日替わり転移 ~俺はあらゆる世界で無双する~(※MFブックスから書籍化)
24.最初からクライマックス
青い空。白い雲。
それに加えて銀の太陽、金の月。
普通の地球なら、そんなものはない。
「クッ。まだ無事かマトーヤ!」
「ええ、ミシュカス……でも、これ以上はもう、魔力がもたないかも……」
でも、異世界なのだ。
きっと、普通の光景であるに違いない。
「せっかくディストラーダを倒せたっていうのに、こんなことになるなんてよ!」
「まだです、ベルク! ここで諦めたらシェルムにカーシア……それに、ディストラーダを裏切ってまで時間を稼いでくれたアージェランの犠牲が無駄になります!」
それによく見ると地面も黄金の歯車が連結した、機械か何かでできているし。
よく見ると、大地も遠くに見える。
空に浮く建築物に、俺はいるんだろう。
なーに、異世界ではそれぐらい普通普通。
「みんな、聞いて。わたしの命も魔力に変えれば、まだファイナルベルを鳴らせるかもしれない」
「何を言ってるんだマトーヤ! そんなことをすれば、キミは!」
うん、見上げた空のほとんどが金の月で覆いつくされている。
現在進行形で迫ってきてるし、たぶん落ちてきてるよ。
ひょっとしたら、この異世界は滅びる瀬戸際にあるのかな。
なーに、こんなの異世界では日常茶飯事だ。
「ミシュカスの言う通りだぜ! そもそも犠牲の連鎖を絶つためにディストラーダを倒したってのに、お前が死んだら意味がねぇだろ!」
「でも……」
それはさておき。
舞台演劇のド真ん中にほっぽり出されたような、このシチュエーション。
なに? なんなの? お互いの名前を呼び合いながら会話したりして、みんな劇団員なんですか?
「ベルクの言う通りですよ、マトーヤ。それに貴女の体はもう、貴女だけの命ではないのですよ」
「そ、そうね。そうだったわ。ありがとうリーシエ」
修道服メガネっ子のセリフに、何やらキラキラ鎧の男とミニスカ美女が赤くなっているわけですが……。
あ、おふたりともそういう関係なんですね。
ヒューッ! おめでたですね!
「みんな、今こそ力を合わせて奇跡を起こすぞ! クライムーンを止めるにはそれしかない!」
きっと俺が来てる時点で奇跡起こっちゃってると思いますけどー。
「ええ!」「おう」「はい!」
ダメだ、こりゃ。
この劇団員たち、完全に自分たちに酔ってて俺に気づく様子がない。
仕方ない。すっごく声かけづらいけど……。
「あのー。盛り上がってるところ、すいませーん」
「「「「へ?」」」」
劇団員の皆さんの目が、背後の俺に集中する。
奇妙な申し訳なさも手伝って、つい丁寧語になってしまった。
まあいいや、これで通そう。
「どなたか、今の状況を説明してくださる方はいませんかね」
「貴方誰よ! ディストラーダの仲間!?」
ミニスカ美女さんが警戒した様子でステッキのような武器をこちらに向ける。
他の劇団員も大体同じような反応だった。
いや、その質問の前にディストラーダが誰なのか小一時間ほど説明してほしいんですけど。
まあ、台詞から察するに劇団員さん達の敵なんだろうね。
「違います。自分、逆萩亮二といいまして。通りすがりの者です。聞けばなにやら、お困りの御様子」
「え? いや、まあ困っては……いるけどよ」
ベアクロー装備の人が困ったようにスキンヘッドを掻いた。
「お助けしましょうか。お呼びとあらば即参上が自分の仕事でして。たぶん、皆さんのうちの誰かが無意識のうちに助けを求めて、自分が召喚されたんじゃないかなーって思うんですけど」
劇団員のみなさんが顔を見合わせて困っている。
なんなのほんと、この場違い感。
すっごく帰りたいんですけど!
