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ユニークチート【恋の力】は確かに強いけど波乱を巻き起こす!?

平涼

能力

 「え、ええと俺があなた方戦闘専門であり、冒険者の誰もが入りたがるイグナイトのギルドに勧誘されているのでしょうか?」

 「ああそうだとも。それに敬語も辞めて貰って構わない。先程の君が素なのだろう。それならそうしてくれ」

 アルフにとって最大派閥に勧誘されていることに嬉しい気持ちよりも戸惑いの方が大きいのだろう。

 どうして自分が?そう思うのも間違いないが、それほどまでにマルクはアルフの戦闘に関して評価しているという事だろう。

 「.......家族と話してからでもいいか?」

 アルフも敬語は苦手なので、マルクに言われ、もう既にタメ語になっている。

 「全然構わないよ。その代わり家が何処にあるか教えて貰ってもいいかな?二日後に出向くから」

 「分かった。じゃあ俺はここで」

 アルフは足を速くしながら出て行く。

(これ以上あそこにはいられない。アリスさんを見ると、心臓がバクバクして正常な判断が出来るわけない!)

 アルフにとってアリスという存在はそれ程までに魅力的だったのだろう。

 実際アリスの容姿は美人で、世界で五本の指に入る程の美人と言われてもおかしくない程だ。

 気持ちを抑える様に足並みを速くしていたアルフであったが、ふと、足が止まる。

(待てよ。アリスさんはイグナイトという戦闘専門の強いギルドに入っている。さっきの足の速さと言い相当強い筈だ。そんな彼女と俺は月とすっぽんだ。それにイグナイトに入っているという事は少なからず弱い人はタイプではないと判断できる。そう考えたら、アリスさんは強い人が好き?)

 勝手に変な結論に至ってしまうアルフであった。

(......決めた。俺はアリスさんより強くなって、惹かれる存在になったとき、告白しよう)

 アルフは心の中でそう決めた。
 変な解釈をしてしまったアルフであったが、誰もそれを指摘する者はいないのだった。

 だが、実際アリスは強者だ。アルフは知らないが、彼女は女性冒険者最強とも謳われている。
 そんなアリスが自分より弱い存在に惹かれるだろうか?
 アルフの考えはあながち間違っていないのかもしれない。

 自分の結論が出たのか、アルフは走りながら辿り着いたのは冒険者ギルド。

 「あ!ケイシ―さん!」

 アルフが入って真っ先に向かったのは、一カ月前冒険者として活動してからいつもお世話になっている冒険者支援ギルドの受付嬢であるケイシ―である。

 ケイシーはピンク色の髪を上で丸めて整えている髪型に、顔は美形である所謂美少女と言われてもおかしくない存在。ケイシーは、密かに冒険者ギルドで人気なのは本人は知らないのだった。
 ケイシ―もアルフに気付いた様で、手を振っている。

 「アルフ君、今日は遅かったね」

 「まあ、ちょっと色々ありまして。取り敢えずステータス更新してもいいですか?」

 「う、うん。別に構わないけど」

 何もしていないにも関わらず、ステータスを更新するというアルフの言葉に少し不思議そうにするケイシーであったが、自分の手持ちから水晶を取り出し、アルフは水晶の上に手を置く。

 この水晶は、その人物の力、敏捷、耐久、器用、知力、運のステータスを更新出来る物でありながら、自分が持っている能力、魔力についても知ることが出来る代物であった。これは冒険者支援ギルドでしかない代物である。

 水晶が一瞬眩く光り、消える。これは、ステータスが更新された証拠であった。ステータスを更新すると、水晶の下から一枚の紙が出る。
 ケイシ―が、アルフのステータスを一通り読むと、

