逢着するのは世の理か

雅蛇

二話:救出

育斗と紗羅は今人間の郷に向かっている。
紗羅は神威を助けに行くため。育斗は師匠を探しに人間の郷に行くため紗羅と共に向かっている。

育斗「ところで、紗羅は何故人間から逃げてきたの?」

紗羅「はい、それは今人間達は高度な文明を築いて私達妖怪を下僕にすると考えているからです。」

育斗「え?そうなの!?僕初めて知ったよ。」

ここで僕は確信がついた。師匠は人間に捕まった、と。





【人間の郷・牢獄】

人間に捕まってしまった神威はもう1人捕まっている妖怪と話をしている。

神威「お前は…!?」

???「俺か?俺の名前は緋呂ひろと申します。九尾です。」

九尾の狐。狐が100年以上生きるとなると言われる。尾が多いほど妖力が強い。

神威「九尾だと!?通りで威圧がすごいなと思ったら…」

緋呂「お主も捕まったのか…」

神威「あぁ…もう1人一緒に逃げてた奴がいたが俺が逃がした。人間やつらの注意を引いてな…」

緋呂「そうか…まっ、ここから出るとするか…」

神威「そんなこと出来るのか?」

すると、緋呂は牢の前に立ち指をパチンと鳴らした。
そしたら、牢の柵が炎に包まれ灰になった。

緋呂「さっ、出るぞ。」

神威「お、おう(すげぇ…さすが九尾だ。)」

緋呂「ここから慎重に行くぞ。人間に見つかったら厄介だからな。」

神威「おう。」

緋呂と神威は人間に見つからぬように脱出を試みる。




【人間の郷・入口】

育斗「ここにその神威が?」

紗羅「はい…おそらくここに居るでしょう。」

ここに多分師匠がいるのか…

紗羅「どうやってはいるのですか?」

育斗「え…?」

紗羅「まさか、そのまま入ろうとかはないですよね?」

育斗「ダメなの?」

紗羅「このままだと捕まってしまいますよ!」

育斗「それもそうか…」

それはそうだ、ただでさえ人間は妖怪を支配したいと考えているのだ。このままだと捕まってしまう。

育斗「…仕方ないここは人間に化けるか…」

紗羅「おぉ!さすがお狐さんですね!」

僕は人間の姿に化けた。
この姿あまり好きではないが仕方ない…
そして、紗羅は獏になった。

僕が紗羅を抱いて、人間の郷の門に近づいた。

人間「おー、これはこれは随分とべっぴんさんな方が来たな。」

  「今すぐ通してあげたいけど身分を証明できるもの持っているかな?」

育斗「今すぐ入れてください。この獏森で怪我をして今すぐ治さなくては行けないんです。どうかお願いします。」

人間「うーん…とは言ってもなぁ…」

  「身分を証明するものだけを見せてくれればいいんだよ?」

育斗「お願いします!早く入らせてください!」

育斗は内心冷や汗をかいている。
そして、恥ずかしさからか少々顔を赤らめながら何度もお願いした。

そして、人間は呆れたのか中に入らせてくれた。

人間「わかった。わかった。入っていいから…ほら。」

育斗「ありがとうございます!ありがとうございます!」

そそくさと人間の郷に入った。

そこら辺の茂みに隠れ紗羅を人の姿に戻した。

育斗「まさかあんなしつこい門番がいるとは……」

紗羅「そうですねー…」

緊張が解けたのか、今になって顔が赤くなった。

育斗「うう…僕なんであんな恥ずかしいことをしたんだろ………。」

紗羅「仕方ないですよ。まさか門番がいるなんて。」

育斗「い、行こうか…」

紗羅「だ、大丈夫ですか?」

紗羅は育斗を気にかけながら神威を探しに行った。

一方その頃神威と緋呂はと言うと。
案の定人間に見つかっていた。

神威「クソッ!もう少しだったのに!」

緋呂「仕方ない…ここは闘うしかないようだな。お主妖怪のおきてはわかるな?」

神威「いい加減お主って呼ぶな!俺は神威だ!!……分かってるよ!襲ってくる人間だけ殺す…それだけだ……。」

緋呂「ほう、よく分かっているな。」

神威「俺を馬鹿にしているのか!?」

緋呂「いやいや、別にしてない…」

緋呂は苦笑いをしながら拒否した。

我々妖怪は基本何もしなければ襲わない。
友好関係を築けるんだがな。
