美しい空と恵まれた音

みたま

熱したアスファルト

昨日、人が死んだ。俺の、親友が死んだ。自殺だった俺はその現実を理解しないでいた。いや、理解したくなかった。だって、昨日まで隣で笑っていたのに、なのに。いつもとなりで、俺の名前を読んでいたのに。
「ねぇ彼方!」
彼女に名前を呼ばれた気がした。振り返った。だけどそこには誰もいなかった。
ーなあ咲乃。俺が悪いのか?俺が…ずっとそっけなくしていたから。お前、ずっと悩んでたのか?どうして言ってくれなかった?
…いや違う。俺が気づかなかったんだ。俺が気づいていたら、肩を支えてあげられたら、こんな高い所から飛び降りなかったのか?
咲乃、怖かったろうな

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