スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

依頼達成ーーってあれ?

 レクスはレインコボルトを仲間にした後、依頼達成の報酬を受けとるべく、冒険者ギルドへと向かっていた。

 レクスは、王都への門を通る前に、流石にレインコボルトを連れたまま歩くことは出来ないと考え、何かいい方法はないかと考えた。



 ーー僕の『作る』でスキルを作ることは出来ないのでしょうか? 

 

 そう考えたレクスは早速試してみた。ーーが。





◇コストオーバーにより、スキルは作成出来ません





 
 無理だった。レクスの『日常動作』にも限度があったのだ。レクスはスキルを作成できなかった事に少しがっかりしたが、直ぐに次のことを試す。

 レクスはそこら辺にあった木を材料に、袋を作ろうと考え、実行した。

 結果は見事に成功した。更に袋に魔力を施し、拡張に成功。レインコボルトが入れるまでになった。外から見た感じでは何の変哲もない袋。中にレインコボルトが入っているなどと誰も考えないだろう。

 後、レインコボルトに名前を付けた。そのままでは何かと呼びにくく不都合だった。レクスはいい名前はないのでしょうか……と暫く考えたが、結局何も浮かばずレインコボルトの最初の三文字をとって『レイン』と名付けた。実に安直だが、呼びやすい名前になったと思う。レインコボルトも『レイン』と言う名前を気に入ったようで、嬉しそうに鳴き声をあげながらレクスの周りを走っていた。

 レクスは暫く歩き、冒険者ギルドへ着いた。レクスはドアを開け、中に入る。冒険者ギルドは昼過ぎということもあり、賑わっていた。

 レクスはそのまま受付へ向かう。するとそこにはこの前の受付嬢ーーールービアがいた。ルービアはレクスが受付に現れた事に驚き、内心舌打ちしたが、流石は受付嬢。表情には出さない。

「ーー何か御用でしょうか?」

「すいません、ゴブリン討伐の依頼を達成したのですが……」

「……でしたら、『討伐証明』の魔石をご提示下さい」

 魔石…………? わかりませんね……。

「……魔石とは何でしょうか?」

 ルービアはレクスの言葉を聞くと、深く溜め息をついた。何で魔石を知らないのかーーと。

 魔石とは、魔物の生命を維持する上で最も重要な役割を果たす。身体中に魔力を行き渡らせ、生命活動を支えるーーーいわば心臓のようなものだ。魔石はそれぞれ魔物によって大きさ、形、色が異なる。だから、討伐証明の際にはよく提示を要求される。ーー勿論、売れば金にもなる。

 魔石はほとんどの国で流通しており、また、魔石の特徴によって用途が違ってくる。

 例えば、コボルトの魔石であれば主に照明に使われる。魔力伝導が良く、長持ちするからだ。

 他にもゴブリンの魔石やオークの魔石なんかは加工したりして装備に使われたりもする。

 要するに魔石は世間一般でも知れ渡っているのだ。

「……魔石とは、魔物にとって欠かせない存在ーーいわば心臓です。魔物の身体全体に魔力を行き渡らせる重要なもののことです。勿論、素材としても売ることが出来ます」

 レクスは受付嬢の説明に相槌を打つ。

 ということは……その魔石とやらは魔物の体内に存在する……と。『取る』とかでとれそうですね……。明日辺りにでも試してみましょう。でも、そうなると…………。

「ーーー報酬の方はもらえない、と?」

 レクスはゴブリンを討伐した後、『討伐証明』となる魔石を一切回収していない。つまりーーー依頼は達成できていないということになる。

「……すいません、ギルドの規則なので」

「そ、そうですか……」

 レクスはあからさまに落胆した様子で呟く。

「本当に申し訳ありません」

 そう言いながらもレクスの落胆する様子を見て、内心ほくそ笑むルービア。

(無職怠け者にあげる報酬なんてないわ。無職怠け者無職怠け者らしくそこら辺でのたれ死んでればいいのよ)

 心の中で悪態をつくルービア。

「……すいません、また来ます」

「……はい、またお越しください」

 もう二度と来るな、と内心では呟くルービア。

 レクスは受付に背を向けると、冒険者ギルドを後にした。



◇◆◇◆◇



「はあ……全く使えないわね。あのくそC級冒険者どもは……」

 ルービアはそう呟き、溜め息をつく。
 
 レクスを始末するよう、C級冒険者を差し向けたのはルービアに他ならない。ルービアにとって無職怠け者は忌まわしき存在だ。出来れば早急に始末したかった。視界に入るだけでも嫌なのだ。その為に、あのくそC級冒険者どもに色仕掛けまでしたというのにーーー。

「ーーーっ。ああ、忌まわしい、忌まわしい、忌まわしい!!」 

 ルービアは頭をかきむしりながら叫んだ。幸い、ここが受付では無いこともあり、ルービアの声は誰にも聞こえていなかった。

「ーーー何が何でも始末してやるわ」

 ルービアの目はもはや狂っていた。

 無職怠け者がこの世にいていいはずがない。何も出来ない無能が……。

 ルービアはレクスを始末するべく次の作戦を考えるのだった。


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