スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、実は超万能スキルでした~

Mei

村からの追放 ー1

「うむ……。レクス、お主の能力ははっきり言って農民にすら及ばん。いわゆる役立たずというやつじゃ」

 レクスは鑑定士のおじいさんーーグルデックにそう言い渡された。

「…………は? それは一体どういう……?」

 レクスはグルデックのあまりに辛辣な言葉に驚きを隠しきれない。

「ステータスオープンと唱えてみるのじゃ。そうすればわかる。いかに自分がクズかがの」

 グルデックは吐き捨てるようにそう言い、嘲笑した。

 ほんっっとうにイラつくじいさんですねぇ。今すぐ殴りたいです。ええ、今すぐ。あのじいさんの顔面を粉々にしたいぐらいむかついてますね。

 ……でも、それよりもまずはステータスですね。それを確認しない事には何とも言えないです。

「ステータスオープン」



レクス    Lv.1


HP   10/10

MP   10/10


スキル

『日常動作』




「ーーーーーーー」

 ……なんですか。このステータスの低さ。普通、最低でも500はあると言われている体力と魔力。それが僕には10しかない。確か、体力と魔力以外にも項目が存在している筈なのですが……どういうわけだか僕のステータスにはありません。

「どうじゃ? 確認できたじゃろ? 体力10に魔力10! おまけにスキルはわけのわからない『日常動作』のみ! しかも職業が記されていない! これほどまでのクズを私は見たことがない!!」

 あのじいさん……やりやがりましたね……。まわりには12歳の誕生日を迎えて適性検査を受けに来た子供の両親もいるはず。当然僕の両親もいます。これはもう……詰みましたかね……。

 レクスがそんなことを考えていると。

「クスクス……。あの子のステータスはゴミね」

「両親がかわいそうだな」

 そんな声が聞こえてくる。

……はあ。

 優しかった村の人達も今では蔑んだような目でこちらを見ている。他の子供達からも馬鹿にした笑い声が所々聞こえてくる。

「……帰りますかね」

 僕はそう呟くと、足早にその場を立ち去った。


◇◆◇◆◇


「……なあレクス。学園に通ってみたらどうだ?」

「……学園?」

「ああ。あそこなら必要な知識も得られるだろうし、一人立ちの準備としては最適な場所だろう」

 要するに、厄介払いですね。僕がこんなにも無能で役立たずだからでしょうかね……。

「……わかりました。行ってみることにします」

「そうか。じゃあ、明日にでも出発できるように準備しよう」

 父はそう言うと、いつの間に準備していたのか、お金の入った袋を懐から取り出しレクスに渡す。

入学費・・・の足しにしてくれ」

 ……つまり、後は自分で稼げと。そういうことですか……。

 学園というのは、王都にあるシルリス学園のことだ。どの学園も基本的に入学試験があるのだが……どういうわけだかシルリス学園にはそう言った制度がない。ということは、レクスにとって唯一通うことが出来る学園ということになる。

「……ありがとうございます」

 レクスはそれだけ言うと、自分の部屋に向かった。あまりにも不遇すぎて泣きそうだったのもあるし、家族にすら見放されたのが思いの外結構響いたのもある。とにかく早く、父親の前から立ち去りたかった。

 レクスは自分の部屋の前まで来ると、ドアを開けて中に入る。

「……………………」

 レクスはそのままベッドに倒れ込み、静かに涙を流す。レクスの表情には悔しさが滲み出ていた。

「こんなはずじゃ、なかったんですけどね……」

 そう。レクスはこんなことは予想だにしていなかったのだ。レクスは今日の適性検査を終えたら、またくだらない日常を過ごすと思っていたのだ。それがあの瞬間に一瞬にして崩れ落ちたのだ。ステータスが全て。結局友情も愛情も何もかもがステータスの前では無力なのだ。

「…………この世は本当におかしいですよ……。僕に対して厳しすぎます……」

 わけのわからないことを呟くレクス。

 ……瞼が急に重くなってきました……。泣き疲れたんでしょうかね……。

 レクスは急な眠気に身を任せ、そのまま眠りについたのだった。







 


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