スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

道中 ー1

「『発散』!」

 レクスがゴブリンに向けて『発散』を発動する。

「グギャギャ…………?」

 すると、ゴブリンから段々と力が抜けていく。やがて、立っていることも出来なくなり、地面に倒れ伏してしまう。そのままゴブリンは息絶えてしまった。

「ふぅ……。何とか倒せましたね……」



◇『取る』項目を一つ選んで下さい

HP   1560

MP   1000

攻撃力  1108

防御力  846

知力   1704

素早さ  512


スキル

意志疎通 ゴブリン語 乱打



「う~ん……。HPは取り敢えず十分ですし……。次は何を取りましょうか……」

 魔力と攻撃力のどっちを取るか、ですね……。魔力って言うからには魔法を使うために必要な力のことでしょうね。魔法系のスキルは所持してないし……。ゴブリン語も捨てがたいんだよなぁ…………勿論冗談ですけど。

「……ここは攻撃力を取りましょう」



レクス    Lv9


HP   8763/8763

MP   27/27

攻撃力  1108


スキル

『日常動作』



 レクスはこれまで何回か魔物を倒したことで、スキル『日常動作』がどのようなものなのかが少しずつだが、分かってきた。

 まず、このスキルは文字通り"日常動作"をそのままスキルに反映したものだ。つまり、物を『取る』、汗を『発散』するといった具合に"日常動作"に関することなら何でもスキルとして使用できるらしい。因みに、『発散』をスキルとして使用すると、対象の魔力を強制的に空気中に排出する。これが何の役に立つのか、と思う人が大半だろう。

 魔物には基本、核が存在する。魔物の体はほとんど魔力で動いており、それをためる場所が魔物の核だ。魔物の核は、人間で言う心臓のようなもので魔力を体の全体に行き渡らせる役割を果たしている。

 では、その核から魔力が無くなければどうなるか。答えは至って簡単、"死ぬ"だ。人間も血液が無くなれば死んでしまうように、魔物も体全体に行き渡る魔力が無くなれば死ぬ。

 だから、『発散』は魔物限定で言えば最強のスキルなのだ。

「それにしても……。暗くなってきましたね……」

 辺りも随分と日が落ちて、真っ暗になっていた。道も辛うじて見えるものの、これでは危険だ。出来るならば、どこかで夜を明かしたいのだが……。

「安心して眠れる場所は……無さそうですね……」

 いつ魔物が襲ってくるかもわからない中、堂々と落ち着いて寝られる程、レクスの神経は図太くない。

 レクスがどこで夜を明かそうかと考えていると。



『見る』を使用しますか? はい/いいえ



「魔物でも出たんでしょうか……?」

 レクスはそう思いながらも「はい」を選択する。すると。

「……何か道がはっきり見えるような……。これも『見る』の効果なのでしょうか?」

 レクスの視界には暗いけど、道がはっきりと見える、つまり暗視スコープを覗き込んだような光景が広がっていた。

「スキルの効果は必ずしも一個に一つというわけでは無いのですね」

 レクスは感心したように呟いた。だが、寝場所を確保するという当面の目的はまだ果たせていない。

「徹夜で歩き続けるわけにもいきませんしね……。それこそ危険です……」

 集中力が無くなれば、魔物が不意に襲ってきたときの対処が難しくなる。そういう意味でも、レクスは睡眠時間だけは確保したいと考えていた。



『作る』を使用しますか? はい/いいえ



 レクスが考え込んでいると、再びレクスの目の前に画面が現れた。

「『作る』ですか……。そう言えば……畑作りとか結構手伝ってましたからね……」

 レクスは苦笑しながら呟いた。

「これなら何とかなりそうですね」

 レクスは迷わず「はい」を選択する。



◇『作る』ものを一つ選択してください

小屋

住宅

硬級住宅



「う~ん……。他の二つは何となくわかりますけど……。何ですか? 硬級住宅って」

 イメージ的には一番心強い気もしますけど……。住宅の規模ってどのくらいなのでしょうか? 出来れば目立ちたくないですね……。小屋か、住宅か……。

 レクスは規模で言えば小屋ぐらいが丁度いいと思っているのだが……出来るだけ安全も確保したいと思っている。

「…………硬級住宅にしましょう」

 レクスは迷った末に「硬級住宅」を選択する。



◇サイズを選んで下さい

一階建て

二階建て

三階建て



 …………今までの僕の葛藤を返してください。何なんですか。僕を弄んで楽しいですか? ……うう"ん、いやそれよりも。

 レクスは「一階建て」を選択する。すると。

 周りにあった木が光の粒子となり、一ヶ所に集まる。それは段々と形を成していき…………家になった。

「……凄いですね……」

 レクスはその光景に、目を見張った。

「見た感じ普通の家そうですが……」

 できた家は、何処にでもあるような木造建築で、一見すると固そうにも見えなかった。

 レクスは出来上がった家に近づき、適当な所を叩くとーー。

「……固いですね。木で出来てるとは思えない」

 固さで言えばそこらの鉄よりも随分と固い。これなら魔物が襲ってきたとしても、心配は要らないだろう。

「……中に入ってみますかね」

 レクスは直ぐ傍にあった家のドアを開けて、中に入った。

 レクスは家の中に入ると、再び驚かされることになった。

 家の中にはテーブル、キッチンが揃えられており、下手をすると、自分の家族が住んでいた家よりも設備が整っていた。

「さて……寝室は……」

 レクスの目的は寝床の確保だけで十分だったので、別にテーブルやキッチンがあってもなくても問題はなかった。

 レクスは寝室に出来そうな部屋を探す。

 レクスはまず、右奥の扉を開ける。

「……トイレでしたか。結構豪華ですね」

 レクスは感嘆の声を漏らす。通常トイレに水は流れない筈なのだがーー。このトイレは魔力を流せば水が流れる仕組みになっていた。

 レクスは扉を閉める。次に左奥の扉を開けた。

「ここが丁度いいかもしれませんね……」

 そこには何も置いてない空間が広がっていた。

「……ベッドって作れるのでしょうか……?」

 レクスはふとそんなことを思い付く。

「『作る』!」

 すると、何処から来たのか、再び光の粒子が集まり形を成していき…………ベッドになった。レクスはベッドに近づくと、そのまま倒れ込んだ。

(眠り心地も最高ですね……。…………何だか眠くなってきました……)

 レクスはそのまま眠気に身を任せ、目を閉じたのだった。

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