こんないたたまれない気持ちになるなら、イツナかシアンヌあたり起こしておけばよかった。
「クライマックスなのに、ぽっと出の俺が水差してホントすいません。でも、一応喚ばれたからには役目を果たさないといけないんで」
「うーん。ひょっとして、さっきのでしょうか?」
修道服メガネっ子が何かに思い当たったようだ。
「あ、ああ。そういえば……周囲の転送陣が光った気がしたな」
キラキラ鎧の人も思い出したご様子。
ああ、俺の足元にあったテレポーターっぽいやつね。
ここと他の階層と繋ぐための装置に見えるけど、そんなのでも召喚陣としての役目は果たす。
俺が召喚されるときに、他の転送陣に魔力が流れて光ったのかもしんない。
「確か、ディストラーダがクライムーンの落下を予言したときだったはずだ」
「くらいむーん?」
「ええ、あの大きいのがそうよ」
キラキラ鎧の人の説明を引き継ぐ形で、ミニスカさんが金の月を指差した。
「あのとき全員、あの月を止めて世界を救いたいと願ったと思うわ」
「なるほど。つまり、あの落ちてくる月を止めればいいんですね?」
そうとわかれば話は簡単。
腕をポキポキ鳴らしつつ、劇団員の皆さんから離れて金の月と向き合うよう前進する。
そんな俺を無謀と見てか、ベアクローの人が止めに入ってきた。
「待て! あれだけ巨大な月なんだぞ。たったひとりでどうにかできるわけねえだろうがッ!」
「あ、大丈夫。任せてください……それが誓約ということであれば、誠心誠意やらさせていただきます」
俺を利用しようとしたんじゃなくて、純粋に助けてもらいたいって願いみたいだし。
こういう召喚だったら喜んで役目を果たさせてもらうよ。
というか、いつもこうならいいのに。
「あ、ところで止めるってことでしたけど。別にあの月って破壊してしまっていいんですよね?」
「え? まあ、確かにディストラーダが外の世界から持ってきた月らしいから、いいと思うけど……破壊?」
キラキラ鎧の人の戸惑いを背に、俺は頷く。
「承りました」
やり方はいろいろ思いつくけど、一番派手なのにしてやろうじゃないの。
「自己領域展開」
まずはこの異世界すべてを結界で覆う。
こうしないと、月の破壊の余波で異世界を傷つけてしまう。
それで世界が滅んだら「月を止めて世界を救う」という誓約だった場合、達成失敗になるからな。
俺の魔力波動以外通さないように設定したから、このままでも月は結界にぶつかって自滅する。
たかだか衛星の衝突ぐらいでヒビが入るほど、俺の結界はヤワじゃないのだ。
もちろん衝突を待つつもりは毛頭ない。
「大破壊魔法……えーと、とりあえず100倍で」
魔法圧縮、同時発動、無限魔力、重複制限解除、無詠唱、その他もろもろのチートを発動。
大破壊魔法100発分の魔力を瞬時に圧縮し、凝縮されたゴルフボール大の緑光を手中に生み出した。
これでダメならもう一発、今度は1000倍で撃てばいい。
「ほい、デデーンっとな」
金の月に向かって完成した大破壊魔法を思い切り投擲する。
光が結界をすり抜けたところで結界の条件を俺の魔力も遮るように変更。
それから金の月に到達するまで17秒ほど経過した後。
金の月が巨大な爆発を起こしながら消滅した。
「ヒューッ! 綺麗な花火だぜ」
うんうん、星の最期というのは本当に綺麗なもんだね。
イツナたちにも見せてやりたかったな。
「ク、クライムーンが……消えた」
「信じられない!」
「嘘だろ……」
「でも、世界は救われたのですね!」
劇団員の皆さんが喜んでいるようで何よりである。
無事に俺の足元にも召喚陣の光が出現したし、誓約はビンゴだったようだ。
「貴方はいったい……」
ミニスカさんの問いかけに、俺はいつものように肩を竦める。
「なーに、通りすがりの異世界トリッパーで――」
「貴様ら。よくも、我がクライムーン要塞を破壊してくれたな!」
……おい、人の決め台詞に割り込んだのはどこのどいつだ?
