スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

ネスラ家での昼食 ー1

「そういえば……ネス……いやフィアさんにもあの事を言った方がいいのでしょうか……?」

 冒険者ギルドにコボルトの牙を提出し、依頼を達成して報酬の5万5000セルクをもらった後。

 ネスラ家に帰る道中でレクスは頭を悩ませていた。

 あの事とは勿論、シルリス学園の入学試験を受ける事だ。一応、レクスの保護者的立場ではあるので、レクスも言うべきか否かを迷っていた。

 因みにレクスがなぜ"ネスラさん"から"フィア"さんに改めたのかと言えば、

『ネスラさんじゃ他人行儀過ぎるから、フィアって呼んで?』

と言われたからだ。

 当初はレクスもあれこれ理由をつけて断ろうとしたのだが。

『呼んでくれるよね?』

 シュレムの時と同じく妙に迫力のある笑顔に気圧され、流石に呼び捨てでは呼べないということで"フィアさん"に落ち着いたのだ。

「……やっぱり言った方がいいですよね」

 シルリス学園の入学試験に受かる……事は無いかもしれないが、入学試験を受ける事は事前に知らせた方が良いのかもしれない。

「……よし」

 レクスは決心したように呟き、少し小走りでネスラ家へと向かった。



◇◆◇◆◇



「「「「「「お帰りなさい、レクス君」」」」」」

「うおっ!?」

 レクスがネスラ家のドアを開けると、6人のメイドがレクスを出迎える。レクスはネスラ家に来てからまだ二日目だということもあり、未だにこの光景に驚くばかり。

「た、ただいま……」

 レクスは口ごもりながらもそう言う。

「レクス君、お食事の用意が出来ておりますのでお食事処へ。フィアお嬢様もお待ちになられていますよ」

 ネスラ家では、朝食や昼食、夕食は皆で揃って食べるというルールがある。何でも、家族でいる時間をなるべく大切にしたいからだそう。

「分かりました、ありがとうございます」

 レクスはシュレムに礼を言い、食事処へと向かっていった。



◇◆◇◆◇



「お帰り~、レクスぅーー!」

 食事処に着くと、先に椅子に座って待っていたフィアがこちらに向かって勢いよくやって来て抱きついた。

「ち、近いですって! フィアさん!!」

「え~? なになに、聞こえないなぁ」

 わざとらしくそう言いながらニヤけるフィア。レクスは内心で意地が悪いなぁ……と思いつつもそれ以上は何も言わなかった。け、決してフィアさんの良い匂いを堪能している訳ではありませんよ!

「フィア、その子が例の?」

 レクスがそんな事を考えていると、聞き覚えの無い声が。

「ええ、お姉様。この子が家で引き取ることにしたレクスです」

 レクスが顔を上げると、そこにはフィアに似た顔立ちの女性が。フィアと違うところと言えば、髪が赤髪ではなく銀髪だと言うことぐらい。

「ふうん……。この子が……」

 フィアが姉と呼ぶ女性がレクスを品定めするかのようにまじまじと見つめる。やがて、満足したのか柔らかく微笑み。

「私はフィアの姉、セレス=ネスラ。宜しく頼む」


「レクスです。こちらこそ宜しくお願いします」

 ぺこりと頭を下げるレクス。

「お姉様は、この国の内政に関わる仕事をしてて忙しいからここにはたまにしか帰って来られないんだよ」

 ……姉妹揃ってとんでもないですね……ネスラ家は。妹であるフィアさんはあのディベルティメント騎士団の団長ですし……。

「さて……挨拶はこれぐらいにして……昼食にしよう。せっかくの飯も冷めてしまうからな」

 セレスはそう言うと、さらりとレクスの手を引いて自分の隣へと座らせた。

「あ~! お姉様! ずるいです!」

 フィアはセレスに対してそう言うと、レクスの隣へと座る。レクスは姉妹二人に挟まれる形となった。

(……これは中々話を切り出せそうに無いです……)

 レクスは心の中でそう呟いた。

「スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く