ユニークチート【恋の力】は確かに強いけど波乱を巻き起こす!?
アルフVSサイクロプス
アルフは全力で地面を駆け抜ける。片手剣をしっかりと持ち、全力で振るう。
だが、サイクロプスの皮膚をそれ程傷付けている訳ではない。
(やっぱり無理がある。このままじゃ剣がもたない)
だが、サイクロプスも果敢に攻めてくる。そこをアルフはギリギリで避ける。
今のアルフには時間を割いている場合ではない。
そこには二つの理由があった。
一つ。武器がそこまで長く持ちそうにないのだ。今までの一カ月間の使用。そしてこのサイクロプスとの戦いで大きく剣が消耗している。
二つ。アルフの意識はもう既にそこまで残されていない。血を流しすぎている。今もアルフの頭からは出血し、今でこそ致命傷にはなっていないが、このまま続ければ血を流しすぎて危うい可能性だってある。
もって五分といった所だろう。これでも伸ばした方だと判断出来る。後はアルフの気持ち次第だ。
その二つの理由も当然アルフも自身も気付いている。
だが、速く倒さなければならないと考えれば、考える程、焦りを生む。
「ふう」
アルフは一つ深呼吸をして焦りを消す。
そして更に地面をまた蹴り、サイクロプスに突撃する。サイクロプスも負けじと棍棒を振るう。だが、今回はアルフは棍棒を躱すのではなく、その上に乗る。
サイクロプスはその棍棒から振り落とそうと、棍棒を振り回す。
すると、サイクロプスは棍棒に目を向けるが、そこにはアルフの姿はなかった。
サイクロプスは左右を見回すが、そこにアルフの姿はない。
アルフは棍棒を振り回された瞬間に上に跳躍していた。
(剣が駄目なら素手でやってやる!)
アルフはその跳躍を活かし、そのままサイクロプスへと落下する。
血が出るのではないかと思うぐらいアルフは拳を握りしめ、サイクロプスの頭上に落とす。
「ウオオオオオ!?」
サイクロプスは何か起きたのか分からないと言わんばかりの呻き声を発っし、棍棒を振り回すが、既にアルフは殴ると同時に後退していた為、無害であった。
(拳は痛いけどまだ使える)
アルフ自身、自分の武器が剣だけではなく、全てを使えることを再確認して、改めて気を引き締める。
だが、アルフの意識が保てるのは残り三分が良い所だ。
サイクロプスは怒りのせいか、無差別に棍棒を振り回す。
「ウオオオ!」
アルフに突撃しながら来るその猛威にアルフは気圧され、反撃が出来ない状況が作り出される。
(これ以上攻撃を食らったら間違いなく終わる)
アルフの思っている通りである。アルフには猶予として三分は残されているが、それに加えてもう一度でも攻撃を食らえば間違いなく終わりだ。
サイクロプスが猛威を振るう状況の中、アルフは逃げることしか出来ない。
アルフは何とかサイクロプスの攻撃を凌ぎながら打開策を考える。
(この状況でサイクロプスが収まるとは到底思えない。なら、絶対に反撃出来る場面を見逃さない)
アルフは決意の籠った目と共にそう考える。
何処か反撃が出来る場面がないか。一瞬でも隙が見つかれば、それを逃さない様に全神経を研ぎ澄ます。
だが、刻一刻と時間は過ぎていく。
残り二分。
そこにヘレナ達が到着した。
「本当にサイクロプスいるじゃん!」
「在り得ないけど仕方ないわ」
二人の女性がアルフを助けようとして一歩踏み出すが、止まる。
「......ねえ、これって私達邪魔しない方が良いのかな?」
「......分からないわ。だけど危険になりそうならすぐにでも行くわよ」
誰もが、アルフを止めることが出来なかった。血だらけになりながらも必死に戦うアルフの姿に心打たれたからだ。ヘレナも例外ではなかった。
「......凄い」
ヘレナはアルフがサイクロプス相手にあそこまで戦えている事に驚愕するとともに、先程まで助けようと思っていたのに、この戦いを見届けようとしていた。
だが、全員が戦えていると思えている状況でアルフは自分で危険だということが理解出来てきた。
(やばい。意識が朦朧としてきた。もう行くしかない!)
