【コミカライズ配信中!】消しゴムで始まる制御不能彼女との日常-さっちゃんなんしよ~と?(原題:ボクの彼女は頭がおかしい。)

来世ピッチャー

嵐の前


あの対峙から三日が経過した。

五月は女王からの嫌がらせに耐え続けていた。

それはもう、嫌がらせの典型というか、王道を行くというか、「嫌がらせ」と聞いてパッと思いつくような数々の面倒事である。

なんとか歯を食いしばり、雫さんのためにと我慢を押し通してきた五月。
(五月が攻撃を受ける分、雫さんへの嫌がらせが軽減される)




ところがついに、彼女の我慢ゲージは限界を超えてしまった。

今日の体育の時間。
バスケのゲーム中、五月が女王を突き飛ばしたらしい。

(僕はその場にいたわけではないので正確なことは分からない)

この出来事により、これまでの冷戦状態から新たな第二ステージへと進むことが自動的に決定された。

全面戦争、という名の新ステージである。





昼休み、五月が興奮気味に僕のクラスへと駆け込んできた。

「仲間を集めなきゃ!」

「と、言いますと?」

「一週間後にケリをつけることになったの!だから仲間が!!」

興奮している五月から情報を聞き出すのは並大抵のことではなかったが、それでも僕はやり遂げた。
偉い、うん。

彼女の話を要約してみる。

一週間後、近所の山奥の公園で戦争をするらしい。
男子参加禁止の、殴り合いのケンカで。
(どうツッコめばいいか分からなかったんで殴り合いという点についてはスルーした)

女王の側にはすでに300人近くの兵隊が集まっているとのこと。

この学校の女子の人数はおおよそ500人だから……
厳しい戦いになりそうだ。


「これ以上藤堂沙紀の独裁を許してはいけません。このクラスの皆さんにお願いします、どうかわたしと戦ってください」

五月が教壇に立ち、深く頭を下げた。

「アタシたちは五月ちゃんの味方だよ!!!」
「女王なんかぶっ飛ばしてやりましょう!」
「任せて五月ちゃん!!」

拍手の嵐が巻き起こる。


どうやらこのクラスは、五月の側についたらしい。





それから決戦当日まで、彼女は奔走し続けた。

仲間を集めたり、戦争の計画を練ったり、兵士を鍛え上げたり。
(昼休みにグラウンドで、女子生徒百人程度が筋トレを行っている情景など誰が想像できたであろうか)

男子の参加が認められていないので、僕はただただ彼女を見守った。
(女装して加勢しようかと提案したが、丁重にお断りされた)


牛くんは相変わらずで、そ知らぬ顔をして雫さんを口説いていた。
渦中の人なのに、どういう神経してんだか。


とりあえず僕は、牛くんと雫さんをなるべく近づけさせないように頑張っていた。

雫さんに防犯ベルを持たせ、牛くんの姿を見かけたらそれを押すよう言っておいた。
音量が凄まじかったので、僕はいつでもどこでも駆けつけることができた。

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