ボクの彼女は頭がおかしい。
昨日の敵は今日の友②
女王とタッグを組んで牛くんを落とす(恋愛的な意味で)ことになった翌々日の昼休み。
まずは物理的に彼には落ちてもらいましょう。
女王の手下を使って階段から牛くんを突き飛ばし、保健室に来させるように仕向けました。
(凡人なら骨折してる)
事前に女王をベッドに待機させておき、僕はそのベッドの下に隠れる。
保健室の先生にも事情は話しているので、準備オーケー。
「失礼しまーす」
よし、牛くんが入ってきた。
これで保健室には先生と牛くん、女王、それから隠れている僕の四人。
「擦りむいたんで消毒だけでもしてもらっていいっすか?」と、牛くん。
階段から突き飛ばされて擦り傷だけ。
やっぱりバカは違うね。
「はい、じゃあそこに座って……あ…消毒液なくなってる。ちょっと職員室に取りに行ってくるから待ってて」
先生はそう言って、保健室から出て行った。
うん、意味不明な退出理由だけどまぁ良しとしよう。
静まり返る保健室。
「いまです」ベッドの下から静かに合図を出す僕。
それに合わせて、女王が咳き込み「先生……お水を……ください……」という事前に決めておいた台詞を繰り出す。
演技力すげぇ。
そして予想通り、すぐに牛くんが食い付いてきた。
「ん?その声、沙紀か?開けるぞ」
牛くんがカーテンの仕切りを開き、この狭い空間に入ってくる。
ベッドには苦しそうに横たわっている女王。
その下には僕。
「え…何で…牛ピーがここに…………先生は…どこ?」
「すぐ戻ってくると思うけど。ってかお前大丈夫かよ?」
「だい……じょうぶ」
「強がるなって」
「……う、うん。……ホント言うと…ちょっと……苦しい」
「すっげぇキツそうにしてるもんな。沙紀のそういうとこ初めてみるよ」
「…できれば……見られたくなかったな」
「何でさ?」
「だって…………恥ずかしいもの……でも」
「……?」
「もう…見られちゃったから仕方ない…………ねぇ…手…握って……?」
「え……」
ベッドの下にいても、容易に想像できる今の牛くんの表情。
めちゃめちゃ動揺してるんだろうなぁ。
これ全部演技なのに。
「……ダメ…かな…?」
「い、いやいやいや、そんなことないけど、よし、俺でいいなら握りまする」
牛くん動揺しすぎ。
握りまするって。
笑いこらえてるこっちの身にもなってよまったく。
「牛ピー……ありがとう…………」
「ままままいぷれじゃー!!!」
…完全に逝ったようです。
何はともあれ、作戦その一、大成功ですね。
続きまして作戦その二。
女王に、こう作戦を共有しておいた。
これから一週間の間、牛くんのことを避け続けること。
見かけたらいったん目を合わせて、それから恥ずかしそうにして逃げること。
女王もすぐに作戦の意図を理解したのか、異論は出なかった。
ただしそれからの一週間は毎日のように女王から呼び出されてしまい、ものすごく大変だった。
今日はこうだった、とかこれで本当に大丈夫なのか、とかわざわざしなくても良い細かい経過を報告してくる。
ツンデレってこういう人のことを言うのだろうなぁと、心の中で強く思った。
保健室でのあれも、あながち全てが演技というわけではないのかもしれない。
そして一週間後。
「次の作戦を早く教えなさい」と、急かしてくる女王様。
「一緒に帰ることを提案してみてください」と、僕。
「一緒に帰る?」
「そうです。僕の予想ですけど、きっともう告白しても大丈夫ですよ。少しデレを出しながら。あなたのルックスであれば確実に落ちます」
「ホントでしょうね?」
「牛くんとも話してますので、裏は取れています。確実かと」
「そう」
「はい、では失礼します」
「ちょっと待ちなさい」
「何ですか?」
「色々とありがとう」
「…どういたしまして」
少しは認められたということか。
これで五月も安心してくれるだろう。
つまりはミッションクリア。
五月さんに胸を張って報告いたします。
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