神の力を喰らった魔術師《マジックキャスター》
【第11話】嵐の前の静けさ
アイルたちが、《竜を喰らう竜》の討伐を終わらして酒場に戻ってきた時には、キリーが入り口まで走ってきて出迎えていた。その後ろでは、少し怯えて寂しそうな表情を浮かべたシルビアが、キリーの服の裾を掴みながら顔を覗かしていた。
「まったく、何やってるの二人とも!シルビアちゃんから聞いたけど、何がどうなって竜を喰らう竜の討伐になるのよ!?しかも、希少種の!」
「そう怒鳴るなよ、キリー...他の人たちも見てるから。経緯は、狙ってた竜が、そいつに食われてて遭遇したみたいな感じだし、勝機はあった。それと、どこも怪我してきてないんだから万々歳じゃない?」
アイルがそう言うと、キリーは額に手を当てて呆れていた。それから、アイルに近づき耳打ちした。
「アマテラスを解放して無いでしょうね?」
「...え、したよ?じゃないと勝てないからねー」
アイルが普通じゃない?見たいな感じでいうとキリーは頭を抱えながら唸っていた。
その光景に、少し疑問を持ってアイルは頭を働かせるとやってはいけない事をやってしまったと後悔し始めていた。
「多分、君も分かってきただろうけどアマテラスを解放させるとその場にアイルと解放状態のアマテラスのマナの残り香が残るから、この件を聞きつけた国はアイルの事をどう扱うか知らないけど、面倒なことになるのは間違いないよ」
「そ、そうだった...」
アイルはその事を言われながら、頭を抱えているが、横でシルビアとアマテラスが笑いあいながらさっきまでの出来事が嘘だったようにじゃれあっていた。
「ま、何かが起きてからでいいよ。それじゃ、僕は行くよ」
そういい、アイルは酒場を後にした。
案の定、次の日の朝カーテンを開けると、家の前にはシルヴァが護衛たちと共に来ていた。
「アイル殿!国王がお呼びです。ご同行を」
シルヴァはそう言い、国王じきじきの手紙を掲げて呼びかけていた。その声は、アイル以外の二人にも聞えておりアマテラスが扉から覗き込み、その後ろに眠そうに目を擦っているシルビアがついてきていた。
「はぁー...行くしかないのか」
シルヴァの馬車にアイルたちはのり、国王の元まで連れて行かれた。それは、お世辞でも歓迎されているとはいえない状況下だった。
国王のもとまで連れてこられるとそこには20を超える護衛が並んでいた。
「朝早くから名家の最強騎士で呼び出して、何ですか国王?」
「アイル・インフィニットよ、お主...」
アイルは、その言葉の次で国を敵に回す可能性があるので、唾を飲んで次の言葉を待った。
「ドラゴンイーターをどう倒した?それと、シルヴァ・ファングとの決闘の時に使った、あの《王器》の術式はどこで手に入れた」
国王は、その答えを焦らせるように、何時もは細い目を開きアイルを睨みつけていた。ここでアイルが下手な回答をすれば、この国の全てが敵になる。
だが、アイルは、敵になっても構わないし、敵になったところで脅威ではないと思っていたが、その考えが一本の剣で乱れる。その一本の剣は《金色の剣》...別名【全ての頂点を示す剣】、その剣は、アエマ・インフィニット、アイルの母が生前に使っていた剣だ。
その剣は、この国で頂点に立てる強さを持っているものにしか与えられない物だが、それを王子が持っていた。
「早く答えぬか!アイル・インフィニット!」
「ドラゴンイーターを倒したのは、【混沌の剣】、シルヴァ殿との決闘で使った【王の槍】は、父の書籍にあった本で独学で...」
王にそう答えると、王は近くにいた魔術師に目をやっていた。
(...審判の気星、そんなに僕のことが信用できないか?)