アルフにはサイクロプスが二重に見えているのかもしれない。先程から危うい場面がいくつも見当たる。
アルフはサイクロプスの隙を見つけることを放棄した。
一度棍棒を振り下ろしたところを、アルフは避けると同時に剣を両手で掴み、サイクロプスの胸に突き刺す。
アルフが思い付いたのは、魔石を一突きする事だ。魔石とは魔物の心臓に当たるとされている。だが、大半はこんなことはしない。魔石が傷つけば、冒険者ギルドで交換する際にもお金は減る。だが、アルフにはそんな事を考えている余裕等なかった。
斬るのが、駄目なら突く。この攻撃は正しいだろう。
しかし、
「ウオオオ!」
アルフの攻撃はサイクロプスを消滅する所まで突き刺す事は出来なかった。
アルフはそこからの打開策を考えていなく、サイクロプスが放った棍棒が胸当てに直撃する。
「――――っガハ」
アルフは口から血を流しながら壁へと突撃させる。
終わり。その言葉しか誰もがこの状況を見たとき思い付くだろう。
そこで先程ヘレナを助けた女性が一歩前に進もうとした所で全員に止められる。
「.....さっきまで助けて欲しいなんて言ってた私が言うのもおかしいですが、まだアルフは諦めてません」
「そうよ。それに見てみなさい」
アルフはフラフラになりながらも立ち上がった。
いくらケイシーからもらった防具が良いとしても立ち上がる事は普通は叶わない。
ならどうして立ち上がる事が出来るのか。それはもう理解を超えた何かだろう。
アルフの眼にはもうサイクロプスしか見えていない。
フラフラとしながらも何とか立つことを維持し、前を向いて、全力で駆け抜ける。
「おおおおお!」
アルフは自分を保つかのように声をあげながら、全力でその場を走り抜ける。
だが、サイクロプスの攻撃が止まる事はない。
アルフの足による蹴り、そしてサイクロプスの棍棒が重なり合う。
だが、負けたのは当然と言わんばかりかアルフだ。
アルフはまたしても壁に叩きつけられる。
そこで、ヘレナは目の前の現状を見たくないのか目を瞑り、女性三人も少し歩を進めて助けた方が良いのではないかと、目線を重ねるがどうするべきか迷っていた。
だが、それでもアルフはフラフラとしながら立ち上がる。
もうゾンビと言われてもおかしくはないほどだ。
「......そんな、もう立てる筈がない」
「信じられない」
「確かに、立っているのがやっとって感じですね」
アルフがまたしても立ち上がったことに、助けに来た三人は驚愕せざるを得なかった。
(負ける訳にはいかない。ここで負けたらもう絶対後悔する)
アルフを立ち上がらせるのは、男として勝負には負けるわけにはいかないという意地のみだ。
もうアルフにとって猶予なんてものはないのだろう。
今は目の前の事に集中している。
アルフは、最後の気力を振り絞るのかの様に駆け抜ける。
サイクロプスの攻撃が縦から振り落とされようとした時、アルフがよろめいた。
意識的にやった訳ではない。今までのダメージが大きくふらついただけだ。だが、そのおかげでサイクロプスの攻撃を躱すことに成功する。
だが、そのふらついた一歩が勝利への一歩へと変わる。
アルフはその一歩を踏み出す。
今しか勝機はない。口から出る血も、ふらつく足も全て、歯を食いしばり血を流しながらも耐えているようで、更に拳を握って耐えていた。
そしてもう一歩アルフは踏み込む。
そこにサイクロプスが棍棒をもう一度振り下ろそうとしたが、アルフが一歩速かった。
サイクロプスの胸には未だ、アルフが放った剣が突き刺さっている。
剣の柄を、全ての気力を乗せて殴った。
「はああああ!」
「ウオオオ!?」
サイクロプスは呻き声をあげて、消滅した。
(勝てた。俺やっと成長できたよシスター。そしてアリスさん、少しは追いつけましたかね?)
