スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

村からの追放 ー2

「レクス、気を付けてな」

「レクス、気を付けるのよ」

「分かりました。……今までお世話になりました」

 レクスはそう頭を下げると、荷物を背負ったまま歩き出す。

 レクスが少し歩いて後ろを向くと既に家のドアは閉められていた。

「やっと出てってくれたな! あのゴミ虫が!」

「馬鹿! あなた、声が大きいわよ……!」

 ……バリバリこっちまで聞こえてきてます。……本当に泣きたいです。昨日も泣きましたけど。

 ここから王都までは大体歩いて4日くらいだ。その間に魔物と出くわすかもわからない。

 ……というか、必ず出くわしますよ。出くわさない方が奇跡というものです。多分、出くわせば僕は抵抗するまでもなくやられます。何せ、ステータスがゴミですから。……あれ? 何か自分で言ってて悲しくなってきました……。

「さようなら……。クジャ村」

 レクスはポツリとそう呟くとその場を立ち去っていった。


◇◆◇◆◇


 ここは村から出た所の"ユビネス大森林帯"。ここは流石大森林帯と言うだけあって、どこもかしこも木で埋め尽くされている。

 今のところ、魔物には出くわしていない。僕はまだ生きられるということだ。いつ死ぬかわからない。そんな恐怖が常にレクスの中にある。

 レクスは辺りをキョロキョロしながら進む。魔物に遭遇するのはなるべく避けたい。いや、絶対に避けたい。レクスの命運は魔物が握っている。そう考えると凄く悲しくなってくる。

 更に進むがやはり景色は変わらない。一本道がずっと続く。

「……これを後4日も……。骨が折れそうですね……」

 そう独りごちて自嘲するレクス。脳裏には、村の人々や仲の良かった者達が自分を蔑んだような目で見ている光景が浮かぶ。

「……本当に何でこうなったんでしょうか……」

 ……ただ平穏に暮らしたいだけだったんですけどね……。ステータスってそんなに大事な物なのでしょうか……? 

 ステータスが全てというのはもはやこの世界の常識だ。ステータスが低ければ仕事すらまともに受けさせてくれないし、下手すれば金もロクに稼げずに飢え死にするなんて事もあり得る。ステータス=生死と言っても過言ではないのだ。

「……これからの生活がどうなるか……」

 レクスがそう呟いた瞬間。



カサカサ……。カサカサ……。


 何やら物音が聞こえた。


ゴクリ…………。


 レクスは息を飲みながら物音のする方を警戒する。レクスは魔物じゃないことを祈った。ーーが。

「…………コボルト」

 狼型の魔物、コボルト。初心者には比較的倒しやすい魔物と言われている。攻撃力はさほどなく素早いのが特徴だ。だが、この場合の初心者とは全ステータス最低500以上の者の場合だ。レクスには荷が重すぎる相手だった。

「……僕の人生もここまでか…………」

 
 短い人生でしたけど、これもまた定めなのですかね……。こんなに悔いを残して死にたくはなかったです……。

 レクスがそんなことを考えていると。



◇『見る』を使用しますか? はい/いいえ

 
 
 レクスの目の前にそう記された画面が浮かび上がってきた。

 ……『見る』? 何ですかこの如何にも役に立たなそうな物は……?

 レクスはそう思ったものの他に選択肢も無いので「はい」を選択する。次の瞬間、レクスは目を見開いた。


コボルト   Lv7


HP   1250/1250

MP   1385/1385

攻撃力   832

防御力   1027

素早さ   2138


スキル

脚力強化(弱) 威圧(弱)



 …………ステータスの差が開きすぎています……! これではどうやっても……!

 思ったより有能だったが、コボルトのステータスが分かっても意味がない。

「グルウウウゥゥ…………」

 コボルトも敵意剥き出しの様子でこちらを見ている。

 駄目ですね……。今度こそ終わりのようです……。

 レクスが諦めかけた、その時ーー。



◇『発散』を使用しますか? はい/いいえ


 
 再びレクスの目の前に画面が表れる。

……何なんですか! これは!!

 レクスは半ばやけくそ気味に「はい」を選択する。しかしーー。

「……っ。何も起きないじゃないですか!!」

 コボルトに目に見えて・・・・・変化はなかった。

……何でこんなに僕は弱いんですか……! 何で……何で……!!

 レクスは悔しさのあまり唇を血が滲み出るほど強く噛み締めた。コボルト一匹にすら勝たせてもらえないのかーーと。

 レクスは来るであろうコボルトの攻撃に身構えるーーが。

「…………? 一向に攻撃が来ませんね」

 レクスが思わずコボルトの方を見れば。

「ーーー!? 死んでるのですか……!?」

 コボルトは既に死に絶えており、脱力したように地面に倒れ伏していた。

「一体どういうことなのでしょうか…………?」

 レクスがコボルトの死因を考えていると……。



◇『取る』項目を一つ選んで下さい

HP    1250

MP    1385

攻撃力   832

防御力   1027

素早さ   2138


スキル

脚力強化(弱) 威圧(弱)



「……? なんですか、これは?」

 どれか一つ選ぶとステータスが上乗せされたりするんでしょうか……? だとするとこれは慎重に選ばなければなりませんね……。

「今は取り敢えず死なないことを最優先にしたいですね……」

 レクスは一番上のHPを選択した。

レクス   Lv4


HP   1272/1272

MP   22/22


スキル

『日常動作』





「レベルも少し上がってますね。コボルトを倒したからでしょうか」

 レクスは自分で出した結論に納得したように頷く。

「これなら何とかなりそうですね」

 レクスはそう呟くと一本道を再び進み始めた。











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