スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

ネスラ家へ

「ここが我が家ーーーネスラ家よ!」

 バーンという効果音でもつきそうな勢いでそう言うネスラ。レクスの眼前にはまさしく豪邸が聳え立っていた。白を基調としており、所々に装飾が施されている。実にシンプルだ。

「ただいま」

 ネスラがドアを開け、豪邸の中に入り、そう言うと。

「「「「「「お帰りなさいませ、フィアお嬢様」」」」」」

「うお!?」

 レクスは大勢のメイドに出迎えられた事に驚いた。

「お嬢様、本日のお務めはもう終えられましたか?」

 6人のメイドの内、一人がネスラの元へ。瞳はキリッと少しつりあがっており、いかにも私がメイド長ですというような雰囲気を醸し出していた。

「ううん、そう言う訳じゃなくてね………この子を家で引き取る事にしたから、一旦こっちに戻ってきたの」

 ネスラはレクスの肩を軽くポンポンと叩きながら言った。

「かしこまりました、ではこちらでお預かりします」

 メイド長らしき人物は、そう言うとレクスの目線の高さにあわせてしゃがむ。

「私は、シュレム=セアリスと申します。貴方のお名前は?」

 この人も貴族なんですね……。家名がありますし……。

「レクスです。今日からお世話になります」

 宜しくお願いします、と頭を下げるレクス。

「こちらこそ。宜しくお願いしますね、レクス君」

 メイド長らしき人物ーーーシュレムはそう言うとニッコリと微笑んだ。レクスはその笑顔に一瞬だがーー不覚にもドキッとしてしまった。驚いただけ。そう、驚いただけです。別にやましいことなんてありません。

「フィアお嬢様。後はお任せ下さい」

 シュレムはおもむろに立ち上がり、そう言った。

「わかったわ。じゃあ後はお願いね」

 ネスラはそう言うとドアを開け、出ていくーーー前に立ち止まった。

「……セアリス、わかってるとは思うけどーーー」

「ええ。心得ております」

「……そう。ならいいわ」

 ネスラはそう言うと、今度こそ仕事へと戻っていった。



◇◆◇◆◇



「はぁ~……。気持ちいいですね……」

 レクスは現在ネスラ家の大浴場にいた。

『レクス君、取り敢えずお風呂に入ってきてはどうですか? 疲れもとれますよ』

 シュレムはレクスにそう提案した。レクスは最初、シュレムの申し出を断ったのだが。

『入りますよね?』

 何故か妙に迫力のある笑顔におされ、お言葉に甘えて入ることにしたのだ。しかし、こうして入ってみると思いの外良いもので、レクスは完全に風呂の虜になっていた。

(それにしても……。これからどうしましょうかね……)

 当面はなんとか生活していけるようにはなったが…………。残る問題と言えば、600万セルクをどう貯めるか、ということだ。レクス自身、到底届かない金額だと分かっていても諦めきれない。

(……でも、今のランクじゃ貯めるのに相当時間がかかってしまいます……。それでは……)

 あの少女は買えない。レクスがユビネス大森林帯で助けた少女。レクスはその少女に一目惚れをしたのだ。雪のようなサラサラの髪に透き通るような黒い瞳。そして、儚げなあの表情。思い出す度に、あの少女は今頃どうしているのでしょうか……。と気にしてしまう。

「レクス君。ここに服置いておきますね」

 レクスがそんな事を考えていると、大浴場の外から声が聞こえてきた。

「すいません! ありがとうございます!」

 レクスは服を持ってきてくれたシュレムに対して礼を言う。

(さて……と。そろそろ出ますかね)

 レクスがおもむろに立ち上がり、風呂から
出ようとした、その時ーーー。





ガラガラガラガラ




 
 
 大浴場の扉が開く音がした。レクスは驚き、音のした方を向くとそこにはーーー。

「ーーシュレムさん!?」

 タオルを身に纏ったシュレムの姿があった。

「レクス君、お背中お流しします♪」

「い、いえ……。け、結構ですよ、もう洗いましたから」

 レクスは目のやり場に困るのか、頬を真っ赤にしながら視線を逸らす。シュレムはそんなレクスの姿を見て、ニマニマしている。

「まあまあ、そう言わずに♪」

 シュレムはレクスの腕を強引に掴み、洗い場まで連れていく。

「さあ、ここに座ってください」

 



「スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く