スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

遂に王都へーー

「これはーーー魔法の痕跡……?」

 レクスは地面に浮かび上がってきた円状の模様を見てそんな声をあげる。レクスは何故ここに魔法の痕跡があるんだろう? と疑問に思っていると。




◇強制送還魔法

対象を強制的に元の場所へ送還させる魔法。主に奴隷等に用いられる。





 レクスの目の前に画面が現れた。レクスは画面に表示された説明を見て、何故少女が急にいなくなったのかに納得がいった。

「…………先程の少女は奴隷だったのですね。ということは何処かの商会に強制的に送還されたのでしょうか……」

 
 奴隷は基本的に商会によって扱われている。レクスは実態こそあまり知らないものの、知識には入っていた。

(それにしても……先程の少女は綺麗でした……)

 レクスはぼんやりと心の中で呟く。

 雪のようにサラサラな銀色の長い髪に、透き通るような黒い瞳。少女はレクスの好みにバッチリ当てはまっていたのだ。言ってしまえば一目惚れといったところだろう。

「……まあ、今の僕には到底無理ですけどね」

 レクスは自嘲気味に言った。

 奴隷を買うにはまずお金が大量にいる。奴隷の相場は大体120万セルクから高いものでは500万セルクはくだらない。レクスが入学金として渡されたのは3万セルク。到底手の届かない金額だった。

 レクスがそんな事を考えていると。




◇『見る』を使用しますか? はい/いいえ




 レクスの目の前にまたもや現れる画面。レクスはこれ以上何を『見る』ものがあるのかと思ったが「はい」を選択する。すると……。





◇強制送還先

王都 カフス地区 トゥオノ商会





「おお…………。凄いですね……」

 レクスは強制送還先までわかってしまった事に驚愕した。

(でも……場所が分かっただけでは……)

 やはりレクスにはお金が足りない。唯一稼ぐ方法があるとすれば…………。

「……冒険者になるしかないですね」

 学園に通いながら冒険者をやる。これぐらいしかない。

 冒険者とは、冒険者ギルドと呼ばれる場所に登録し、活動している者の事だ。冒険者はギルドから依頼を受け、達成すれば報酬を得ることが出来る。まさにギブ&テイクの関係だと言えるだろう。

 しかし、その一方で冒険者には常に危険がつきまとう。その代わり、報酬は高く弾む。この報酬目当てに冒険者になる者がほとんどだろう。

「後でトゥオノ商会にも寄ってみますかね」

 レクスはあの少女がいくらぐらいで買えるのか調べる必要があるため、トゥオノ商会に立ち寄る事を決めた。

「まずは学園に入学申請に行かなければなりませんね」

 レクスはそう言うと、再び王都に向けて歩き出した。



◇◆◇◆◇



 レクスの前にいた何やら沢山荷物を載せた荷車を引く若い男性が、水晶に触れる。

「……よし、問題なし。通行を許可する」

 水晶が反応しなかったのを確認した衛兵が若い男性に通行を許可した。若い男性は衛兵に軽く会釈し、門を通過する。

「次」

 衛兵にそう言われ、水晶に触れるレクス。

(……何か緊張しますね……。別に後ろめたいことは何も無いのですが……)

 レクスが今触れている水晶は、過去に犯罪を犯してないか調べるための物である。結構高度な魔法が使われているらしい。それに耐えられる水晶も結構な物で買い換えるのにも凄い値が張るのだとか。

「……よし、問題なし。通行を許可する」

 レクスは水晶が反応しなかった事に内心ホッとした。レクスは先程の若い男性の如く衛兵に軽く会釈すると門を通過し、王都に足を踏み入れた。

「………凄い。これが王都…………」

 レクスは王都とクジャ村とのあまりの違いに目を大きく見開き、驚愕を露にした。

 クジャ村には店が一切なかった。そのせいで、毎回近くの都市まで買い出しに行く人々が多かった。しかも、クジャ村は鳥のさえずりさえ聞こえてくるような静けさだった。

 だが、王都には店が隙間を埋め尽くすように建っており、とても賑やかだった。

 レクスは今まで目にしたことのない光景の数々に思わず胸が高鳴った。そして、同時に生きて王都まで来られて良かったなぁ、とも思った。

(さて……シルリス学園ですが……)

 レクスはシルリス学園を探そうとした時、ふと気がついた。

「……そう言えば道順がわかりません……」

 そう。レクスはシルリス学園が何処にあるか知らなかったのだ。これではただ闇雲に探しても意味がない。むしろもっと迷うだけである。故にレクスは決断した…………!

 なるべく優しそうな人に声をかけて、道を教えてもらいましょう、と。

 こうしてレクスは、道順を尋ねながらシルリス学園へと向かった。


 

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