アイルが、そんな事を思っていると、国王は頷き、また顔を此方へ向けてきた。
「アイル・インフィニット。お主が私を騙していないことは分かった。だが、一つだけ教えてくれ。何故、あの大魔術を独学で覚えられた?」
「それは、父がまとめていた本には、どのようにマナをまわし何処で術式を刺激すればいいかと事細かくかいてありましたので。私も最初からあそこまでいけたわけでなく、最初は鉄の槍を触媒にしてやっていましたので」
「そうか、それなら筋が通るな...」
「父上、まだ半信半疑でおられるのならばこの私と決闘をして、それを目の前で証明させればいいことなのではないでしょうか!?」
その声の主は、国王の隣で話を聞いていた王子が手を揚げながら言っていた。その腰に提げている【金色の剣】を護衛の人々にも見せ付けるように前へ出てきた。
その剣が光に当たると、剣は神々しく光を反射させていた。
「なぜ、この件に王子が出てくるのです?」
「この剣を見れば分かるであろう?私はこの国で一番最強なのだ...だから、お前をこの私が直々に見てやろうといっているのだ。どうせ、ドラゴンイーターを討伐したのも大人数であろ?でなければ、こんな魔術師ごときが一人で倒せるわけが無い、しかも【混沌の剣】などと底の知れた剣で」
「それは、宣戦布告であってるか?王子」
「ああ、宣戦布告だ。ここで降りてもいいのだぞ?だが、一生、負け犬の札を貼られて生きていくことになるがな」
はぁ、とアイルは一回ため息をつき後ろを一度見ると、剣の柄に手を当てたシルヴァと目が合った。
(今回は、シルヴァも頼りに出来そうにないな...だったら受けるしかないのか)
「分かった。その決闘受け入れよ。だが、審判は国王、貴方にやっていただきたい。そして、勝った暁には、王子が提げている【金色の剣】とシルヴァ・ファングをいただく。NOとは言わせませんよ国王、決闘は挑まれたほうが審判、報酬を優先的に決定する権利がある。そうですよね?」
「はっはっは。これは面白い!分かった。この決闘、私が持った!」
国王が椅子から立ち上がりながらそう言うと、護衛の人たちは驚きの声とその光景に興奮した人たちの声がその場に混ざった。
だが、その中心にいるアイル・インフィニットとジリキス・レヴィ・ヴァリトスは冷たく静かに睨みあっていた。
「まったく、何やってるの二人とも!シルビアちゃんから聞いたけど、何がどうなって竜を喰らう竜の討伐になるのよ!?しかも、希少種の!」
「そう怒鳴るなよ、キリー...他の人たちも見てるから。経緯は、狙ってた竜が、そいつに食われてて遭遇したみたいな感じだし、勝機はあった。それと、どこも怪我してきてないんだから万々歳じゃない?」
アイルがそう言うと、キリーは額に手を当てて呆れていた。それから、アイルに近づき耳打ちした。
「アマテラスを解放して無いでしょうね?」
「...え、したよ?じゃないと勝てないからねー」
アイルが普通じゃない?見たいな感じでいうとキリーは頭を抱えながら唸っていた。
その光景に、少し疑問を持ってアイルは頭を働かせるとやってはいけない事をやってしまったと後悔し始めていた。
「多分、君も分かってきただろうけどアマテラスを解放させるとその場にアイルと解放状態のアマテラスのマナの残り香が残るから、この件を聞きつけた国はアイルの事をどう扱うか知らないけど、面倒なことになるのは間違いないよ」
「そ、そうだった...」
アイルはその事を言われながら、頭を抱えているが、横でシルビアとアマテラスが笑いあいながらさっきまでの出来事が嘘だったようにじゃれあっていた。
「ま、何かが起きてからでいいよ。それじゃ、僕は行くよ」
そういい、アイルは酒場を後にした。
案の定、次の日の朝カーテンを開けると、家の前にはシルヴァが護衛たちと共に来ていた。
「アイル殿!国王がお呼びです。ご同行を」
シルヴァはそう言い、国王じきじきの手紙を掲げて呼びかけていた。その声は、アイル以外の二人にも聞えておりアマテラスが扉から覗き込み、その後ろに眠そうに目を擦っているシルビアがついてきていた。
