃあ今日も初心者迷宮に行くの?怪我して治ったばかりなんでしょ?」

「大丈夫です!もう元気なので!」

「なら良いんだけど、もう少しで冒険者ギルドから派遣サイクロプスが現れたことに関して調査が入ると思うから今日で『初心者迷宮』は入れないからね」

「あれ?サイクロプスが出た事知ってるんですか?」

「うん。イグナイトの団長がここに調査依頼をしてきたから」

 (もしかして俺が運ばれてきたことで知ってるのかもしれないな)

「分かりました。一応『最奥の間』には近づかないようにしときます」

「うん。分かってるなら良かった。頑張って」

「はい」

 ケイシーの言葉に返事をしながら、アルフは冒険者支援ギルドを後にした。

 アルフも初めはそこまで病み上がりで迷宮に行くのは賛成ではなかったが、限界突破、そして能力が発現した事によって、やる気が相当漲っている。
 だが、そのやる気は一瞬にして無くなった。

「......あれ?」

 アルフの調子が悪いのだ。
 現在、初心者迷宮の三階層に来ているのだが、アルフの動きが少し鈍い。.....いや、普段通りになっている。
 だが、限界突破をし、サイクロプスとの戦闘での経験によりアルフはギリギリで勝つことに成功する。

「やっぱりまだ調子悪いの?」

 流石に前回と違いが明らかでヘレナも異常があるんじゃと思って心配の声をあげる程だ。

「.....いや、そんな事はない筈なんだけど」

 アルフ自身も少し自分が弱くなっているのではないかと思ってしまう程だ。
 だが、その原因は【最強願望】の能力によるところがある。
 【最強願望】は自分より強い相手にはその能力が発動するが、自分と同じ、もしくは自分より弱い相手には発動しない。
 『初心者迷宮』の魔物の適正レベルは11。よって、今のアルフと同等という事で発動しなかった。
 これが【最強願望】の欠点ともいえる所だ。アルフが強くなれば、強くなるほど、【最強願望】を使う事が出来る場面は減っていく。
 だが、もう一つ、アルフには欠落しているものがある。
 欠落している物についてアルフ自身も分かっていた。

「ヘレナ、悪いけど今日はここまでにしよう。俺も考えなくちゃならない事がある」

「分かった」

 ヘレナも駄々をこねることはなく、二人は三階層で迷宮攻略を終わり、イグナイトに帰還する。

 アルフは自室に、ヘレナはイグナイトの団員に絡まれている。

 アルフは自室でケイシーからもらった『冒険者の基本』の本をもう一度読む。アルフが呼んでいるのは戦闘スタイルについてだ。

 戦闘スタイル。

 簡単に言えば、それは前衛で戦う者か、後衛で戦う者に分けられる。だが、それだけで終わる事はない。そこから自分なりにどんな武器を使うスタイルのなのか、それをアルフは今まで全く考えていなかった。
 それは誰もが冒険者になるには必要なことだ。アルフにとって戦闘スタイルというものはなく、その場その場で、こずるい手を考えて乗り越えてきた。だが、それだけではこれからもやってはいける程冒険者は甘くない。自分なりの戦い方を身に付けなければならない時が来たのだ。

「.....どうするかな」

 アルフが考えていると、ドアがノックされる。

「どうぞ」

 アルフがそう言って入ってきたのは団長のマルクだった。

「アルフ君。暇ならサイクロプスの件について話してもらってもいいかい?」

 アルフがサイクロプスと『初心者迷宮』で戦ったことはリーネの口から広まり、話題になっている。
 だが、マルクが知りたいのはどうして初心者迷宮にサイクロプスが現れたのかが知りたいのだろう。それはアルフも分かっていた。

