神の力を喰らった魔術師《マジックキャスター》

白葉南瓜

【第14話】旅立ち

 決闘と、シルヴァとの契約が終わったとにアイルたちは家へ戻っていた。
 
「はぁー...やりすぎたから、この国からは出て行かないと行けないかな...」

アイルはそんな事を呟きながら、その準備をしていた。アマテラスとシルヴァはその姿を見て驚いては居なかった。
 アイルの判断は正しい、何故か、それはアイルが決闘に使ったあの魔術は表面は禁忌ではないが、その書の説明をすれば禁忌だということが分かる。その事を理解していた二人は、驚くそぶりも無く落ち着いていた。

「アイル...私は、貴方が何処へ行っても付いていきます。私は、貴方の戦友であり剣ですから」

「私もだぞ、アイルよ。まぁー、元々アイルが居ないと生きていけないってのもあるけど」

そんな事を、言いながら三人は笑いあっていた。
 その時、国王直系の兵士達が馬車からでてきた。

「アイル殿、決闘直後ですが、もう一度、国王の元へ」

「分かりました」


 アイルが、国王の元へ行くと、そこには包帯がグルグル巻きの王子が横に居て、数人の護衛が居て、国王はまだ玉座には居なかった。
(人を呼んでおいて、遅刻か...こっちは、荷造りとかあるんだけど)
そう思いながらも、この一件は、王子が決闘中の事を言ったのかと思っているアイルは、王子の事を軽く睨みつけると王子は勢い良く首を横に振った。

「呼んでおいて、すまない。またせたな」

 アイルが、睨みを利かせながら、王子の事を見ていると後ろの扉が勢い良く開き、そこから息を切らした国王が入ってきていた。国王は、アイルに謝罪すると玉座に腰をかけ、息を整えてから話し始めた。

「今回の決闘見事であった。お主は勝者だ、申した報酬を捧げよう...あと、その顔を見るに何か言いたいことがあるのだろう?」

「良く分かりましたね...明日にはこの国を出て行きたいと思っています」

そう言うと、国王は驚いたように目を見開いた後に、少し不安を顔に浮かばした。

「安心してください。今回の大戦はこの国の魔術師として戦います。一時的に、旅に出ると思っていただけるとありがたいです」

「何故、この国を出て行くと思ったのか聞かせて欲しい...お主の両親を見殺しにしたからか?」

「いえ、そうではありません...」

アイルは、今回の決闘で使った《逆流の書・第一節【オーヴァーロード】》の事を話した。国王は、それを利いた後は、納得したように、今の国と仲がいい国が馬車で一日と半日走ったところにあると言い、そこの地図とそこに入るための通行手当てを渡した。

「では、行って来ます」


 アイルが、城内から出て行くと、階段のところで何時かのように待っているシルヴァがいた。シルヴァはアイルが国王に呼ばれている間に、義父に旅に出る事を言いに行っていた。

「そっちは大丈夫だった?」

「一応はね...戻ってくる前にお土産を持ってくることとかって言われてしまったよ」

シルヴァは、アイルの隣に並びながら歩いていると、シルヴァの首元にネックレスをつけている事をアイルは気付いた。

「シルヴァ、そのネックレスは?」

「あぁ、これは、義母が旅に幸運がありますようにって、言う願いを詰めたものだよ」

アイルが、そのネックレスに魔術探知をかけてみると微かに妖精の加護がかかっていることが分かった。
 アイルは、本当に愛されているんだなって思いながら荷造りをどうするか家路についた。


 家についてから、最初にやり始めたのがシルヴァに渡した【金獅子の刀】の魔術効果の定着エンチャントをし始めていた。
(エンチャントには、生命のユリの茎と...この短剣でいいか)
エンチャントの魔術式に短剣を乗せているところをシルヴァに見られ、シルヴァはそのことを止めにかかっていた。

「シルヴァ、安心して。また新しい魔術に特化してる武器作るから...あと、剣は二本もいらないからさ」

そう言って、シルヴァに説明すると、シルヴァはそのまま荷造りに戻っていった。
 エンチャントが成功して、刀を手に取ると紫色の炎と雷が纏っていた。
(さて、新しい魔術特化の武器...確か、鎌も特化できる術式があったような)
アイルは、その記憶を辿って紙の山の中から一枚、鎌の術式を見つけ出した。

「全部あるから作れるな。っとその前に、荷造りしちゃお」


 荷造りが終わり、部屋が綺麗になったところで、床に術式を書き、指定された所に鉱物や素材を置いて、そこの中心に立った。

「我はアイル・インフィニット。我のマナに耐えその全てを預けられる器を召喚せよ!」

そういうと、アイルの右手に素材が集まっていき形が成っていった。
 形が、出来上がりその光が晴れると、右手にはかなり大きめな大鎌が出来上がっていた。

「あれ?もしかしてこれって...混沌竜の鎌カオスドラゴン・デスサイズ?」

鎌を壁に架け、武具の書をペラペラ捲りながら調べていると、結構、魔術適正が良く切れ味が落ちないと示されていた。

「あ、当たり引いた...」

 旅立ちの前に、運を使い切ったアイルに待っている、ことは...

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品