僕はまた、あの鈴の音を聞く

りんね

No. 17転校生が転校する理由

冬。

三学期が始まり、そろそろ一ヶ月が過ぎようとしている今、僕たちのクラスに、転校生がやってきた。

嬉野うれしのつむぎ

神崎冬夜いわく、彼女は僕のことを知っているという。

このパターンはきっとあれだ......

また、僕だけが覚えていないパターンということだ。

というか、僕の知り合い女子ばかりじゃねえか......。


嬉野紬の特長を二つ程挙げさせてもらうと、一つ目は背の高さだ。

女子にしては背が高いが、170センチはないくらいだと思う。

そして、二つ目は後ろでぎゅっと結んでいるポニーテールだ。

まぁ、この二つはあくまで身体的特徴であって、彼女の内面については分かりかねない。

しかし、この自己紹介を通し、僕は彼女の内面についてもしやというものが浮かんだ。

それは......


嬉野紬は、教室に入ってくるや否や、元気よく挨拶をした。

その後も、自分の好きなもの、嫌いなもの、得意なこと、苦手なことなどを十分近く言い続け、最後に彼女は自分が転校してきた理由についてこう言った。

「私、どうしてもこの学校に来たくて仕方なかったんです!......ということで、来ちゃいました!」

一同は唖然である。

彼女のことを多少知っているらしい神崎も、これには苦笑いをしていた。

すると、再び教室が開き、今度こそ僕らの担任である東山先生が入ってきた。

「はぁ、はぁ、嬉野さん。いなくなったと思ったら、やっぱりここにいたのね」

東山先生、ずっと探してたのか。

「あっ!先生。駄目じゃないですか!勝手にいなくなったら」

嬉野紬が驚いた表情でそう言った。

「いなくなったのはそっちでしょ!」

東山先生は、今年教員になったばかりらしい。

なので年が近く、つい同い年のような扱いを受けてしまう。

それは、嬉野紬も例外ではないようだ。

「嬉野さん、とりあえず自己紹介は終わった?」

「......ハイ!終わりましたー!」

ー突然、彼女の自己紹介は終了した.....。

というか、このテンションの高さはなんなんだ。僕が知らないだけで、転校生って、こんなにも元気なのか?

「嬉野さんの席は......あっ、神崎君の後ろの空いてる席に座ってもらえる?」

......ん?

僕の席は教室の一番後ろ。しかも左端だ。

そして、横の席はいない。

さらに、僕の右斜め前には、神崎が座っている。

つまり......

「ハイ!分かりました!......あっ、お隣の方、よろしくお願いします!えっと、お名前は......」

「.......そう来たか」

「はい?」

ここまでの流れで、僕はある仮定が立った。

嬉野紬。

彼女は元気がいいのではなく、馬鹿なのではないだろうかと......

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