魔神と落ちこぼれの魔術師

モモ

襲撃(前編)

職員室で色々あったが、俺達は無事帰路についた。
と言っても、まだ学園の敷地内の校庭なんだけど。

「で、何でこうなった訳? シュターデさんと松川君はともかく、こんなのと一緒に帰らないといけないなんて!」
九条が俺と陽平を指差し、汚い物を見るような目で言った。
こんなのって、流石にあんまりじゃないか。

「学級委員同士の親睦を深め」
「どうして一緒に帰ることがそれに繋がるの!?」
「突っ込みが早いです、委員長様。台詞ぐらい最後まで言わせ」
「だから、その一線引いたような陰険敬語口調やめてって言ってるでしょ!」
「善処します」
「今すぐやれ!」

俺と九条が会話していたら笑われてたよ、エミリアとか松川とか陽平とか橘に。
うん、数えてみるとここにいる全員だった。

「とっ、とにかく! 私は寮生なの! まさかあなたも寮生とか言うんじゃ……」
皆からの視線に九条も気付いたらしく、少し顔を恥ずかしそうに赤くさせ、言葉を紡ぐ。

「あ、俺は違うぞ」
「そっ、そうなの。良かったわ」
「陽平は寮生だけどな」
「いやぁぁぁぁああああああ!」
両手で頭を抱え、九条は絶叫している。

してやったり……
やっと小さいけど報復に成功したよ。
結構、良い気分だ。

「妙に静かだ」
不意に、今まで無言だった松川が呟いた。
絶望状態の九条も、また彼女の言葉で涙目だった陽平もピタリと動きを止める。

「下校時刻も過ぎてるし、皆帰ったからなんじゃないかな?」
俺もエミリアの意見に賛成だ。
でも下駄箱を出て以来、誰も見掛けていないのはちょっと変だと思う。

「そうかしら? 職員一人ぐらいは見掛けると思うし、部活をしてる人が誰ひとりもいないなんておかしいわよ」

「何だよ、その不安を煽るような口調は。今から怪奇現象でも起きるってか?」

「馬鹿?」

「普通に馬鹿って言われた! 何とか言ってくれよ、翔護!」
口喧嘩で瞬殺された陽平が必死に訴えてくる。
とりあえず頑張れ、と言葉を掛けてやろうと思った時、橘が信じられないような表情で呟いた。

「魔力……反応?しかも、これは旧魔術」
橘の手には一枚のトランプのようなカード。
その中央には幾何学模様ともとれる、ややこしい魔法陣が。

恐らく術式構築をサポートする魔具カードと、術式の記憶維持の役割を果たす魔法陣を組み合わせているのだろう。
って、何故そんな事俺が解るんだ。

「橘、詳しく教え」
「近い……いや、直ぐそこ!」
瞬間、校庭の一角で爆発音と共に視界を埋め尽くす程の閃光が広がった。









少年は、雲一つ無い青色の空だけが広がっている空間に立っていた。

青髪に青い瞳。
青髪の少年は口元を歪める。
「まさか、鍵がここで覚醒しようとするとはね。これは想定外だったかな……」

少年は右手を上げる。
「せっかくだけど、もう少し眠ってもらうよ。今、ここで君に目覚められると少し困るんだ。」
少年の上げた手の先から青色の粒子があふれ出始める。
「なあに……最高の舞台を用意するし、必ず覚醒させてあげる。」
少年は笑みを浮かべて呟いた。
「だから、安心して眠ると良いよ」

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