ボクの彼女は頭がおかしい。
償い
「明日ちょっと用事入っちゃった」
「……またですか」
最近、五月の行動が不審である。
放課後になると、僕を置いていつもどこかに消えていく。
休みの日も、用事が入ったと言ってデートをキャンセルしてばかり。
なんとなく不安になる。
女王との対決やお祭りでのライブ、そして浴衣事件。
ここ数週間のさまざまな出来事により、もとより高かった五月の知名度がさらにぐんぐんどこまでも止まることなく上がっていっている。
そんな状況だからこそ、普段はクールにキメている僕でも少々不安になっていまうのである。
そういうわけで、今日(日曜日)は五月の後を追ってみることにした。
彼女の自宅前に身を潜め、待つこと数分。
五月が優雅な足取りで玄関先から姿を現した。
バレないようにこっそりと尾行する。
モデルみたいに長い足の彼女。
一歩一歩の歩幅が広いためか、ものすごく歩くのが速い。
僕は短足なので、うん。
尾行には骨を折った。
そして到着したのは、結婚式場。
マジかよ式場。
プランニングから何からお手伝いしてくれるらしい。
しばらくの間ビビッてしまって、建物の前を行ったり来たりしていた。
だってまさか五月が密かに結婚の準備を進めていたなんてそりゃビックリしますよ。
で、やっとこさ決心がついて中に足を踏み入れたらなんてことはない。
五月は、そこでバイトをしていただけだった。
「でも、何でバイトなんか……」
「いやぁほら、早瀬くんの携帯壊しちゃったでしょ?」
「あぁそれね」
「うん、さすがに弁償しなくちゃって思ってさ」
「気にしなくていいのに」
というわけらしいです。
本当に気にしなくていいって言ったんですけど、彼女は譲りませんでした。
とりあえずあと四時間程度(長っ)で今日の仕事が終わるらしいので、待つことにする(待つんかい)。
たまたまポケットに入っていた平家物語の文庫本を取り出し、無常感きわだつあの独特の世界へと、僕は旅立った。
約二時間後、綺麗なお姉さんが僕に声をかけてくる。
「君が早瀬くんかな?」
「はい、そうです」と、僕は答えた。
「ちょっと五月ちゃんが呼んでるから、ついてきて」
何だろう、と思いながらお姉さんに誘導され、奥の部屋に入る。
たくさんの衣装と化粧道具の揃った真っ白な部屋。
その中央に、五月がいた。
ばっちりドレスアップされた僕の女神様。
「どう…かな……?」
恥ずかしそうに尋ねてくる彼女。
正直に言おう。
このとき僕は、強烈な目眩を感じていた。
この人を、何が何でも離しちゃいけないと思った。
ウェディングドレスではないのだけれど、それを髣髴とさせる白のロングドレス。
まばゆい輝きを放つ彼女を見て、思わずこう一言。
「絶対に君と結婚する」
彼女は嬉しそうに笑っていた。
周りのスタッフさんたちも優しい笑みを浮かべている。
そして後から気付いたのだけれど……
五月。
仕事中に何やってんの。
「ボクの彼女は頭がおかしい。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
俺の彼女は学園のアイドル!?
-
81
-
-
担任がやたらくっついてくるんだが……
-
239
-
-
血が繋がってないからあなたに恋してもいいよね
-
81
-
-
地味な俺がなんでモテるの!?
-
240
-
-
好き同士ってめんどくさい
-
62
-
-
ぼっちの俺がギャル風美少女に好かれた件について
-
118
-
-
幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら疎遠だった幼馴染が怖い 〜学年のアイドルが俺のことを好きだなんて絶対に信じられない〜
-
82
-
-
俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件
-
501
-
-
猫好き高校生と人間になった三匹の美人三姉妹
-
84
-
-
僕と彼女たちのありきたりなようで、ありきたりではない日常。
-
482
-
-
僕は彼女に脅迫されて……る?
-
251
-
-
非リア充の俺がまともに恋なんてできるはずがないと思った
-
116
-
-
超絶美少女の彼氏(凡人)は尽くされているが気苦労が絶えない
-
1,027
-
-
俺の周りの女性は全員美少女なんだが必ず何か重大な欠点がある!
-
86
-
-
うちの姉ちゃんはこわい
-
159
-
-
甘え上手な彼女3 秋編
-
364
-
-
先輩はわがまま
-
366
-
-
甘え上手な彼女2
-
563
-
-
後輩は積極的
-
102
-
-
二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?
-
638
-
コメント