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ユニークチート【恋の力】は確かに強いけど波乱を巻き起こす!?

平涼

出会い

 「君を僕のギルドに勧誘しよう。入らないかい?」

 座り込んでいるアルフレッドに突如として話しかける少年。どうみても十歳以下ぐらいにしか見えないこの少年。

 この少年との出会いがこの物語の主人公アルフレッドの人生を大きく変えることを今のアルフが知る由も無かった。

 時間は遡り、三十分前。

 アルフは今日も今日とて冒険者活動に励もうとしていた。

 この男の家族はいない。二歳の頃、孤児院の前に置かれていた。

 だが、そんな中でもアルフレッドは元気な子として過ごしていたが、ある事件をきっかけに最大都市【アリシア】に出向き、今ではアルフレッドの育ての親シスターことマリア、同じ孤児院のヘレナと過ごし、マリアとヘレナはポーション売りに励んでいる。

 そんな中、アルフが何故シスターとヘレナと一緒にポーションを売らずに冒険者活動をしているのか、それには二つの理由がある。

 一つ、家族を守れる力が欲しいから。

 二つ目として英雄アラン物語。その影響を受けて、冒険者ってカッコイイし、モテそう!

 こんな理由で冒険者を始めた男であった。

 アルフは、冒険者支援ギルドと言う、名前の通り冒険者を支援するギルドに向かい、クエストを受ける為、歩いていたのだが、チラリと背後を一瞥する。

 (誰かつけてるな。俺を好きな女の子のストーカーか?)

 一瞬そんな事を考えてしまうアルフであったが、直ぐに現実を知る。

 (全然違うな。どうみても盗賊だ)

 つけている相手に気づかれないように背後をもう一度チラリと見るが、盗賊は気付いていない。
 背後には獲物を見つけたような顔を隠そうともしない、歪な笑みを浮かべた盗賊が三人いる。

 (どうするかな。俺レベル四だし、お金だって全く持ってないから盗られる物はないが、あちらさんには分からないんだろうな)

 レベル四とは、一般男性もよりも下回るレベルであった。通常、アルフと同じ十五歳の一般男性はレベル十が通常であったが、アルフは遥か下に存在していた。

 そんな考えを知る由もない盗賊は、アルフに気づかれていないと思い、後をつけている。
 ゆっくり歩いていたアルフは盗賊が絶好の狙い場所にいるだろう裏路地に入る。盗賊は、今だと言わんばかりに裏路地に入るが、それこそが盗賊にとって致命的だった。

 (今だ!)

 アルフは盗賊が裏路地に姿を現した瞬間、道端に落ちている石を拾い上げ、入ってくる盗賊の一人の顔面に直撃させる。『痛いので良い子は真似をしないように』

「いっ!」

 突然の攻撃に為す術もなく最初に入ってきた一人の盗賊の顔に直撃する。石と言っても十五歳のレベル四のアルフでも全力で投げれば、相当な痛みを及ぼす。

 盗賊の一人は相当な痛みだったのか、屈み込んで頭を抑える。

「嵌められた!......っち!仕方ない!やるぞ!」

 盗賊に関しても逃げることは出来ただろう。だが、仲間がやられ、頭に血が上ってそんな事を考えていなかった。
 一人の盗賊がアルフへと襲い掛かる。もう一人は石を当てられた盗賊が無事か確認をしていた。
 しかし、アルフからして逃げられない事は好都合だった。
 盗賊は懐に隠していた小型のナイフを取り出し、アルフに向けて走る。

 (マジかこいつら。絶対頭に血が昇ってるな。ここでもし俺を殺したら罪が重くなることも分かってないな)

 だが、アルフはそれでも余裕の表情だった。
 頭に血が上っている輩ならば、動きが単調になるのだ。
 盗賊二人の内一人がナイフを真っすぐ突きを放ってくるが、それを躱す。