 「ふむふむ。......え?嘘」

 ケイシーは最初は普通に読み進めていたが、後ほど顔が驚愕に染まる。

 「どうしました?もしかして、ステータス沢山上がってたりして?」

 アルフの考えも最もだろう。アルフは盗賊をマグレとはいえ、一網打尽にした。そのおかげでステータスが大幅に上がっていたとしても何ら不思議ではない。

 「ちょ!ちょっと待ってね!」

 すると、何故かケイシ―は後ろでゴソゴソと動き出す。

 「よし。ちょっとこっち来て」

 ケイシ―に手を引かれ、アルフは冒険者ギルドにある個室へと連れて行かれる。

 ここは中級冒険者等が自分のステータスを他人に見られないように受付嬢と一対一で話す所。
 初心者が行く場所ではない。

 「どうしてここに?」

 アルフが当然の疑問をぶつける。

 「アルフ君さ、今日何かあった?」

 「え?ケイシ―さんって予知能力でもあるんですか?」

 アルフの顔が驚愕に変わる。

 「そんな事を言うということは何かあったんだね。それで何があったの?」

 「イグナイトにスカウトされました」

 「え?冗談?」

 「マジです」

 「ええええええ!?」

 ケイシ―が驚くのも無理はない。彼女はアルフが冒険者活動を始めて、レベル四から全く上がってない事を知っている。そんなアルフに最大派閥イグナイトからのスカウトがあると言えば驚くのは当然だ。

 「ケイシ―さん。声がデカいですよ。ステータスに何かあったんですか?」

 「え、ええと、別に何もないよ?」

 ケイシーは目を逸らしながら答えて紙を差し出す。どうみても何かあったに違いない顔であったが、アルフは気付いていない。

 ステータスを確認すると、

  Lv.4 名前 アルフレッド 
 年齢 15
 種族 人族
 力 190 C
 敏捷 260 C
 器用 310 C
 知力 200 C
 耐久 240 C
 運 300 C
 魔力 5 D

 「(以前更新したのと大して変わってないな。ただおかしいな)ケイシ―さん。あの能力の部分が無いですけど」

 本当なら、これに加えて能力と称号の項目がある。ただ、称号に関してはレベル二十からでないと手に入れないので、アルフも気にしていない。

 「それね!ちょっと水晶が壊れちゃって!けど安心して!無だから!」

 「そうなんですか」

 もしかしたら能力が発現しているのと思ったのだろうが、ケイシ―の答えはアルフが期待しているのとは違っていた。

 「けど、そうなんだ。アルフ君がイグナイトにスカウトか。全く信じられないや」

 「そうですね。僕も今でも信じられません」

 アルフは遠くを見ている様な目をする。

 「それでイグナイトにはどうするの?入るの?」

 「俺の意見としては入りたいです」

 それがアルフの偽りなくはっきりとした答えだった。
 ただ、アルフは俺の意見としては、と言った。そこには他に問題があるのだろう。それにケイシ―も気付いた。

 「俺の意見って事は他に問題でもあるの?」

 「ケイシーさんも知っていると思いますが、俺には家族がいます。家族が働いている中、俺は他のギルドに入って戦闘に専念しても良いのかちょっと迷ってて」

 それがアルフのもう一つの問題なのだろう。
 アルフにとって育ててくれたマリアは今も賢明に働き、ヘレナもマリアの手伝いをしている中、アルフは冒険者として働きたいと言った時、マリア、ヘレナに反対されたが、アルフはどうしてもやりたいと懇願した。その結果、アルフは十五歳からという条件付きで冒険者をすることを許可してもらえたのだ。
 理由が理由であり、貧しい生活をしている二人が懸命に働ている中、自分だけが違うギルドに入り、好きな事をしていていいのかとアルフは思っているのだろう。反対はされないかもしれないが、自分自身であるアルフが許せないのかもしれない。

 「......私はアルフ君がやりたい事をやった方が良いと思うよ。人生は一度きりなんだからやりたいことをやるのが一番だと私は思うな」

 「ケイシ―さんは俺に優しいですね。美人で優しいとか反則でしょ」

 そのアルフの言葉にケイシーは赤面......していない。
 彼女にとってアルフにこんな言葉を投げかけられるのはいつも通りなのだ。適当にあしらいながらケイシーは話を進める。

