隻眼の現人神《隻眼のリビングゴッド》
放たれる狂弾
なんだ今のは…?銃撃か…?
一瞬で背に傷を与えた 何か を隼人の目は捉える事が出来なかった。
目を見開き、必死に何が起こったかを考えていると、押し倒されていた透は隼人の身体を押し退けて立ち上がった。
「おいおい、最近の変質者は銃を使うのかよ。どうする隼人、そんまま寝とくか?」
透は、未だ地面に腰を下ろしている隼人に視線を向けると額に汗をかきながらもイタズラっぽく笑う。
「はっ、バカにすんな! かすり傷ぐらいで寝てられっかよ!」
透の言葉に隼人は立ち上がると口角を上げる。
「そう言うだろうと思ってたぜ。そうと決まったら、さっさとあいつを警察に突き出してやるか」
透は真剣な面持ちに顔を切り替えると、タキシードから新たに透明な液体が入った試験管を取り出しながら、ふらふらと立ち上がる男を睨みつける。
「汚らしい人間風情が…我が神の復活を阻もうと言うのですか…殺してあげますよ、ええ殺しますとも、この女神の騎士たる、マット・ゴーマッドの手で殺して差し上げます」
マットと名乗った男は、試験管の口を親指に力を込めてへし折るとパキッと小気味のいい音を響かせる。
へし折られた試験管をマットは右手で振るうと、試験管から水柱が立ち、まるで透明のレイピアのような形に変化した。
「神の復活…?どういうことです?」
ハトホルは合点が行かずにいた。
自身は封印されているわけでもなく、命もある。
なのに何故逆に自身の命が奪われようとしているかが全く理解ができなかった。
「おや、そこの少年は現人神のようなので話が早いかと思いましたが…まあ良いでしょう。我が女神の器たる貴女様にはお話致しましょう」
マットはハトホルに柔和な笑みを浮かべると、語り出す。
「世界創生の時、神は三種類の生物を作り上げました。一つは動物。 一つは人間。 
そしてもう一つ、神々が心血を注いで作成した、自身の分身になり得る人間。 それが私や少年、貴女のような現人神の器足り得る物。」
「器…?」
隼人は呟く。
「そう、あくまで私たちの身体は器でしかないですし、通常このような使い方は想定されていなかったと私は考えております。しかし、イレギュラーが発生したのです。人間により封印され、生きたまま肉体を滅ぼされた神々は、魂たる【神核】のみを、封印された遺物の中で眠らせてしまうことになったのです」
「なるほど…つまり器というのは…」
「ええ、器たり得る人間が遺物に触れる事で【神核】は器へと移るのです。ですが、それでもまだ【神核】は目覚めません。なので、刺激を与えて起こしてやることで人の身でありながら神の力を得た存在、現人神が生まれるのですっ!!」
マットは自らの首元にレイピアを当てて、続ける。
「そしてその刺激というのは…器の死、でございます。なに、怖いことではありませんよ、これほどの美のオォールァを放つッ!!!貴女様でしたら間違いなく、我が麗しき大御神、イシュタル様として蘇ることが出来るでしょうから!!!」
「なんかさっきからごちゃごちゃ訳わかんねえことばっか言ってるけどよ、小鳩さんを殺そうとしてるってことで間違い無いんだな ?」
透は指を両手でパキパキと鳴らしながら口を開く。
「殺すとは人聞きが悪い。目覚めさせると言ってほー」
マットが言い終わる前に、一瞬で距離を詰めた透の右拳が顔面にめり込み、言葉を中断させるが、マットは倒れる事なく立ち続けており、レイピアを透の肩へ突き立てようと振り下ろす。
「クソ、間に合ってくれよ…ッ!!!」
隼人は拳に炎を纏わせ、振り上げた腕を目掛けて正拳突きをすると、拳を覆った炎は真っ直ぐと放たれた矢のようにレイピアを持った男の華奢な腕に向かうが、刃が振り下ろされる方が早かった。
切っ先が肩に触れる寸前、アスファルトを貫いて現れた植物のツタがレイピアを弾く。
一歩遅れて放たれた紅蓮の矢を、マットは左にステップを踏んで距離を取りながら躱すと、指爪を自らの歯で噛みちぎり始める。
「違う、違う違う違う違う!!! この権能はイシュタル様の物ではない。 私を誑かしたのだな、魔女め魔女め魔女め魔女めえぇぇぇ!!!! 粛正をぉぉ粛正を粛正をぉぉ!!!…しないといけませんね」
マットは狂ったように目を見開き、手に持った透明のレイピアを地面に投げ捨てると、両手を懐にいれ、指の間に一本ずつの計6本の先程より一回り大きい物を取り出し、ハトホルへと向ける。
投げ捨てられた試験管は砕け散り、アスファルトを濡らす液体と化す。
「チッ、さっきの銃撃か!!」
隼人は2人の前に駆け出し、両手を地面につけると、炎の壁が作られた。
「エンキ神よ、この魔女を討ち亡ぼす力を、我が身にお与えくださいませ」
マットの呟きと同時に、試験管の口から液体が目に捕らえられぬほどの速さで射出される。
「なんとか間に合ったみたいだな…」
「いえいえいえいえ!我が権能の前ではその様な下賎な火の粉などなんの障害にもなりませんよ!!」
放たれた透明な6発の弾丸は軌道を変え、燃え盛る炎を避けると、ハトホルの胸へと目掛けて収束する。
隼人は背後から迫る血だまりによって靴が真紅に染まってゆくのを一瞥すると、言いようのない感情に苛まれ、咆哮を上げた。