「――なっ!」

 避けられると思っていなかった盗賊は勢いをつけすぎてコケる。
 その間にもう一人を仕留める為にアルフは動き出す。

 もう一人は仲間がやられると思っていなかったのか、ナイフを取り出していなかったようで、直ぐに取り出そうとしたが、アルフと盗賊の間にはそこまでの距離は無い。

 アルフは自分の武器である片手剣を取り出し、柄の部分で盗賊の腹を殴る。

 (まだ犯罪者にはなりたくないんでね。斬らないでおこう)

 盗賊といってもまだ、アルフに何もしていない状況でアルフが殺せば犯罪になるかもしれないのだ。それを考慮して剣で斬ることはしなかった。

「――――っカハ!」

 腹を殴られた盗賊は、アルフの攻撃が効いたのか片足を地面につけてしまう。
 残りは、先程アルフが剣を避けた盗賊一人になる。

「この野郎!」

 コケてからまた立ち上がった盗賊の最後の一人またしてもアルフに向かって走って行く。

 (逃げればいいものを)

 アルフは先程投げた石を拾い、向かってくる盗賊に投擲する。
 今度は頭には当たらず、脚に当たるがそれでも相当の威力だったようで、盗賊は足を抑える。

「まだやるか?(決まった!自分でも今のはカッコイイと思ってしまった)」

 アルフは最後の一人に剣先を向けると盗賊は投降した。今では、アルフの前で反省の意思を示す為、正座を行っていた。

「それで、お前らはなんで俺を狙ったんだ?」

 (まずそれを聞くのか)

 まずそこかよとツッコみたくなる気持ちを盗賊は内心で考えながらもアルフにやられたせいか、口には出さないようだ。

 (普通、盗った物を全部出せとかそこら辺だろ)

 (こいつ、馬鹿なのか?)

 他の二人も内心アルフを少し侮辱するが口には出さない。
 三人は遠慮がちに互いに目線を合わせる。

「正直に答えろ」

「......え、ええとちょっと弱そうだなって......こいつが言っていまして」

 盗賊の一人が正直に話すと、アルフの顔が怖かったのか、直ぐに仲間を売る。

「おい!ふざけんな!お前らがこいつ装備も揃ってないけど、弱そうだから狙おうぜって言ったじゃねえか!」

「ちげえよ!お前がこいつ小心者だろうから狙えるぜって言ったんじゃないか!」

 三人が三人互いに我が身可愛さに仲間を売るが、アルフにとっては全員許せなかった。

(俺ってそんな小心者オーラ出てんのか?結構ショックなんですけど。装備が揃ってないのも貧乏なのも仕方ないけどさ!)

 現在進行形で小心者オーラ出ているのが本人には分からないのだろう。あまりの言われように、アルフは無意識に剣に手を掛けていた。
 剣で斬られると思ったのか、盗賊の三人は慌てて口を揃えて命乞いをする。

「ど、どうか許して下せえ!殺すのだけは勘弁してください!盗った物全て差し出しますから!」

「お願いします!」

「どうか!ご慈悲を!」

 ビビりまくり、下っ端感丸出しで命乞いをする盗賊三人の姿に自分の方が上だと思ったのか調子をよくしたのかご機嫌になったアルフは、盗った物を全部差し出す盗賊は流石に殺すのだけは止めておくようだ。

「これで全部か?」

「はい!勿論です!」

 少し怪しいと思ったのかアルフは、座っている盗賊の一人のポケットを手で触ってみると、何か感触があったのか、ポケットに手を突っ込む。取ってみると翡翠色をした宝石が出てきた。

「これは?」

「すみません!」

 直ぐに頭をペコペコさせながら謝る盗賊の一人の姿に他の二人も目を逸らしながら隠していた物を観念したのか、正直に差し出す。

(こいつら禄でも無い事考えてやがったな。それにしてもこの宝石。売ったら何金になるんだろ)

