君に「おはよう」と言えたら、後悔はない

akaban42

さようなら1

 私が彼と出会ったのは、多分中学二年になった時のクラス替えの時ぐらいだったと思う。当時の私は恐らく、今とは違って根暗っていうのが似合ってたと思う。そのくらい見た目が暗かった。
 前の髪の毛は長くて、メガネを付けていた。
 私と違って彼はとにかく明るくくて、私と違って人気者だった。それでも、私と彼との間に特に話す機会なんてものはなかったんだけど。
 その時は別段気にも止めていなかった。

ある日の事。
 席替えで彼との席が近くになった。正直どうでもよかった。
次の数学の授業の時、私は宿題を書いてなかった。恥ずかしいし、頼れる人なんていなかった。休み時間のうちに必死に書いてたんだ。そしたら彼が横で問題を教えてくれた。なんでかなとは思ったが、それよりも宿題だと集中していた。
無事に宿題を書き終わる事が出来たんだ。授業の後、彼になんで助けてくれたのかのか聞いたんだ。そしたら、
 『僕に出来ることなんてこんな事くらいしか無いけど、やれる事はやるよ?』
かっこよかったし嬉しかった。その気持ちでいっぱいだったし、それにどこか彼の芯を見た気がしたから。
出来る事をやろうとする精神的なもの。
 だんだん彼に惹かれていった。自分も彼の力になれる事ならやりたいと思っていた。
 だが、その日からか彼から毎日、「おはよう」とか「さよなら」と言われるのがとにかく嬉しかった。教室で一人になったらニヤニヤしてたと思う。

 中学三年生に上がると受験シーズンとなり、彼と話す機会はめっきり無くなった。
私は彼と一緒の高校に行きたいと思った。彼は決して頭が悪いわけではなく、どちらかと言うとよかったと思う。
幸い、頭は悪くなかったから、目指そうと思えば届くところだった。
 ストーカーじゃないかなって思ったけど、唯一の友達 花巻 唯逢ゆいに相談したところ、
 『大丈夫、大丈夫!!ひめちゃん可愛いし、喜ばない奴いないっしょ!!』となんとも頼りにならない温かい(?)お言葉をもらい、疑いを持たなかった。

 無事入学する事が出来たのだが……
 「はぁ……」
 「そう、落ち込まないで!ね?疲れてると思うけど来年に期待してさぁ!」
 夢を見ていたはずが、盛大に裏切られてしまった。
 彼は一組で私は六組と、神様の悪戯にブチギレてもいいところだ。
よくないが、それだけならまだよかったものをイメチェンして、少しでも彼に良いところを見せようとしたところ……
 「俺と付き合ってください!!」
 ……このように放課後、告白を受けるようになった。彼に見せたいと思いやった事なのに彼に見てもらえない。気づいてもくれないストレスから憂鬱の日々を送っていた。正直嫌がらせかなとイライラしている。
 「すいません、もう心に決めた人がいるので。」
(はぁ……来年こそは!来年こそは彼と一緒のクラスになれますように!!)



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