スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

出会い

「て、てめええぇぇ!!」

 槍男は、レクスが大剣男を吹っ飛ばした事に少し困惑していたが、ハッと我に返り、レクスに襲いかかる。

 仮にも俺達はC級冒険者、こんな冒険者になりたてのガキに負けるはずがーーー。

「ーーぐあああぁぁぁ!?」

 レクスが力任せに振った拳が男の腹に直撃。先程の大剣男よろしく吹っ飛んでいった。

「…………っ! うおおおおぉぉぉぉ!!」

 短剣男は槍男が吹っ飛ばされた事に苛立ち、叫びながらレクスに襲いかかる。腰から短剣を抜いて。短剣は大剣、槍と違って小回りが利く上、こんな狭い場所でも使いやすい。これで奴を仕留められるはずーー。

「ひっ………………!!」

 レクスは突如腰から抜かれた短剣に怯えてしまう。身体がすくんでしまい、上手く動くことが出来ない。

「死ねええええぇぇぇぇ!!」

 短剣男は両手で短剣を握りしめ、レクスに突っ込んでいく。レクスが反射的に目を瞑った、その時ーーー。




キイイイィィィィン!!





 金属と金属がぶつかり合う音がした。レクスは驚き、目を開けるとーーー。

「ーー子供に襲いかかるとは……感心しないわ」

 そこには長い赤髪をもった女性が立っていた。女性は剣を構えると同時に、素早い動きで短剣男の鳩尾を打ち付ける。

「がはっっ…………!?」

 短剣男は呻き声をあげると、その場に倒れ伏した。

 レクスはその光景にただ驚く事しか出来なかった。

「君、大丈夫だった? 怪我とかな…………い?」

「…………? 特に怪我はありません、大丈夫です」

 レクスは赤髪の女性が突如固まった事に少し困惑したものの、自分の無事を伝える。レクスは続いて、助けてもらったお礼を言おうと口を開こうとした…………が。

「…………かっ……!」

「……か?」

 ……勝てなくてどうするのこんな相手に! それじゃあ冒険者としてやっていけないわ! とでも言われるんでしょうか……。と思ったレクスだったが。

「可愛い…………!!」

「………………え?」

 レクスは赤髪の女性から発せられた言葉に間抜けな声を出してしまった。自分の予想とは違う言葉にレクスはまたもや困惑してしまう。

「サラサラの黒髪にその丸い瞳、おまけにその顔も……! ああ、これは是非とも私が養いたい……!」

 ……なんか少し怖くなってきたんですが……。言動も犯罪者じみてきてますし……。

 レクスが赤髪の女性に対し引いたような視線を送ると、女性はハッと我に返り、んんっとわざとらしい咳払いをして場を仕切り直す。

「所で、君のご両親はいるかな? この事を伝えなくちゃならないから」

 レクスに両親はいる。確かにいるのだ。だが、レクスはその両親に捨てられた身だ。だから、実質レクスに両親はいない。

「…………………………」

 レクスは返答に困ってしまい、黙り込む。

「…………君、まさかご両親がいないの……!?」

 そんなレクスの表情を見てか、女性はそんなことを聞いた。

 ……バレるのも時間の問題ですし、ここは正直に話すしか無さそうですね……。

 ここでレクスが仮に両親がいると答えたとしてもレクス君のご両親ですか? 実は……等と連絡したところでレクス? そんな奴は家の子供にはいないですね、と返されるのが関の山。だったら正直に話した方がまだましだ。

「いえ…………。両親はいます。ですが、僕はその両親に捨てられたようなものです……。僕が無能だったばかりに」

 レクスがそんなことを言うと、女性の目が一瞬輝いたような気がしたが…………きっと気のせいだろう。

「…………そうなの。あ、そう言えば自己紹介がまだだったわ」

 女性は場の雰囲気を少しでも明るくしようと、話題を切り替える。

「私はフィア=ネスラよ。君は?」

 家名があるということは恐らく貴族の出だろう。レクスのような平民には手の届かない、雲の上のような存在だ。

「……僕はレクスです。先程は危ないところを助けて頂きありがとうございました」

 レクスは自己紹介と共に、先程言えなかったお礼を言った。

「いえいえ。それよりも……レクス君? と言ったかな? ちょっとお願いがあるんだけど……」

「はい、何でしょうか」

「明日、冒険者ギルドの近くにある『リーフル』ってカフェに来て。ちょっと話したい事があるから」

 レクスは救ってもらった身だ。勿論、断るような事はしない。

「わかりました」

「じゃあもう行って大丈夫よ。後はこっちに任せて」

「すいません、後は宜しくお願いします」

 レクスは女性に対して会釈し、その場を立ち去った。ゴブリン討伐の依頼を達成して少しでもお金を稼がなければならない。それに加え、他の魔物を倒しステータスを上げなければいけない。レクスが無駄にできる時間など一秒も無いのだ。

(さて……と。ユビネス大森林帯に向かいましょうか)

 レクスは小走りでユビネス大森林帯へと向かっていった。

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