「ディストラーダ! 生きていたのか!?」
「いいえ、あれは亡霊だわ。ファイナルベルのコアを使って現世に留まっているのよ!」
劇団員さん達が説明してくれながら見上げる方向に、途方もなく巨大で邪悪そうな悪霊が一匹。
たぶんファイナルベルのコアっていうので魂の代わりのエネルギーを確保してるんだろうけど、どうでもいいや。
「そのとおり。クライムーン要塞が破壊されるとは思わなかったが、こうなった以上はワシの勝ちだ。これで我が復讐は為る!」
「クッ、させるか!」
「貴方なんかに負けないわ!」
「てめぇの身勝手な復讐なんかに世界をやらせはしねぇ!」
「アージェラン。私にもあなたの勇気を貸してください!」
うーん、もう足元に召喚陣も出てるけど。
行きがけの駄賃だ。
無言で巨大亡霊に大破壊魔法を放り投げる。
「無駄だ。肉体を失った我が魂は不滅。如何なる攻撃でも傷つけることバァーーーー!?」
不死殺しチートも効果てきめん、跡形もなく消滅させたった。
人の話に割込んだりするからだよ。
「およ?」
各々セリフを言ったときのポーズのまま、何故かフリーズしている劇団員の皆さん。
「まあいいか。さっきの質問だけど、俺は異世――」
その瞬間、俺の視界が光に閉ざされた。
「――界トリっぷあ?」
「おお、勇者よ。どうか魔王を倒してくれ!」
いつものセリフ。
いつもの召喚部屋。
どこか見慣れた感のある恰幅の良い王様が、何故だか無性に懐かしい。
ああ、なんか故郷に戻ってきた感がすごいする。
「おう、任せろ! 俺は通りすがりの異世界トリッパー、逆萩亮二だ!」
なんでだろうね。
セリフが全部言えたくらいで、こんなに感動するのは。
それに加えて銀の太陽、金の月。
普通の地球なら、そんなものはない。
「クッ。まだ無事かマトーヤ!」
「ええ、ミシュカス……でも、これ以上はもう、魔力がもたないかも……」
でも、異世界なのだ。
きっと、普通の光景であるに違いない。
「せっかくディストラーダを倒せたっていうのに、こんなことになるなんてよ!」
「まだです、ベルク! ここで諦めたらシェルムにカーシア……それに、ディストラーダを裏切ってまで時間を稼いでくれたアージェランの犠牲が無駄になります!」
それによく見ると地面も黄金の歯車が連結した、機械か何かでできているし。
よく見ると、大地も遠くに見える。
空に浮く建築物に、俺はいるんだろう。
なーに、異世界ではそれぐらい普通普通。
「みんな、聞いて。わたしの命も魔力に変えれば、まだファイナルベルを鳴らせるかもしれない」
「何を言ってるんだマトーヤ! そんなことをすれば、キミは!」
うん、見上げた空のほとんどが金の月で覆いつくされている。
現在進行形で迫ってきてるし、たぶん落ちてきてるよ。
ひょっとしたら、この異世界は滅びる瀬戸際にあるのかな。
なーに、こんなの異世界では日常茶飯事だ。
「ミシュカスの言う通りだぜ! そもそも犠牲の連鎖を絶つためにディストラーダを倒したってのに、お前が死んだら意味がねぇだろ!」
「でも……」
それはさておき。
舞台演劇のド真ん中にほっぽり出されたような、このシチュエーション。
なに? なんなの? お互いの名前を呼び合いながら会話したりして、みんな劇団員なんですか?
「ベルクの言う通りですよ、マトーヤ。それに貴女の体はもう、貴女だけの命ではないのですよ」
「そ、そうね。そうだったわ。ありがとうリーシエ」
修道服メガネっ子のセリフに、何やらキラキラ鎧の男とミニスカ美女が赤くなっているわけですが……。
あ、おふたりともそういう関係なんですね。
ヒューッ! おめでたですね!