「そうは言っても話すことなんてあんまりないですよ?」

「それでも少しでも情報はいるんだよ」

 そう言われたらどうしようも無いのか、アルフは『初心者迷宮』での経緯を簡潔に話す。

「.....やはり不思議な事だらけだな。それはそうと、君は今何をしてるんだい?」

「戦闘スタイルについて考えてるんですよ」

「ああ、成る程。それは誰もが通る道だものね」

 マルクは懐かしそうな表情を浮かべながら頷く。

「マルク団長はどんな戦闘スタイルなんですか?」

「僕はこんな容姿だからね。力もそんなにないんだ。だから僕は頭を使うんだ」

 マルクは人差し指を自分の頭に当てながら言う。

「相手の目線、相手の予備動作、そこから知識を振り絞って相手の考えを見抜いて考えるんだ」

「.....凄いですね。そんなことが出来るのはマルク団長だけですね」

 流石はイグナイト団長といった所だろうか。
 そんな事はアルフも行っていた通り、常人離れした人間にしか出来ない。

「まあ、君なりの戦闘スタイルを身に付けるとしてもやっぱりお手本になる人物がいれば楽だろうね」

 マルクに言われ、確かにその通りだと思ったのかアルフは少し考える素振りを見せ、

 (そういえば、俺知り合いいないな)

 アルフは自分の人脈の無さに少し凹んでしまう。
 そんなアルフを見かねてか、

「そうだねえ。......アリスなんてどうだい?」

 その瞬間アルフの身体が硬直する。

「(確かにアリスさんに教えて貰えれば、お近づきになれて、更に自分の戦闘スタイルについても少しは知れるチャンスだ。これは一石二鳥なのでは!?).....そうだな、少し考えてみるよ」

 もうアルフには答えは出ているのだが、好きな事がバレない為なのか、マルクとは目線を合わせず、少し考える素振りを見せる。

 もうマルクにはアルフがアリスが好きなことはバレているのだが、本人は知らない。

「そうかい。誰をお手本にするとしても、君が更に強くなることを期待しているよ」

 マルクはそう言いながらアルフの部屋を出た。
 マルクには、マルクなりの策があった。

 (これでアリスのコミュニケーション力が低いのが少しは改善されるかもしれない。アリスは毒舌だけど、アルフ君好きだから多少は大丈夫だろうし、これでアルフ君の戦闘スタイルが少しでも分かって強くなれば、それで一石二鳥だ)

 マルクは、イグナイトの更なる成長の為、アルフは自分を強くする為に動き出す。
 だが、これには最大の欠陥があった。

 (俺そういえば、アリスさんと喋った事なかった!)

 一階に降りて、食事をしているアリスを発見した所までは良かったのだが、そこからようやく気付けたようだ。

 (どうする!どうする!ここで話かけたらナンパする事になるんじゃ)

 そんな事を考えてしまうアルフだが、こう言いう時だけは男気がある。

 (もう行くっきゃない!)

 アルフは歩き出し、アリスの前に向かう。

「「アリスさん。俺に、(私に)修行を付けてください!!」」

 だが、そこで二つの声が重なる。
 アルフはアリスしか見ていなかった為、他の存在が近付いて来ることに気付かなかった。
 もう一人の方もまたしかりだ。
 もう一人はリーネと一緒にいた女性の一人だった。薄く透きとおる様な緑色の髪に、アリスと同じように後ろで髪を纏め、ポニーテルの髪であり、顔は美少女と言うのが適切な出で立ちをしていた。

 (なんだこの人?誰か分からないけど)

 (この人ってサイクロプスを倒した人?いや、それよりも今は)

 ((この人に譲るわけにはいかない!))

 何故か、一人は初対面の筈なのに、二人は互いに睨み合う格好になっている。
 ここに奇妙なライバル関係が生まれ、アリスは何が起きているのかさっぱり分からないような表情を隠しきれず、食事をする手が止まってしまっていたのだった。
 だが、この二人の出会いが、これからの二人の冒険を、世界を大きく変えることになることを、お互いは知らなかったのだった。

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