 禄でも無い事を考えているのは誰なのか自分では分からないようだった。

「流石に見逃す訳にもいかないから冒険者ギルドに行くぞ?いいな?」

「はい!それで構いません!」

「もうそれでお願いします!」

「神様です!流石です!」

 冒険者ギルドと言われている所は実際は中立中正な、冒険者支援ギルド。冒険者を支援する立場でありながら、冒険者だった者が何かしら犯罪を行えば、それを取り調べ牢獄に送る手筈になっている。

 牢獄では、死刑よりもきつい刑である。死ぬまで牢獄で過ごし、飯は不味く食えたものではない。そんな中暮らすのだが、この盗賊三人組はどうやら生きれればそれでいいと思っているのかもしれない。

「......これは」

 アルフが三人を連れて路地裏を出ようとしている所で、一人の男性......少年が出てくる。
 何処か大人びた顔立ちだが、身長が百四十センチであり、どうみても小さい男の子にしか見えない。

「おう、坊主。危険だから離れてろよ」

 アルフがそう言いながら三人を連れて行こうとしている時に、今目の前に立っている少年はすれ違いする瞬間に服の裾を持たれ止められる。

「どうした?」

「君がこいつらをやったのか?」

「そうだけど。(こいつどうみても子供だよな?意外と大人びてんな)」

「済まないがこいつらの身柄を僕に渡してくれないだろうか?僕達はそこにいる奴らに用があってね。当然お金は支払う」

「お金?」

 アルフが疑問に思うのも仕方ない事なのだが、こいつらは賞金首であり、最近有名な【迷宮盗賊】である。この三人組は迷宮内で盗みを働きすぎて、賞金が掛かっているのだが、アルフは魔物を倒し、レベルを上げる事しか考えていなかったので知る由もない。

「こいつらは最近出てきている【迷宮盗賊】と言ってね。迷宮の浅瀬にいる冒険者の物を盗って儲けている賞金首だったんだ」

(マジか。こいつら賞金が掛かっているという事は結構強いんじゃないのか?俺ほんとマグレで勝ててよかった)

 表情にこそ出していないが、アルフは心底ビビっているのだろう。

「それで身柄を渡してくれないだろうか?」

「全然構わないし、お金もいらない。こいつら倒せたのだってマグレだし」

「本当かい?感謝するよ」

 その男性が背後にいる盗賊の元に行こうとした時だ。二人は話に夢中で盗賊の行動を見ていなかった。盗賊はコソコソと身動きをしてアルフの手から逃れ移動し始めていたのだ。

「あ!あいつら!」

 アルフが自分が見ていなかったことに少しの罪悪感を覚えたのか、追おうとするが、

「大丈夫だよ。アリス!そちらに行った!」

 その男性が路地裏を出て、叫ぶと、

「了解」

 直ぐに駆け付けた水色の髪をしている女性が走って盗賊を追いかける。

 (今の人速すぎるだろ。目で追いつけなかったぞ。だけど美人だったような気がする)

 アルフが罪悪感は忘れ思っていると、数分も経たない内に盗賊三人を縄で捉えた女性、名をアリス。透きとおった水色の髪を後ろで結び、ポニーテールの髪形に水色の瞳、その顔、姿は男女問わず引き込まれてしまいそうになる美しさを持っていた。

(――――やばい――――やばい――――やばい――――やばい―――――美人過ぎる!)

 現在アルフの顔は全力疾走の後に出る様に顔は真っ赤で、心臓の鼓動は人生で最高潮に高鳴っている。
 その光景を見ていた隣にいる少年の様な男性は、

 (初めて人が一目惚れしている光景を見てしまった)

 少し驚愕していた。

 実際アルフは一目惚れをしているのだろう。アルフにとってアリスはドストライクの人だったのか、先程からアルフはアリスから眼を離すことが出来なかった。
 少年は気を取り直すように軽く咳払いし、

「改めて自己紹介をしよう。私はマルク=レイバード。イグナイトの団長で、こっちがアリスだ」

 マルク。その容姿は子供と思わしき姿をしていたが、髪は白髪であり、顔は何処か大人びており、出で立ちは、何処か大人の雰囲気を醸し出す少年が、隣にいるアリスを見ながら自己紹介する。

