君に「おはよう」と言えたら、後悔はない

akaban42

おはよう5

 気がつけば、あっという間に授業が終わっていた。クラスには部活に行く準備をする者や、家に帰ろうとする者。そして、生徒会室に向かおうとする者がいた。それは、僕と健咲だ。
 「悪いな健咲、なんだが付きあわせるような事して。
部活大丈夫だったのか?」
 「気にすんな!火曜日はいつも休みだからな!それに友人からの頼みだ!部活よりも大事だ!」
 いい友人を持ったと思うが、サッカー部のキャプテンと生徒会の活動を同時にこなして潰れしてしまわないか、正直のところ心配だ。いや、心配じゃない。そん時は俺が助ければいいか。
  「それより……敏樹よ、ここに呼んだのは安積さんのことだろ?」
  「まぁ、そうなんだ。いつも挨拶してくれるんだが、今日はなんかとても機嫌が悪そうだっただろ?なんかあったのかなって不安になるし、自分自身もなんか調子がおかしくなるんだ。」
健咲は僕にとって唯一と言っていいほど、全てを話せる友人だ。包み隠さず全てを話す。
「……めんどくさいなこいつら。」
 はっきりとは聞こえなかったがめんどくさいなこいつらという部分だけは聞き取れた。
 「何がめんどくさいだ!?こっちはこれでも真剣だぞ!?」
半分怒り。もう半分はって?狂いじゃないかな。
 「わ、分かってるって!ちょっと落ち着け!」

あれから数分がたち、少し落ち着き、さっきの取り乱したのに恥ずかしさを覚える。
 「すまない、取り乱してしまった。」
生徒会室にあったポッドを使い、ココアを一服(?)
 「お前落ち着き方が異様なんだけど……」
 「まぁ、話を戻すがなんで今日の安積さんがおかしかったか分かるか?」
 「それは分からないかな。だが……」
 「だが?」
 「お前は自覚した方がいい。自分が安積さんの事をどう思っているか。」
 「どうって……」
 僕にとって安積さんは大事な人で……違う違う。いつも挨拶をしてくれて、常に意識している人で……何考えてんだ!?僕がどう思ってようと彼女は美人で僕が。
 また、ふと健咲の言葉を思い出す。
 『恋してみようぜ。』
……僕が彼女に恋をしてたって叶うはずがない。
 「……色々考えて、思いつめてるようだが、やってみなきゃ分かんないだろ?それに行動しなきゃ、何も変わんないんだぜ?」
 それでも……と自分にはっきりしないでいた。こんなにも優柔不断だっただろうか?
 「今日一日考えても分かんないなら俺にまた、相談しろ!ヒントぐらいはやる!」
そう言い、爽やかな笑みを浮かべていた。女子なら即落ちだろ。
 「ははっ、そうだよな。ありがとう健咲。でも、大丈夫これは僕が答えを出さないといけないからな!」
 健咲は一瞬、驚いたような顔を浮かべ、また爽やかであいつらしい笑顔をしたのだった。
 「あっ?ヒントぐらいはくれよ?」
 「ははは!できたらな!」
 そういえばなんかまた大事なこと……
 あっ……あいつ響華のこと忘れてた。

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