一瞬で背に傷を与えた 何か を隼人の目は捉える事が出来なかった。
目を見開き、必死に何が起こったかを考えていると、押し倒されていた透は隼人の身体を押し退けて立ち上がった。
「おいおい、最近の変質者は銃を使うのかよ。どうする隼人、そんまま寝とくか?」
透は、未だ地面に腰を下ろしている隼人に視線を向けると額に汗をかきながらもイタズラっぽく笑う。
「はっ、バカにすんな! かすり傷ぐらいで寝てられっかよ!」
透の言葉に隼人は立ち上がると口角を上げる。
「そう言うだろうと思ってたぜ。そうと決まったら、さっさとあいつを警察に突き出してやるか」
透は真剣な面持ちに顔を切り替えると、タキシードから新たに透明な液体が入った試験管を取り出しながら、ふらふらと立ち上がる男を睨みつける。
「汚らしい人間風情が…我が神の復活を阻もうと言うのですか…殺してあげますよ、ええ殺しますとも、この女神の騎士たる、マット・ゴーマッドの手で殺して差し上げます」
マットと名乗った男は、試験管の口を親指に力を込めてへし折るとパキッと小気味のいい音を響かせる。
へし折られた試験管をマットは右手で振るうと、試験管から水柱が立ち、まるで透明のレイピアのような形に変化した。
「神の復活…?どういうことです?」
ハトホルは合点が行かずにいた。
自身は封印されているわけでもなく、命もある。
なのに何故逆に自身の命が奪われようとしているかが全く理解ができなかった。
「おや、そこの少年は現人神のようなので話が早いかと思いましたが…まあ良いでしょう。我が女神の器たる貴女様にはお話致しましょう」
マットはハトホルに柔和な笑みを浮かべると、語り出す。
「世界創生の時、神は三種類の生物を作り上げました。一つは動物。 一つは人間。 
そしてもう一つ、神々が心血を注いで作成した、自身の分身になり得る人間。 それが私や少年、貴女のような現人神の器足り得る物。」
「器…?」
隼人は呟く。
「そう、あくまで私たちの身体は器でしかないですし、通常このような使い方は想定されていなかったと私は考えております。しかし、イレギュラーが発生したのです。人間により封印され、生きたまま肉体を滅ぼされた神々は、魂たる【神核】のみを、封印された遺物の中で眠らせてしまうことになったのです」
「なるほど…つまり器というのは…」
「ええ、器たり得る人間が遺物に触れる事で【神核】は器へと移るのです。ですが、それでもまだ【神核】は目覚めません。なので、刺激を与えて起こしてやることで人の身でありながら神の力を得た存在、現人神が生まれるのですっ!!」
マットは自らの首元にレイピアを当てて、続ける。
「そしてその刺激というのは…器の死、でございます。なに、怖いことではありませんよ、これほどの美のオォールァを放つッ!!!貴女様でしたら間違いなく、我が麗しき大御神、イシュタル様として蘇ることが出来るでしょうから!!!」
「なんかさっきからごちゃごちゃ訳わかんねえことばっか言ってるけどよ、小鳩さんを殺そうとしてるってことで間違い無いんだな ?」
透は指を両手でパキパキと鳴らしながら口を開く。
「殺すとは人聞きが悪い。目覚めさせると言ってほー」
マットが言い終わる前に、一瞬で距離を詰めた透の右拳が顔面にめり込み、言葉を中断させるが、マットは倒れる事なく立ち続けており、レイピアを透の肩へ突き立てようと振り下ろす。
「クソ、間に合ってくれよ…ッ!!!」
隼人は拳に炎を纏わせ、振り上げた腕を目掛けて正拳突きをすると、拳を覆った炎は真っ直ぐと放たれた矢のようにレイピアを持った男の華奢な腕に向かうが、刃が振り下ろされる方が早かった。
切っ先が肩に触れる寸前、アスファルトを貫いて現れた植物のツタがレイピアを弾く。
一歩遅れて放たれた紅蓮の矢を、マットは左にステップを踏んで距離を取りながら躱すと、指爪を自らの歯で噛みちぎり始める。
「違う、違う違う違う違う!!! この権能はイシュタル様の物ではない。 私を誑かしたのだな、魔女め魔女め魔女め魔女めえぇぇぇ!!!! 粛正をぉぉ粛正を粛正をぉぉ!!!…しないといけませんね」
マットは狂ったように目を見開き、手に持った透明のレイピアを地面に投げ捨てると、両手を懐にいれ、指の間に一本ずつの計6本の先程より一回り大きい物を取り出し、ハトホルへと向ける。
投げ捨てられた試験管は砕け散り、アスファルトを濡らす液体と化す。
「チッ、さっきの銃撃か!!」
隼人は2人の前に駆け出し、両手を地面につけると、炎の壁が作られた。
「エンキ神よ、この魔女を討ち亡ぼす力を、我が身にお与えくださいませ」
マットの呟きと同時に、試験管の口から液体が目に捕らえられぬほどの速さで射出される。
「なんとか間に合ったみたいだな…」
「いえいえいえいえ!我が権能の前ではその様な下賎な火の粉などなんの障害にもなりませんよ!!」
放たれた透明な6発の弾丸は軌道を変え、燃え盛る炎を避けると、ハトホルの胸へと目掛けて収束する。
隼人は背後から迫る血だまりによって靴が真紅に染まってゆくのを一瞥すると、言いようのない感情に苛まれ、咆哮を上げた。
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