世界一 甘ったれな恋

佐久

-出会い-

植物は小さな種から少しずつ育っていく
色も大きさも 初めはばらばら
暖かい太陽の光を受け立派に育つ者もいれば、虫に食われて枯れてしまう者もいる

しかしそこに虫を払ってくれる者がいればどうだろうか、その植物は枯れることなく
きっと綺麗な華を咲かせるだろう

人もまたしかりではないだろうか


じゅん「あーもう疲れた、休も!」

由香ゆか「はいはい、それ何回目。ふざけてて終わらせなかったあんたが悪い」

(由香は私と同じ生徒会のメンバー。
いつも相談に乗ってくれ、時々叱ってくれる笑)

「そーだけどさーっ、もー無理っ」

私はそう言って縫い掛けのトートバッグを机に投げ出した

成瀬なるせも居残りなの!一緒にやろ!」

近づいて来たのは、同じクラスの早月 藍さつき あおい
見た目は清楚せいそでふわふわしている
しかし同じクラスといっても1年の時はほとんど話したことがない

私には兄がいて、見た目もボーイッシュな事から男女関係なく仲が良くて小、中学生の時も周りには常に友人達がいた

違和感いわかんもなく、藍と他愛のない話をしながら、
課題を終わらせその日は解散した



家に帰ると、メッセージが届いた

 「やっほー!藍だよ〜」
「2年間も同じクラスなのにあんなに喋ったの初めてだよね笑」

「確かに笑」
「逆になんで話してなかったのか、ちょっと損した気分だよ笑」

「そうだ、今度ふたりで遊ぼーよ!今からでも遅くないでしょ!笑」

 「それいい!!遊ぼ遊ぼ!」

 「うん!私お風呂にはいるからまた明日!」
「おやすみ!!」

 「うん!おやすみ!!」

(高校に入った頃を思い出すなぁ)
 そんな事を考え、私は眠りについた




それから2ヶ月ほど経ち、私達はすっかり打ち解けていた

土日に遊びに行くことはもちろん、平日の放課後に遊ぶこともざらだった

ある日、私は生徒会の仕事を終え
藍と合流する

「いつもの所いこう!」

藍に手を惹かれ、とある大型施設へ向かった

そこには食品売り場、携帯ショップ、数々のブランドのお店、ゲームセンター、フードコートなどもある

私達は決まってフードコートの一番奥にある、ソファーが2つに大きなテーブルのある特等席に座る 
その真上には大きな気球がぶら下がっており、お気に入りの場所だったのだ

「純ってば、聞いてるの?」

「え?ごめん、なんだっけ」

「だからあのアイドルがかっこいいって話!」

  「ああ、確かにかっこいいよね〜」
    
「あーあ、純さんはお疲れですねっ」

「ごめん笑 でも少し疲れたかも〜」

「冗談だよ笑 大丈夫?少し休もっか」


「純、そろそろ起きてよ〜」

体を揺らされ私は夢から覚めた
1時間近くも寝てしまっていたようだ

「ぐっすりだったね笑」

「つい、笑  来月の学園祭でしょー?先輩達は進路で忙しいしうちらが頑張らなきゃだからつい張り切っちゃって」

「そうだよね、 本当にお疲れ様!
それにしても純はすごいよね、生徒会に部活までかけ持ちしちゃってさ〜」

「大変だけど、慣れちゃった笑  」
   「それに私落ち着きないから、忙しい位が充実してて楽しいんだよね笑」

「そういえば藍だって、部活やってるしバイトだってしてるじゃん!」

「そーだけどさ〜」
「でもどれだけ疲れても、純と沢山お話したり笑ったりしてるとなんだか幸せな気持ちになるの」

「幸せって大袈裟おおげさな、笑」

「大袈裟じゃないよ、本当に幸せなの!」

「そっか、私も部活や生徒会ばかりだったけど、藍と遊ぶようになっていつも楽しくて本当に幸せだよ」

「なんか照れくさいね笑」

  「うん笑  これからもよろしくね」


それからというもの、私は藍に対して
いわゆるTVとかで大人達の言う「普通の恋愛(異性愛)」の嫉妬のようなものを感じ始めた

もともと女の子への恋愛感情があった訳では無いが、アニメや友人の体験談等により、同性愛という世界に多少の理解があったのだ

気づいた時には藍が同性の友人と遊んだりハグをしたり、電話をする事にすら嫌気が指していた

きっと私はこの時すでに藍に恋をしていたのだと思う

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