ボクの彼女は頭がおかしい。

来世ピッチャー

苦労話


「放課後呼び出されちゃった」

「先生に?」

「ううん、男の子に」

「……またか」





放課後の教室。

五月が誰かさんに告白されるということなので、掃除道具入れの中で待機する。




待つこと数分。

教室の扉の開く音がして、誰かさんが入ってきた。

さて、誰かさんのお手並み拝見。
(掃除道具入れの中なので、以下セリフのみでお送りいたします)


「付き合ってください!」

「……本気なんですか?」

「もちろん!この胸の締め付けられる感じ、まさしく本物の愛です!」

「えっと、君は早瀬くんのこと知ってるのかな?」

「存じております!いつも人生に疲れたような顔をしている人ですよね!」

「そうその人。わたしね、その早瀬くんと付き合ってるんだ」

「……なッ!?」


誰かさん、僕らの仲を知らなかったらしい。
よっぽどネジの飛んだ人なんだろうなぁ。


「だから、ごめんなさい。あなたと付き合う気はありません」

「うむぅ、うむぅ……うぅ。だ、だけどやっぱり俺は諦めきれません!」

「(五月のため息)」

「だって、俺、君のことを愛し始めてるから!」



吹いた。

掃除道具入れの中で吹いた。



「早瀬くんのこと、『いつも人生に疲れたような顔してる』ってさっき言ったよね?」と五月の声。


そうそうそこそこ。

僕もかなり気になってた。

ガツンと言ってやれ、五月。



「あ、そ、えっと、すみません。二人のこと知らなくて!」

「怒ってないから謝らなくていいよ」


はい?
怒ってない?


僕の疑問に構うことなく、彼女は先を続けた。


「早瀬くんがいつも疲れた顔してるのって、実はわたしのせいなんだ」

「どういうことですか?」


「わたしと付き合うと、毎月数十万円かかるのね?だから彼、毎日毎日バイト漬けなのね?働いて働いて汗水流してようやく手にしたお金は、残念ながら全部わたしのために消えていくのね?それだけじゃないよ?他にも、わたしのマッサージしたり、わたしの部屋を掃除したり、わたしの宿題をやったり、わたしのお弁当を作ったり、わたしがヤンキーに売った喧嘩を彼が買ったり、ボーリングでストライクじゃなかったら一枚ずつ服脱いでいったり、UFOキャッチャーの中に閉じ込められたり、まぁ、ものすごく苦労してるわけね?分かった?彼、わたしと付き合うことによって毎日ものすごく悲惨な目に遭ってるの」






誰かさんはビビッて逃げた。


僕は掃除道具入れの中で泣いた。


「あきらめないで~」
彼女は真矢みきのものまねをした。

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