「はぁー...行くしかないのか」
シルヴァの馬車にアイルたちはのり、国王の元まで連れて行かれた。それは、お世辞でも歓迎されているとはいえない状況下だった。
国王のもとまで連れてこられるとそこには20を超える護衛が並んでいた。
「朝早くから名家の最強騎士で呼び出して、何ですか国王?」
「アイル・インフィニットよ、お主...」
アイルは、その言葉の次で国を敵に回す可能性があるので、唾を飲んで次の言葉を待った。
「ドラゴンイーターをどう倒した?それと、シルヴァ・ファングとの決闘の時に使った、あの《王器》の術式はどこで手に入れた」
国王は、その答えを焦らせるように、何時もは細い目を開きアイルを睨みつけていた。ここでアイルが下手な回答をすれば、この国の全てが敵になる。
だが、アイルは、敵になっても構わないし、敵になったところで脅威ではないと思っていたが、その考えが一本の剣で乱れる。その一本の剣は《金色の剣》...別名【全ての頂点を示す剣】、その剣は、アエマ・インフィニット、アイルの母が生前に使っていた剣だ。
その剣は、この国で頂点に立てる強さを持っているものにしか与えられない物だが、それを王子が持っていた。
「早く答えぬか!アイル・インフィニット!」
「ドラゴンイーターを倒したのは、【混沌の剣】、シルヴァ殿との決闘で使った【王の槍】は、父の書籍にあった本で独学で...」
王にそう答えると、王は近くにいた魔術師に目をやっていた。
(...審判の気星、そんなに僕のことが信用できないか?)
アイルが、そんな事を思っていると、国王は頷き、また顔を此方へ向けてきた。
「アイル・インフィニット。お主が私を騙していないことは分かった。だが、一つだけ教えてくれ。何故、あの大魔術を独学で覚えられた?」
「それは、父がまとめていた本には、どのようにマナをまわし何処で術式を刺激すればいいかと事細かくかいてありましたので。私も最初からあそこまでいけたわけでなく、最初は鉄の槍を触媒にしてやっていましたので」
「そうか、それなら筋が通るな...」
「父上、まだ半信半疑でおられるのならばこの私と決闘をして、それを目の前で証明させればいいことなのではないでしょうか!?」
その声の主は、国王の隣で話を聞いていた王子が手を揚げながら言っていた。その腰に提げている【金色の剣】を護衛の人々にも見せ付けるように前へ出てきた。
その剣が光に当たると、剣は神々しく光を反射させていた。
「なぜ、この件に王子が出てくるのです?」
「この剣を見れば分かるであろう?私はこの国で一番最強なのだ...だから、お前をこの私が直々に見てやろうといっているのだ。どうせ、ドラゴンイーターを討伐したのも大人数であろ?でなければ、こんな魔術師ごときが一人で倒せるわけが無い、しかも【混沌の剣】などと底の知れた剣で」
「それは、宣戦布告であってるか?王子」
「ああ、宣戦布告だ。ここで降りてもいいのだぞ?だが、一生、負け犬の札を貼られて生きていくことになるがな」
はぁ、とアイルは一回ため息をつき後ろを一度見ると、剣の柄に手を当てたシルヴァと目が合った。
(今回は、シルヴァも頼りに出来そうにないな...だったら受けるしかないのか)
「分かった。その決闘受け入れよ。だが、審判は国王、貴方にやっていただきたい。そして、勝った暁には、王子が提げている【金色の剣】とシルヴァ・ファングをいただく。NOとは言わせませんよ国王、決闘は挑まれたほうが審判、報酬を優先的に決定する権利がある。そうですよね?」
「はっはっは。これは面白い!分かった。この決闘、私が持った!」
国王が椅子から立ち上がりながらそう言うと、護衛の人たちは驚きの声とその光景に興奮した人たちの声がその場に混ざった。
だが、その中心にいるアイル・インフィニットとジリキス・レヴィ・ヴァリトスは冷たく静かに睨みあっていた。
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