光の王女と闇の王子は一つの体で魔法学校に通う

台風12号

第零話 聖戦の終わり

        今ではもう語られることの無い
                    
                    ずっと昔の物語 


  家は燃え尽き灰と化し、見渡す限りあちこちに人や動物の亡骸が転がっている。
そんなまさに地獄のような荒地に二人の戦士がよろめきながら立っていた。

「そろそろ限界じゃねぇのか、光の王女」

自分の剣を杖のようにし、かすれた声で問いかけたのは、魔界を支配する闇の王後継者として名高い闇の王子
                
                 <スレイ・ダグラス> 

「私は守るものがある限り、絶対に諦める訳にはいかないの、そしてあなた達  [闇]が存在し続ける限りは!」

怒り混じりにそう答えるのは、天界と地上を創造せし光の王の第ニ王女
                
                  <セイン・ブライト>

「長く続いた聖戦も、、今日で終わりになるのよ、、貴方達の敗北でね、、。」
  
そう言い再び戦闘態勢に入るセイン。

「おもしれぇじゃねえか光の王女、、それでこそ聖戦の最後の犠牲者にふさわしいってもんだぜ、、。」
ダグラスはセインに剣を向けた後、剣を天に掲げた。
  
「ま、まさかっ!」

 驚きを隠せないセイン。

「終わりだっ!どうする光の王女っ!これをくらえば何も残らねぞぉっ!」

ダグラスにものすごい魔力が集まっていく。
その言葉はハッタリなどではない。
本当にこの国は滅びてしまう力があるのだ。しかし。

「それを使えば貴方の命が!」

そう。この膨大する魔力を体に蓄えるにはむろん、体に負荷がかかる。

「知ったことじゃねぇなぁぁ!俺は負けるのが大嫌いなだけだぁぁ!!」

さらに膨大する魔力を見てセインは

(この戦いで犠牲者を出さないには、この方法しかないの、、?)

いや、最初から迷う意味も、時間も無かった。
決意を固め、セインは目を閉じる。

「怖気付いたか?光の王女!ふんっ!所詮はその程度だったか!?」

ダグラスは、問う。
                  
                      「・・・・・」

     セインは何も答えず目を閉じている

「喋る力も無いってのか、そんなら遠慮無く行かせてもらうぜ!」

肥大化した魔力を己に集中させ、天に掲げた剣をセインに向けて振り下ろした。

                           その時。

               「王女さまぁぁ!!」
       
                    遠くで声がした。
その声には耳を傾けるはずもなく、ダグラスは剣をそのままセインに振り下ろす。
             直撃かと思われたその時。

            セインは目をパッと開いた。
瞬く間に自分の剣を抜き、ダグラスの攻撃
とぶつかり合う。

「やっぱそうじゃねぇとなぁ!!光の王女!!」

セインはダグラスを無視し、ダグラスの攻撃を片手で受け止めながら、先程声のした方に顔を向ける。

「ありがとう!ブラッド、貴方がいないと私は今、この聖戦を終わらせることはできなかった。」

       迷いのない笑顔でセインは叫ぶ。
 光の王女に相応しい美しい笑顔である。

「シカトしてんじゃねぇぞ!光の王女!うぉぉぉ!!!」

                    闇の力が増大する。
              同時に光の力も増大する。
                            光と闇

                            白と黒

                        希望と絶望

              二つの力がぶつかり合う。

「はぁぁぁぁ!!!」

「うぉぉぉぉ!!!」

        二人が全力を出し尽くしたその時
                           ピカッ!
           一瞬、光が二人を包んだ。
急いで近づいてきたブラッドは眩しさをこらえ、目を開く。

          二人の姿はどこにも無かった。


 こうして、第一の戦力を失った天界と魔界は、争うことをやめ別々の世界でまた暮らし始める。つまり、聖戦の終わりである。


                 そして時は流れ、、、




                    「うっ、うぅ。」

ある一人の人物が目を覚ます。そこは美しい丘の上だった。
 
綺麗な海や村が一望できる。

だがその人物は同時に動揺していた。何故ならそこは、全く知らない場所だったからである。

  「まずはこの丘を降りるのが先ね。」

            そう言い立ち上がったのは
                   
                 <セイン・ブライト>












 





初めましての人しかいません笑
どうも、台風12号と言うものです。
第零話を読んでいただきありがとうございます!
この作品は私のデビュー作となっております。
文の書き方や内容も、皆様からしたらまだまだです。
でもこれから必ず上達していくので、応援やお気に入り登録よろしくお願い致します!
それでは第一話でお会いしましょう!

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