異世界から帰還した人類最強はひっそりと生きていたいそうです

しろくまさん


「ただいまー」
「あ、お兄ちゃん、おかえり!」
「ただいま、優奈」


この子は俺の妹で名前は黒崎優奈くろさきゆなだ。


「えと、お兄ちゃん...あの...」
「ん?」


優奈がモジモジしている、なにか言いたいことでもあるのだろうか。


「魔法、教えてくれる約束してくれた...よね?」


そういえば、一回不注意で優奈に魔法を行使するところを見られてしまい、黙っていてもらう代わりに魔法を教えることになったんだ。こういうところはちゃっかりしている妹である。


「あぁ、そういえばしてたな、うーん、魔力を感じるところから始めようか」
「うん!」


妹はかなりのラノベ好きであり、色々異世界転生モノも読み漁っている、そのため魔力や魔法といった概念には詳しく、恐らく俺がコツを教えればすぐにモノにするだろう。


「えーと、血液の循環はわかるよね?」
「うん、この間学校で習った!」
「じゃあ、自分の血の循環の血を魔力に置き換えて考えてみて、心臓から体全体に血じゃなくて魔力が行き渡っていることを想像するんだ。少し違うけど、簡単に言えばそういうことだ」
「うん」


妹は他と比べて魔力が多いほうだ。他の人よりは魔力を感じやすいだろう。


「それじゃあ次は、体の魔力が全て右手の上に集まってることを想像するんだ」
「うん?うん」


一瞬悩んだみたいだが、恐らくラノベ知識で解決したのだろう。


「うーん、想像はできるんだけど何もおこらないよ?」
「あー…魔力のイメージは出来てるんだが、魔力が感じれてないな。うーん...あ、そうだ、俺が優奈に魔力を流す、それを感じてくれ」
「わかった!」


優奈の右手を取り、魔力を注ぐ、すると優奈の顔がピクリと動いた。


「これ...が魔力?」
「そうだ。優奈は俺ほどではないが、他の人間よりは魔力が多い、使いこなせればかなり便利になると思うぞ」
「暖かいね、魔力って」
「そうだな...人から貰った魔力は暖かく感じるな」


その後はすぐだった。魔力を感じることができるようになり、体中の魔力を右手に集めたり、全身にまとわせたり、魔力を放出することもできるようになった。


「次は実際の属性変化だな。火、水、雷、風、土、闇、光...一番安全なのは水と風かな。魔法はイメージが大切なんだ。だから、指先から水鉄砲が勢いよく射出する感じで俺に向かって魔力を指先から放出してみて」
「え、うん...えーと...うん......えいっ!!」


おお、かなり勢いの強い水レーザーが飛んできた。これ鉄板くらいなら貫通できるんじゃないか?


「防護」


勇者じゃなければ死んでいたな。


「す、凄い、あ、お兄ちゃん大丈夫!?」
「大丈夫だ。覚えたての魔法じゃやられないよ」
「そうだよね...良かった。えーと、次は」
「風、と言いたいところだけど、イメージしやすい水に才能があるみたいだから、まずは水を伸ばしていこうか」
「うん、わかった!」






そして、数時間で高水圧レーザー、水の放出、津波レベルの水、水を圧縮した壁、水を足先から噴射して飛行、体に水を纏ったりもできるようになっていた。


水を圧縮した壁だが、どうやらかなりの密度で構成されているらしく、俺が全力で打った炎魔法が相性が悪いとはいえ半分ほど無効化された。のこりの半分は優奈に襲いかかったのだが、事前に体に水を纏っていたらしく無傷だった。怪我をさせてしまったかと慌ててしまったが杞憂だった。妹恐るべし。


優奈...俺と同じ勇者の加護があればもう水魔法に関しては俺よりもできるんじゃないか?

と思った俺であった。





_______________________

めりーくりすまーす

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品