「みんな、今こそ力を合わせて奇跡を起こすぞ! クライムーンを止めるにはそれしかない!」
きっと俺が来てる時点で奇跡起こっちゃってると思いますけどー。
「ええ!」「おう」「はい!」
ダメだ、こりゃ。
この劇団員たち、完全に自分たちに酔ってて俺に気づく様子がない。
仕方ない。すっごく声かけづらいけど……。
「あのー。盛り上がってるところ、すいませーん」
「「「「へ?」」」」
劇団員の皆さんの目が、背後の俺に集中する。
奇妙な申し訳なさも手伝って、つい丁寧語になってしまった。
まあいいや、これで通そう。
「どなたか、今の状況を説明してくださる方はいませんかね」
「貴方誰よ! ディストラーダの仲間!?」
ミニスカ美女さんが警戒した様子でステッキのような武器をこちらに向ける。
他の劇団員も大体同じような反応だった。
いや、その質問の前にディストラーダが誰なのか小一時間ほど説明してほしいんですけど。
まあ、台詞から察するに劇団員さん達の敵なんだろうね。
「違います。自分、逆萩亮二といいまして。通りすがりの者です。聞けばなにやら、お困りの御様子」
「え? いや、まあ困っては……いるけどよ」
ベアクロー装備の人が困ったようにスキンヘッドを掻いた。
「お助けしましょうか。お呼びとあらば即参上が自分の仕事でして。たぶん、皆さんのうちの誰かが無意識のうちに助けを求めて、自分が召喚されたんじゃないかなーって思うんですけど」
劇団員のみなさんが顔を見合わせて困っている。
なんなのほんと、この場違い感。
すっごく帰りたいんですけど!
こんないたたまれない気持ちになるなら、イツナかシアンヌあたり起こしておけばよかった。
「クライマックスなのに、ぽっと出の俺が水差してホントすいません。でも、一応喚ばれたからには役目を果たさないといけないんで」
「うーん。ひょっとして、さっきのでしょうか?」
修道服メガネっ子が何かに思い当たったようだ。
「あ、ああ。そういえば……周囲の転送陣が光った気がしたな」
キラキラ鎧の人も思い出したご様子。
ああ、俺の足元にあったテレポーターっぽいやつね。
ここと他の階層と繋ぐための装置に見えるけど、そんなのでも召喚陣としての役目は果たす。
俺が召喚されるときに、他の転送陣に魔力が流れて光ったのかもしんない。
「確か、ディストラーダがクライムーンの落下を予言したときだったはずだ」
「くらいむーん?」
「ええ、あの大きいのがそうよ」
キラキラ鎧の人の説明を引き継ぐ形で、ミニスカさんが金の月を指差した。
「あのとき全員、あの月を止めて世界を救いたいと願ったと思うわ」
「なるほど。つまり、あの落ちてくる月を止めればいいんですね?」
そうとわかれば話は簡単。
腕をポキポキ鳴らしつつ、劇団員の皆さんから離れて金の月と向き合うよう前進する。
そんな俺を無謀と見てか、ベアクローの人が止めに入ってきた。
「待て! あれだけ巨大な月なんだぞ。たったひとりでどうにかできるわけねえだろうがッ!」
「あ、大丈夫。任せてください……それが誓約ということであれば、誠心誠意やらさせていただきます」
俺を利用しようとしたんじゃなくて、純粋に助けてもらいたいって願いみたいだし。
こういう召喚だったら喜んで役目を果たさせてもらうよ。
というか、いつもこうならいいのに。
「あ、ところで止めるってことでしたけど。別にあの月って破壊してしまっていいんですよね?」
「え? まあ、確かにディストラーダが外の世界から持ってきた月らしいから、いいと思うけど……破壊?」
キラキラ鎧の人の戸惑いを背に、俺は頷く。
「承りました」
やり方はいろいろ思いつくけど、一番派手なのにしてやろうじゃないの。