 「はいはい。ありがとね。まあ、この件は家族で話すとして、一つだけ忠告しておくけど、最近【迷宮盗賊】って言うのがいるから気を付けてね」

 「それ倒しました......あ」

 アルフは反射的に答えてしまったが、その件は、アルフはケイシ―に話すつもりなかった。
 ケイシーは冒険者に無茶だけはさせたくないというのが信念であり、自分の担当する冒険者には全員言っており、その中でもアルフはレベル四という事もあり、ケイシーから口酸っぱく言われ続けていたことだった。
 だからこそ、アルフも盗賊と戦ったという話をすれば、絶対に怒られると思って話すつもりはなかったのだろう。反射的に口を塞ぐが無意味であった。

 「もう遭っちゃったの?」

 「は、はい」

 アルフは今更違うと言っても意味は無いと悟ったのか、正直に肯定する。

 「それで倒したの?」

 「マグレで倒せました」

 それからアルフは全てを話した。当然アリスに惚れた事は話していないが。

 「......ハア。今日はアルフ君に驚かされてばっかりだよ」

 ケイシーはもう溜め息をつくしかなかった。

 「僕も驚いていますから」

 「それじゃあ、絶対に今後は無茶しない事。今回は偶々勝てたかもしれないけど、次に勝てる保証はないんだからね?アルフ君はもっと自分がレベル四だという事を自覚するように」

 「......分かりました」

 アルフはケイシーと約束し、自分の家族にどう伝えるか考えながら帰る。

 だが、その一方でケイシーは仕事場の自分の席で頭を抱えていた。

(どうしたらこんな事が起きたの)

 ケイシーが一枚の紙きれを眺めながら考え込む。

 そこには、

 能力 【最強願望】【恋の力】
 称号 無

 それはアルフのステータス項目の能力の部分だ。

 ケイシーはアルフにこの能力を隠してしまったのだ。

 【最強願望】
 自分より強い強敵と戦う時、全ステータス大幅上昇。強敵に打ち勝つ事で成長促進。

 【恋の力】
 想い人の前で戦う時にだけ、一時的に全ステータス莫大上昇。

 この二つの能力を初めて見たとき、ケイシーは驚愕を隠せなかったのは仕方ない事だろう。

 (【最強願望】この能力は家族の為に力を得たいという事が今更ながら発動したと言ってもまだ大丈夫だと思う。だけどこれはアルフ君が無茶しそうだし、見せない方が良かったよね?)

 ケイシーは自分が情報秘匿という大きな罰則を犯したことに少なからず、罪悪感を覚えているのだろう。
 しかし、ケイシーはアルフを思い、敢えて言わなかったのだ。それは別に悪い事ではない筈だ。

(だけどもう一つの【恋の力】が問題よね。これってどうみても私の事じゃない!)

 ケイシーもまた、大きく間違った結論を出していた。

 (私がアルフ君に優しくしたのが駄目だったの!?だけどあれは受付嬢として当たり前の事をしたまでだし!アルフ君がいつも私を美人だとか言っていたのは冗談かと思ったけど違ったのね)

 冗談ではないだろうが、その答えは間違いであった。

(だけど、アルフ君の事は友達として見ていて、恋人ってなるとまた違うような。アルフ君がこれ見たら絶対に意を決して私に告白するに違いない!私まだアルフ君に対しての気持ちが分からないの!だから私の気持ちに整理が付いたらちゃんと教えるから!)

 ケイシーのとんだ勘違いにより、アルフは自分の能力に気付かないのだった。

 (......ただ、こんなにも能力に出る程アルフ君は強くなろうとしてるんだ。それなら少しは助けてあげたいな。もしも勘違いさせるとしても)

 ケイシーはアルフに手助けしてあげようと心に決めた。

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