最近人間がこんなことしているから、仕方ないことなのか。

緋呂「行くぞ、神威。足引っ張らないようにな。」

神威「余計なお世話だぜ?」

人間「妖怪が!人様を舐めんじゃねぇぞ!」

  「もう一度牢に戻してやる!」

ざっと数えて100人くらい…いやもっといるのかもしれない。

神威・緋呂「「行くぞ!!」」



育斗「ん?随分と騒がしいな。何かあったのか?」

紗羅「さぁ、何があるのですかね?」

気になるので行ってみることにした。

神威「はあぁぁぁぁぁぁ!」

緋呂「はっ!ていっ!」


育斗と紗羅は人間達のいる所に行った。

紗羅「神威!!」

育斗「師匠!!!」

神威「!?紗羅!?」

緋呂「い、育斗!?どうしてここに!?」

育斗「師匠が中々帰ってこないからわざわざ迎えに来たんですよ!」

緋呂「そうだったのか!それは悪かった!」

紗羅「神威!!助けに来たよ!」

神威「おお!紗羅!ありがとな!だけど今ゆっくり話してる場合じゃねぇ。ちょっと助けてくれねぇか?」

紗羅「え!?わ、私は無理だよ!」

緋呂「育斗!ちょっと助太刀してくれないか?」

育斗「あ、はい!」

僕は刀を鞘から抜き師匠を助けに行った。

人間「ふんっ!1人2人増えたところでどぉってことないわ!」

育斗は颯爽と駆け抜け人間達を切りつけた。

人間「!?なんだコイツは!ぐはぁっ!!!」

緋呂「うむ。さすがは育斗だ。俺が修行させた甲斐があった。」

人間「わっ、わかった。ゆ、許してくれぇー!」

育斗は次々と人間を倒していき人間達は逃げていった。

神威「なんだ?案外ヘタレじゃないか。」

そういい鞘にしまった。

紗羅「神威!」

神威「紗羅!」

紗羅「生きてたんだね!夢じゃないよね?」

神威「夢じゃないよ。ちゃんと俺はここにいるよ。」

神威と紗羅はぎゅっと抱きしめた。

育斗「師匠ご無事で何よりです。」

緋呂「あぁ、すまないな。心配をかけた。」

育斗「ところで、その首にかかっているのは何ですか?」

緋呂「うん?首輪?何これ…外れない…。」

それは、呪いの首輪とも言いべきなのだろうか、禍々しい首輪が付いている。

???「おーほっほっほっほ、もう少しで捕まえられそうだったのに。」

緋呂「誰だ!」

見た目は商人っぽい姿をした人間であった。


???「全くこれだから人間は…まぁ逃げなよ。今捕まえたところで意味は無いからさ。」

緋呂「お前…名前は…。」

し、師匠怒ってる。
師匠はいつもはお主って言っているけど、怒るとお前って言うのだ。

異国の商人「私か?私は…まぁ…異国の商人とでも名乗っておこうか。さぁ、逃げなよ。だけどその首輪は一生外れないよ。残念だったね。」

緋呂「行くぞ。みんな。ここは一旦帰るぞ……。」


3人「「「はい。」」」

緋呂、育斗、紗羅、神威は人間の郷を出た。そして、緋呂の家に行った。

【緋呂の家】

育斗「結局なんだったんですか?あの人」

緋呂「さぁな、ただどうも力を感じない…。」

育斗「どういうことですか?」

緋呂「俺と神威を捕まえたのはあいつだ。おそらくな。ただな、俺たち妖怪を捕まえたのにどうも力を感じないんだよ。」

神威「おそらく、誰かに指示をしているのだろうそうしかない。」

緋呂「ふむ、そう願おうか。」




【妖の森】

???「全く!俺はいつになったら自由になれるんだ!?」

???「ずーっと、私と一緒だよ!お兄ちゃん!!」

???「だから、俺を兄と呼ぶな!いつになったら俺を名前で呼ぶんだ?俺はお前の兄ではない!俺はお前に仕えているんだぞ!」

???「分かったって!お兄ちゃん!」

???「……はぁ……全く!俺に甘えやがって!いつになっても立派な呪術師になれないぞ!」

???「もう!…でも、そう言ってお兄ちゃん、親心があるじゃないですか〜。」

???「べ、別にお前のためじゃねぇし!」

???「あ、ツンデレ」

???「何!?」

???「いえ、なんでも……」

この二人は何者?敵か味方か?

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