「自己領域展開」
まずはこの異世界すべてを結界で覆う。
こうしないと、月の破壊の余波で異世界を傷つけてしまう。
それで世界が滅んだら「月を止めて世界を救う」という誓約だった場合、達成失敗になるからな。
俺の魔力波動以外通さないように設定したから、このままでも月は結界にぶつかって自滅する。
たかだか衛星の衝突ぐらいでヒビが入るほど、俺の結界はヤワじゃないのだ。
もちろん衝突を待つつもりは毛頭ない。
「大破壊魔法……えーと、とりあえず100倍で」
魔法圧縮、同時発動、無限魔力、重複制限解除、無詠唱、その他もろもろのチートを発動。
大破壊魔法100発分の魔力を瞬時に圧縮し、凝縮されたゴルフボール大の緑光を手中に生み出した。
これでダメならもう一発、今度は1000倍で撃てばいい。
「ほい、デデーンっとな」
金の月に向かって完成した大破壊魔法を思い切り投擲する。
光が結界をすり抜けたところで結界の条件を俺の魔力も遮るように変更。
それから金の月に到達するまで17秒ほど経過した後。
金の月が巨大な爆発を起こしながら消滅した。
「ヒューッ! 綺麗な花火だぜ」
うんうん、星の最期というのは本当に綺麗なもんだね。
イツナたちにも見せてやりたかったな。
「ク、クライムーンが……消えた」
「信じられない!」
「嘘だろ……」
「でも、世界は救われたのですね!」
劇団員の皆さんが喜んでいるようで何よりである。
無事に俺の足元にも召喚陣の光が出現したし、誓約はビンゴだったようだ。
「貴方はいったい……」
ミニスカさんの問いかけに、俺はいつものように肩を竦める。
「なーに、通りすがりの異世界トリッパーで――」
「貴様ら。よくも、我がクライムーン要塞を破壊してくれたな!」
……おい、人の決め台詞に割り込んだのはどこのどいつだ?
「ディストラーダ! 生きていたのか!?」
「いいえ、あれは亡霊だわ。ファイナルベルのコアを使って現世に留まっているのよ!」
劇団員さん達が説明してくれながら見上げる方向に、途方もなく巨大で邪悪そうな悪霊が一匹。
たぶんファイナルベルのコアっていうので魂の代わりのエネルギーを確保してるんだろうけど、どうでもいいや。
「そのとおり。クライムーン要塞が破壊されるとは思わなかったが、こうなった以上はワシの勝ちだ。これで我が復讐は為る!」
「クッ、させるか!」
「貴方なんかに負けないわ!」
「てめぇの身勝手な復讐なんかに世界をやらせはしねぇ!」
「アージェラン。私にもあなたの勇気を貸してください!」
うーん、もう足元に召喚陣も出てるけど。
行きがけの駄賃だ。
無言で巨大亡霊に大破壊魔法を放り投げる。
「無駄だ。肉体を失った我が魂は不滅。如何なる攻撃でも傷つけることバァーーーー!?」
不死殺しチートも効果てきめん、跡形もなく消滅させたった。
人の話に割込んだりするからだよ。
「およ?」
各々セリフを言ったときのポーズのまま、何故かフリーズしている劇団員の皆さん。
「まあいいか。さっきの質問だけど、俺は異世――」
その瞬間、俺の視界が光に閉ざされた。
「――界トリっぷあ?」
「おお、勇者よ。どうか魔王を倒してくれ!」
いつものセリフ。
いつもの召喚部屋。
どこか見慣れた感のある恰幅の良い王様が、何故だか無性に懐かしい。
ああ、なんか故郷に戻ってきた感がすごいする。
「おう、任せろ! 俺は通りすがりの異世界トリッパー、逆萩亮二だ!」
なんでだろうね。
セリフが全部言えたくらいで、こんなに感動するのは。
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