ボクの彼女は頭がおかしい。
打ち上げ
「お疲れさま!」
「お疲れー」
「お疲れでした」
「お疲れさん!」
食べ放題のお店で打ち上げ中です。
ライブの成功を祝い、そして今までの苦労をねぎらい合います。
まさに青春って感じです。
「明日から大変だろうね、とくに五月は」と、大雪くん。
「だな。オレの次ぐらいにヤバいだろうな」と、牛くん。
「…もしかすると明日の人気投票、沙紀さんに勝っちゃうんじゃない?」
「あぁ、それ有り得るわ……五月が沙紀に勝ったりなんかしたら、それこそマジで面倒なことになるぜ」
「学年のトップだからね、沙紀さん。プライド高そうだし」
「まぁ、オレは沙紀が勝つと思うけどな」
何やら真剣に語り合っている大雪くんと牛くん。
話題の中心となっている当の本人――五月は会話に交じることなくカルボナーラを美味しそうにほおばっている。
なんとなくその様子が可愛くて、僕は彼女の頭を撫でた。
「で、早瀬はどう思う?」
大雪くんに尋ねられる。
「投票の話?」
「うん。五月が沙紀さんを負かしちゃうんじゃないかって思って。そうなると色々不都合でしょ」
我が校の2日間にわたる文化祭において、毎年、出し物以外にも大きな企画がいくつか用意されている。
その中の1つに、『人気投票』なるものがあるのです。
もう単純に言葉の通り、全校生徒の中でもっとも人気のある生徒を決めようというもの。
男女別部門に分かれ、生徒一人一人が一票ずつの権限を持ち互いにイイと思った人に投票し合うけっこうガチなやつ。
この投票で1位に選ばれると、学校紹介のパンフレットやホームページのトップに代表生徒として写真が記載される。
だから女王(藤堂沙紀さん)みたいな人は死に物狂いで一位を取りに行くんです。
名誉とプライドがかかっていますからね。
ちなみに毎年1位から8位までが公式に発表され、去年の結果は藤堂さんが1位、五月は3位でした。
(一年生でランクインするのは前例のないことだったそうです。ちなみに、藤堂さんが1位を取ったのは、当時から彼女が絶大な権力を保持していたからでして、つまりは何かしらの黒い力が働いたのではないかと。だって――)
「別に五月が勝ってもいいんじゃないの?そもそも五月は世界で1番綺麗なんだから、1位を取って当たり前だと思うんだよね」と、僕は言った。
確かに藤堂さんはものすごく綺麗だ。
世界で活躍するスーパーモデルたちの中に入っていたとしても、決して見劣りしないだろう。
でも、本当にこれは仕方のないことなのだけれど、五月の前ではただの凡人だ。
美しさ、人を惹きつける力、生命力、そのどれを取っても、五月の魅力はずば抜けている。
「は?沙紀のほうが美人だろ、どー考えても」
牛くんが口を尖らせる。
「いやいや、大和撫子的観点からいくと小雪だよね」
大雪くんまで突っかかってくる。
…そっか、みんなカノジョ持ちだ。
さっきから黙々とサラダの盛り合わせを食べている仙人くんも含めて。
「冷静になってみなさい。たとえどの観点から見たとしても五月が――」
「ちげぇだろ!沙紀が――」
「小雪が――」
男3人、バカみたいに言い争っていると、カルボナーラを食べ終えたばかりの五月がいとも簡単に僕らを制した。
「今の会話、全部録音しといたから」
そう言ってニヤニヤしながら、携帯を天高く掲げる彼女。
素早くそれを操作し、数秒後にはニヤニヤの度合いがいっそう増す。
あぁ、撮った動画を小雪さんと藤堂さんに送ったんですね。
「うわ、恥ずかしい」
「マジ最悪」
赤面する大雪くんと牛くん。
そんな2人をよそに、五月は凛としてこう言った。
「1位は沙紀。それはずいぶんと前から決まってることなの。だからもし、万が一沙紀以外の誰かが1位になりそうだったら、わたしはそれを全力で阻止します。だって友達だからね、沙紀は」
うん。
ってことはつまり、自分で自分を阻止するということですよね。
僕も大雪くんと同意見で明日は、今日のライブの影響で五月フィーバーが巻き起こると思います。
もう間違いないです。
さて、彼女は女王との友情を守るためにどう対処するのでしょうか。
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