僕はまた、あの鈴の音を聞く
No.7 早めの再会
僕と伊藤穂波は約三十時間ぶりに再会した、というよりも再会してしまった。
「なんでいるの?」
教室のドアから数歩歩き、座っている僕にゆっくり近づいた伊藤が、不満気に言った。
「別に、帰宅部が放課後残っていてもおかしくないだろ?」
「そうじゃなくて!何で東山先生じゃなくてしん君なのかってことだよ!」
「その言い方酷くないか」
時と場合によっては、永遠の傷になってもおかしくないぞ。
「......酷い?よくそんな事言えたねしん君」
伊藤はわざと僕の名前を強調するように言った。
「伊藤、もしかして怒ってる?」
「あ」
「あ?」
「当たり前だよ! 久しぶりに会えたと思ったら、大事な、大事な約束忘れてるなんて、これが怒らないでいられるか!」
(少し素が出てないか?)
「その件については、僕が悪かったって。とりあえず落ち着いて」
その後、何とか落ち着いた伊藤は、近くの椅子に座った。
要するに、僕と伊藤が座ったまま向かい合わせている状況だ。
「.......それで、しん君、結局思い出せたの?」
「悪い、全くだ」
「まぁ、そうだろうね。思い出していたらこんなにゆっくり話してなんかないだろうし」
「.......なぁ、伊藤。いい加減教えてくれないか?僕は多分.......」
ー思い出せない。
僕は、言葉を詰まらせた。記憶喪失のことをいうべきか悩んだからだ。
すると、僕が言い切る前に、伊藤がこう言った。
「だーめ。しん君には自力で思い出してもらわなきゃ、意味ないもん」
「そうなのか?」
「そうだよ。だから、今は待っててあげることにする。しん君が私との約束を思い出したら、その時こそ、返事...待ってるよ」
そう言って、彼女は照れるように笑った。
ー決めた。
「早速だけど穂波」
「何、しん君?」
「実は、穂波に言わなくちゃいけないことがあるんだ」
「うん」
「.......」
そして僕は、口を開いた。
「なんでいるの?」
教室のドアから数歩歩き、座っている僕にゆっくり近づいた伊藤が、不満気に言った。
「別に、帰宅部が放課後残っていてもおかしくないだろ?」
「そうじゃなくて!何で東山先生じゃなくてしん君なのかってことだよ!」
「その言い方酷くないか」
時と場合によっては、永遠の傷になってもおかしくないぞ。
「......酷い?よくそんな事言えたねしん君」
伊藤はわざと僕の名前を強調するように言った。
「伊藤、もしかして怒ってる?」
「あ」
「あ?」
「当たり前だよ! 久しぶりに会えたと思ったら、大事な、大事な約束忘れてるなんて、これが怒らないでいられるか!」
(少し素が出てないか?)
「その件については、僕が悪かったって。とりあえず落ち着いて」
その後、何とか落ち着いた伊藤は、近くの椅子に座った。
要するに、僕と伊藤が座ったまま向かい合わせている状況だ。
「.......それで、しん君、結局思い出せたの?」
「悪い、全くだ」
「まぁ、そうだろうね。思い出していたらこんなにゆっくり話してなんかないだろうし」
「.......なぁ、伊藤。いい加減教えてくれないか?僕は多分.......」
ー思い出せない。
僕は、言葉を詰まらせた。記憶喪失のことをいうべきか悩んだからだ。
すると、僕が言い切る前に、伊藤がこう言った。
「だーめ。しん君には自力で思い出してもらわなきゃ、意味ないもん」
「そうなのか?」
「そうだよ。だから、今は待っててあげることにする。しん君が私との約束を思い出したら、その時こそ、返事...待ってるよ」
そう言って、彼女は照れるように笑った。
ー決めた。
「早速だけど穂波」
「何、しん君?」
「実は、穂波に言わなくちゃいけないことがあるんだ」
「うん」
「.......」
そして僕は、口を開いた。
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