スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

道中 ー2

 二日目、三日目ともに順調に王都へ近づくレクス。二日目、三日目共に魔物に一匹も遭遇せずレクスのステータスに特に変化は無い。

「もうそろそろ王都にも着く頃合いなのでしょうか……?」

 レクスはそう呟く。

 今までレクスが進んできた道には木がこれでもかというくらい鬱蒼としており、光も差し込む隙間がないくらいだった。

 だが、今では所々に光が差し込んできている。これなら王都まであと少しで着く筈。

 レクス自身、ここまで無事に来られるとは微塵も思っていなかった。それこそ、村を出た初日からコボルトと遭遇した時に、死を悟ったくらいだ。レクス自身、ここまで来られたことに感動すら覚えていた。

「後は何事もなく王都に着けば良いのですが……」

 レクスはそんなことをぼやきながら、王都へと歩みを進めていった。



◇◆◇◆◇



 ユビネス大森林帯、王都付近。

「オラ!! さっさと歩けよ!!」

 一人の男が少女に苛立ちをぶつける。

「……は、はい……すみません……」

 少女はそんな男の態度に萎縮し、縮こまってしまう。

「謝ってる暇があるならとっとと歩け!! お前は俺に雇われてるんだぞ!! それに、時間もねえんだよ!」

 しかし、少女のその態度に苛立ち、再び激昂する男。

「本当に……。貴女の歩調に合わせる私達の身にもなってほしいわ」

 一人の女性が嫌そうな顔をして少女に吐き捨てるように言う。

「……体ばかりもて甘しやがって、この奴隷風情が」

 男は吐き捨てるようにそう言い、少女の体をなめ回すように見つめる。少女はその視線に怯え、自分の腕で体を包むようにして後退る。

「……はっ。まあ、いいさ。どうせ今日でお前は俺に買われるのだからな」

 男は不気味に笑いながら少女に言う。

 少女はその言葉を受け、涙目になりながらもキッと男を睨み返す。

「おー、こえーこえー」

 男はそう言いながらもまるで少女を嘲るかのように笑った。

 少女は奴隷であり、男は少女を2時間貸し出してもらっている。

 奴隷は当然、奴隷商が取り扱っている。奴隷商の商売方法は二種類あり、一つ目は奴隷を売る、二つ目は奴隷を貸し出す、だ。

 当然、貸し出す方が、売るよりも値段は安くなる。その代わり、貸し出す際にはしっかりと手の甲に契約の印を刻み、違反をすると奴隷は強制的に奴隷商の元へと送還され、二度と奴隷を貸し出してもらえなくなる。

 故に男が手を出したくても出せないのだ。だが、それも今日まで。明日からはたっぷりと堪能することができる……。

 男はそんな妄想を頭の中でする。

 自分がしっかりと少女を「女」にしてやるのだ。その末に少女は…………。

 男はそう考えると下心丸出しの気持ち悪い笑みを浮かべた。

「……ちょっと、気持ち悪いわよ」

 先程の女性が男に嫌そうな顔で注意する。

「すまんすまん」

 男はそんな女性に対しておおよそ謝罪とは思えない口調で詫びた。

 男と女性がそんな会話をしていると。

「……何か魔物が此方に近づいてきてるぞ」

 もう一人、別の男がそう言った。

「どうせゴブリンか何かだろ」

 男がそう高を括り、腰にある鞘から剣を抜き、戦闘体制に入る。




ガサガサ……。ガサガサ……。



 
 木の茂みから現れたのはーーー。

「お、おい……。あ、あれはーー」

 その魔物は、頭部に一本角を生やし、全身真っ黒な毛並みをもっていた。

「ま、間違いない……ブラックホーンウルフだ……」

 ーーブラックホーンウルフ。Aランクに相当する魔物だ。気性が荒く、遭遇した者には容赦なく襲いかかる。その気性の荒さから「獰猛な狼デンジャリングウルフ」とも呼ばれている。

「ガルウウゥゥゥゥッッ……」

 ブラックホーンウルフは、獲物を見つけたかのような目で男たちの方を見やる。今の男達では到底相手にできるような魔物ではなかった。そんな中、男達が思い浮かんだ最善の策はーーー。

「お、おいお前。俺達の代わりに死んでくれ」

 男はそう言うと、少女を前へと押し出した。先程までの妄想等嘘のように頭の中から吹き飛んでいた。今、頭の中にあるのは、自分が生きることだけだった。

「え………………!?」

 前に押し出された少女は突然の事に困惑すると同時に、目の前のブラックホーンウルフに対して、その圧倒的なオーラの前に、足が震えていた。

 少女が慌てて後ろを向いてみたものの、既に男達はその場から逃げており、その場には少女とブラックホーンウルフ以外誰もいなかった。

「あ……。ああ………………」

 少女は遂にその場にへたれこんでしまった。

「ガルウウウゥゥゥゥ!!」

 ブラックホーンウルフが牙をむき、少女に襲いかかる。少女が目をつむり、生きることを諦めた、その時ーーー。

「『守る』!!」

 突如目の前に一人の青年が現れた。

 



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