アルフは今はいない存在にそれでも伝えたかった言葉を心の中で伝えた。
そこでアルフは意識を失い、真っ二つになったサイクロプスの魔石の横で気絶するのだった。
「アル!」
ヘレナは直ぐに駆け付ける。
アルフは、もう意識すら残されていない。だが、命に別状はないだろう。
「......本当に勝っちゃったよ。だけどおかしいな。私が聞いた話だとこの子まだレベル4だって聞いた覚えがあるんだけど」
アルフがレベル10になった事を知らないリーネを助けた女性は倒れているアルフを見ながら呟く。
「その通りよ。この子はレベル4で勝ったのよ」
「レベル4で一回も限界突破してないのに?」
「......そうね」
先程まで肯定していた女性も流石に自信が無くなってきたのか、少し間を開ける。
だが、この出来事はイグナイトに戦慄を覚えさせる。
しかし、これはアルフにとって始まりでしかない。
今から始まるのだ。アルフの冒険譚の始まりだ。
だが、サイクロプスの皮膚をそれ程傷付けている訳ではない。
(やっぱり無理がある。このままじゃ剣がもたない)
だが、サイクロプスも果敢に攻めてくる。そこをアルフはギリギリで避ける。
今のアルフには時間を割いている場合ではない。
そこには二つの理由があった。
一つ。武器がそこまで長く持ちそうにないのだ。今までの一カ月間の使用。そしてこのサイクロプスとの戦いで大きく剣が消耗している。
二つ。アルフの意識はもう既にそこまで残されていない。血を流しすぎている。今もアルフの頭からは出血し、今でこそ致命傷にはなっていないが、このまま続ければ血を流しすぎて危うい可能性だってある。
もって五分といった所だろう。これでも伸ばした方だと判断出来る。後はアルフの気持ち次第だ。
その二つの理由も当然アルフも自身も気付いている。
だが、速く倒さなければならないと考えれば、考える程、焦りを生む。
「ふう」
アルフは一つ深呼吸をして焦りを消す。
そして更に地面をまた蹴り、サイクロプスに突撃する。サイクロプスも負けじと棍棒を振るう。だが、今回はアルフは棍棒を躱すのではなく、その上に乗る。
サイクロプスはその棍棒から振り落とそうと、棍棒を振り回す。
すると、サイクロプスは棍棒に目を向けるが、そこにはアルフの姿はなかった。
サイクロプスは左右を見回すが、そこにアルフの姿はない。
アルフは棍棒を振り回された瞬間に上に跳躍していた。
(剣が駄目なら素手でやってやる!)
アルフはその跳躍を活かし、そのままサイクロプスへと落下する。
血が出るのではないかと思うぐらいアルフは拳を握りしめ、サイクロプスの頭上に落とす。
「ウオオオオオ!?」
サイクロプスは何か起きたのか分からないと言わんばかりの呻き声を発っし、棍棒を振り回すが、既にアルフは殴ると同時に後退していた為、無害であった。
(拳は痛いけどまだ使える)
アルフ自身、自分の武器が剣だけではなく、全てを使えることを再確認して、改めて気を引き締める。
だが、アルフの意識が保てるのは残り三分が良い所だ。
サイクロプスは怒りのせいか、無差別に棍棒を振り回す。
「ウオオオ!」
アルフに突撃しながら来るその猛威にアルフは気圧され、反撃が出来ない状況が作り出される。
(これ以上攻撃を食らったら間違いなく終わる)
アルフの思っている通りである。アルフには猶予として三分は残されているが、それに加えてもう一度でも攻撃を食らえば間違いなく終わりだ。
サイクロプスが猛威を振るう状況の中、アルフは逃げることしか出来ない。
アルフは何とかサイクロプスの攻撃を凌ぎながら打開策を考える。
(この状況でサイクロプスが収まるとは到底思えない。なら、絶対に反撃出来る場面を見逃さない)
アルフは決意の籠った目と共にそう考える。
何処か反撃が出来る場面がないか。一瞬でも隙が見つかれば、それを逃さない様に全神経を研ぎ澄ます。
だが、刻一刻と時間は過ぎていく。
残り二分。
そこにヘレナ達が到着した。
「本当にサイクロプスいるじゃん!」
「在り得ないけど仕方ないわ」
二人の女性がアルフを助けようとして一歩踏み出すが、止まる。
「......ねえ、これって私達邪魔しない方が良いのかな?」
「......分からないわ。だけど危険になりそうならすぐにでも行くわよ」
誰もが、アルフを止めることが出来なかった。血だらけになりながらも必死に戦うアルフの姿に心打たれたからだ。ヘレナも例外ではなかった。
「......凄い」
ヘレナはアルフがサイクロプス相手にあそこまで戦えている事に驚愕するとともに、先程まで助けようと思っていたのに、この戦いを見届けようとしていた。
だが、全員が戦えていると思えている状況でアルフは自分で危険だということが理解出来てきた。
(やばい。意識が朦朧としてきた。もう行くしかない!)