「どうも」

 マルクが紹介する事で、隣にいるアリスもペコリと一礼する。

「俺はアルフレッドです。(おかしいな。イグナイト?何処かで聞いた事がある様な......あ!)」

 そこでアルフも気付いたのだろう。

 イグナイト。それは都市三大派閥の一つのギルドだ。
 三大派閥。経営、魔石研究、そして戦闘専門の三つがあり、イグナイトのギルドはその戦闘専門に入る。
 三大派閥であり、戦闘専門のギルドであるイグナイトの団長であるマルクに対してアルフは坊主呼ばわりし、挙句にタメ口を聞いていたのだ。今更ながらに自分の犯した過ちに気付いたのだろう。

「大変申し訳ございません!(やばい、やばい!殺されてもおかしくない)」

 アルフは額に冷や汗を流しながら、今度は違う意味で心臓が高鳴りながら、東方で知られている土下座に入る。東方の人が見れば、その美しい土下座に感嘆するだろう。

「アハハ。気にしなくていいよ。僕は小人族パルゥム。そう思われても仕方ないからね」

 マルクは気にしていない様に苦笑いで応じる。

「ありがとうございます!(なんと器が広い人だろうか。これが最大派閥の団長か)」

 それから頭を上げてくれと言われ、アルフは申し訳ないような形で土下座を辞めるが、正座は崩さない。反省の印なのだろう。

「少し申し訳ないと思っているならどうやってこの盗賊を倒したのか教えて貰ってもいいかい?」

 マルクにそう言われたので、アルフは正直に全て話した。
 一目惚れした相手の前でこずるい手を使った話をするのも少しだけ葛藤があったのかもしれないが、反省も兼ねて全て話す。
 自分が石を投げて戦ったことなど全て。

「君は凄い事を思いつくな。普通、冒険者なら剣を使って倒そうと思うんじゃないのかい?」

 当然の疑問だが、アルフにとっては仕方ない事だろう。

「......僕はレベル四ですからあんな盗賊達相手に真っ向から勝てないので。(このアリスさんの前でレベル四だって言ってしまった。幻滅していないかな?)」

 アルフにとっては他の誰よりもアリスの評価を気にしているようだ。
 だが、アリスは表情を崩していない為、何を考えているのか分からないが、マルクは違った。彼はあまり表情を表に出す男ではないが、こればっかりは出てしまい、戸惑いを隠せていなかった。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。君はレベル四なのかい?」

「はい。そうですけど。(もしかしてレベル四で冒険者なんてやるなよカス!って言われるのだろうか)」

 アルフは一体マルクに対してどんなイメージを持っているのか定かではないが、不謹慎な事を考えていた。
 だが、一方のマルクにはそんな感情は微塵も無かった。

(この男は凄いな。レベル四でもめげずに 冒険者をやっていることも凄いが、それ以前にレベル四で、この盗賊達を相手しているのが凄い。この男は嘘を言っているようには思えない。こずるいと言えばそうだが、その作戦を短時間で思いつくのも凄い)

 マルクはアルフに対して尊敬と同じ感情を抱いていた。それほどまでにアルフのしたことは凄いことなのだろう。
 マルクの気持ちを知らないアルフは次に来るマルクの声がどうなるか怖がって縮こまっている。何時の間にか、先程の盗賊と立場が逆になっている。
 縮こまっているアルフに対し、少年から手が差し伸べられる。

「アルフレッド君。君はイグナイトに入る気はないかい?」

「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――え?」

 それはアルフが想像していたどの声とも違っていたのだろう。時間を空け、思わず間抜けな声が出ている。

(え?イグナイトってあの最大派閥だよな?そこに誰が?俺が!?)

 アルフは目をパチクリさせながら呆けている。

 これが、アルフレッドの人生を大きく変えることを本人が知る由も無いのだろう。

 アルフレッドの冒険が今ここから始まるのだった。

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