アルフにはサイクロプスが二重に見えているのかもしれない。先程から危うい場面がいくつも見当たる。
アルフはサイクロプスの隙を見つけることを放棄した。
一度棍棒を振り下ろしたところを、アルフは避けると同時に剣を両手で掴み、サイクロプスの胸に突き刺す。
アルフが思い付いたのは、魔石を一突きする事だ。魔石とは魔物の心臓に当たるとされている。だが、大半はこんなことはしない。魔石が傷つけば、冒険者ギルドで交換する際にもお金は減る。だが、アルフにはそんな事を考えている余裕等なかった。
斬るのが、駄目なら突く。この攻撃は正しいだろう。
しかし、
「ウオオオ!」
アルフの攻撃はサイクロプスを消滅する所まで突き刺す事は出来なかった。
アルフはそこからの打開策を考えていなく、サイクロプスが放った棍棒が胸当てに直撃する。
「――――っガハ」
アルフは口から血を流しながら壁へと突撃させる。
終わり。その言葉しか誰もがこの状況を見たとき思い付くだろう。
そこで先程ヘレナを助けた女性が一歩前に進もうとした所で全員に止められる。
「.....さっきまで助けて欲しいなんて言ってた私が言うのもおかしいですが、まだアルフは諦めてません」
「そうよ。それに見てみなさい」
アルフはフラフラになりながらも立ち上がった。
いくらケイシーからもらった防具が良いとしても立ち上がる事は普通は叶わない。
ならどうして立ち上がる事が出来るのか。それはもう理解を超えた何かだろう。
アルフの眼にはもうサイクロプスしか見えていない。
フラフラとしながらも何とか立つことを維持し、前を向いて、全力で駆け抜ける。
「おおおおお!」
アルフは自分を保つかのように声をあげながら、全力でその場を走り抜ける。
だが、サイクロプスの攻撃が止まる事はない。
アルフの足による蹴り、そしてサイクロプスの棍棒が重なり合う。
だが、負けたのは当然と言わんばかりかアルフだ。
アルフはまたしても壁に叩きつけられる。
そこで、ヘレナは目の前の現状を見たくないのか目を瞑り、女性三人も少し歩を進めて助けた方が良いのではないかと、目線を重ねるがどうするべきか迷っていた。
だが、それでもアルフはフラフラとしながら立ち上がる。
もうゾンビと言われてもおかしくはないほどだ。
「......そんな、もう立てる筈がない」
「信じられない」
「確かに、立っているのがやっとって感じですね」
アルフがまたしても立ち上がったことに、助けに来た三人は驚愕せざるを得なかった。
(負ける訳にはいかない。ここで負けたらもう絶対後悔する)
アルフを立ち上がらせるのは、男として勝負には負けるわけにはいかないという意地のみだ。
もうアルフにとって猶予なんてものはないのだろう。
今は目の前の事に集中している。
アルフは、最後の気力を振り絞るのかの様に駆け抜ける。
サイクロプスの攻撃が縦から振り落とされようとした時、アルフがよろめいた。
意識的にやった訳ではない。今までのダメージが大きくふらついただけだ。だが、そのおかげでサイクロプスの攻撃を躱すことに成功する。
だが、そのふらついた一歩が勝利への一歩へと変わる。
アルフはその一歩を踏み出す。
今しか勝機はない。口から出る血も、ふらつく足も全て、歯を食いしばり血を流しながらも耐えているようで、更に拳を握って耐えていた。
そしてもう一歩アルフは踏み込む。
そこにサイクロプスが棍棒をもう一度振り下ろそうとしたが、アルフが一歩速かった。
サイクロプスの胸には未だ、アルフが放った剣が突き刺さっている。
剣の柄を、全ての気力を乗せて殴った。
「はああああ!」
「ウオオオ!?」
サイクロプスは呻き声をあげて、消滅した。
(勝てた。俺やっと成長できたよシスター。そしてアリスさん、少しは追いつけましたかね?)
アルフは今はいない存在にそれでも伝えたかった言葉を心の中で伝えた。
そこでアルフは意識を失い、真っ二つになったサイクロプスの魔石の横で気絶するのだった。
「アル!」
ヘレナは直ぐに駆け付ける。
アルフは、もう意識すら残されていない。だが、命に別状はないだろう。
「......本当に勝っちゃったよ。だけどおかしいな。私が聞いた話だとこの子まだレベル4だって聞いた覚えがあるんだけど」
アルフがレベル10になった事を知らないリーネを助けた女性は倒れているアルフを見ながら呟く。
「その通りよ。この子はレベル4で勝ったのよ」
「レベル4で一回も限界突破してないのに?」
「......そうね」
先程まで肯定していた女性も流石に自信が無くなってきたのか、少し間を開ける。
だが、この出来事はイグナイトに戦慄を覚えさせる。
しかし、これはアルフにとって始まりでしかない。
今から始まるのだ。アルフの冒険譚の始まりだ。
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