不遇職テイマーの成り上がり 〜スキル【吸収】でモンスターの能力を手に入れ、最強になる〜
第35話 テイマーは友達を作った
シャルとレナは二人で買い物に行くということで、今俺は一人で図書館に向かっていた。
街の中は露店が多く立ち並び、歩いているだけで結構楽しかったりする。
レナがシャルに買い物に行こうと声をかけるのも納得だ。
露店が立ち並ぶ通りを抜けると、広場に出た。
その中央付近に掲示板を見つけたので、貼られている記事を見てみることにした。
【武術祭いよいよ開幕!】
武術祭の開催を知らせる記事だった。
明日から3日間、闘技場で参加希望者のエントリーが行われるようだ。
開催されるのは、まだ1ヶ月とちょっとぐらい先だが、参加希望者は早めにエントリーを済ませておく必要があるようだ。
……掲示板見といてよかったー。
この情報知らなかったら、モンスターを狩りに出かけて、武術祭に参加出来ないところだった。
危ない危ない。
胸をホッと撫でおろし、掲示板を後にした。
王都に来て、まだ2日目ということもあって少し道に迷ったりもしたが、無事図書館に到着することが出来た。
適当に各国の事が書かれていそうな本を手に取って、長机の前にいくつも置かれている椅子のうちの一つに座る。
俺が手に取った本は、『氷の王国』という題名の本だ。
ずっと北の方へ行ったところに、凍えた大地があるようだ。
そこは、1年中雪が降り続けている場所らしい。
ぺらっ……ぺらっ……と本のページをめくっていると、
「本、お好きなんですか?」
突然横から声をかけられた。
なんだなんだ。
声の主の方を見ると、高貴な服装に包まれた女の子がそこにいた。
丁寧な口調で話しかけられたので、こちらもそれに応じよう。
「好き、というか知識をつけるのは大事かなと思ってます」
「そうですね、大事なことだと思います。でも、あなたはこんな風に……にこっとしながら本を読んでいましたよ」
そう言って、女の子は満面の笑みを向けてきた。
いやいや、本読みながらそんな表情してたらやばい奴だって。
確かに今読んでいるところは少し面白いかなと思うけど、そんな笑顔で本を読んでいるわけない、はず。
「僕は、そんな笑顔で本を読んでいたんですか?」
「はい、とっても可愛らしい笑顔でしたよ」
それはこっちのセリフなんですけどもね。
てか、そんなところ見られていたとか恥ずかしいな。
シャルとかレナにも見られていたのだろうか。
「いやー、お恥ずかしいです」
頭をかきながら、俺はそう言った。
「そんなことないですよ。読書を楽しむのは良い事です」
「そうですかね」
「そうですよ。あ、こちらの椅子に座ってもよろしいですか?」
俺の隣にある椅子の事だ。
断る理由もないので、
「いいですよ」
と伝える。
「ありがとうございます。私、友達がいないので、こういった場所で友達を作ろうと努力しているのですよ」
それは嘘だろう。
友達を作るのには十分過ぎる社交性を兼ね備えていると思うのですが……。
「そうなんですか? 友達がいない様には全然見えませんよ」
「ふふふ、それは嬉しいですね。ですが、友達は本当にいないのですよ。学園の方々に話しかけても何故か無視されてしまうのです」
ヴァスノスには貴族が通う学園がある。
つまり、この子も貴族ということになる。
それにしても悲しそうな表情だ。
この子は、きっといじめられているのだろう。
俺も坑夫として働いていたとき、理不尽としか思えないいじめを受けていたから気持ちはよく分かる。
ならば、こんなときぐらい俺が友達として接しよう。
「そうですか、それは悲しいですね。それなら、俺と友達になりましょう」
「……え? いいのですか?」
「もちろん、でも俺は冒険者だからヴァスノスにいつまでいるか分からないけどね」
「嬉しいです。ありがとうございます」
「感謝することでもないよ。優しそうな人だと思ったから、俺も友達になりたいと思っただけだよ」
「いえ、私は優しくなどないです。優しいのはあなたの方ですよ」
うーん、俺って優しいか?
ゴブリンを狩るときだって、ゴブに同族を騙させて倒してた訳だし、結構ひどいことしてる気がするけど。
まぁ、優しいと思われているならそれでいいか。
と、こういう考えに行きつくあたり、実際俺は優しくないのだろう。
「じゃあ友達になったことだし、名前を教えてくれよ」
「クラリスと申します。あなたは?」
「俺はアレン。それと、喋り方とかこんな感じでも大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。寧ろそちらの方が友達って感じがしていいですね」
「それはよかった」
本当によかった。
かしこまった喋り方はあんまり好きじゃないんだよな。
友達になろうみたいなところぐらいから結構素になってきてるし。
「クラリスは、どんな本を読むんだ?」
「魔導書ですね。魔法の理解を深めることで、様々な魔法を扱えるようになるんですよ」
「ってことは、クラリスの職業は魔法使いか」
「そんな感じですね」
口振り的には、魔法使いではないようだが、魔法がメインの職業であることは確かだろう。
魔法職は戦闘以外にも色々な場面で活躍できるため、数ある職業の中でも大当たりと言える職業だ。
テイマーのような不遇職とは違うのに、彼女は何故学園でいじめられているのだろうか。
そう思ったが、変な詮索はするべきじゃないなと反省した。
街の中は露店が多く立ち並び、歩いているだけで結構楽しかったりする。
レナがシャルに買い物に行こうと声をかけるのも納得だ。
露店が立ち並ぶ通りを抜けると、広場に出た。
その中央付近に掲示板を見つけたので、貼られている記事を見てみることにした。
【武術祭いよいよ開幕!】
武術祭の開催を知らせる記事だった。
明日から3日間、闘技場で参加希望者のエントリーが行われるようだ。
開催されるのは、まだ1ヶ月とちょっとぐらい先だが、参加希望者は早めにエントリーを済ませておく必要があるようだ。
……掲示板見といてよかったー。
この情報知らなかったら、モンスターを狩りに出かけて、武術祭に参加出来ないところだった。
危ない危ない。
胸をホッと撫でおろし、掲示板を後にした。
王都に来て、まだ2日目ということもあって少し道に迷ったりもしたが、無事図書館に到着することが出来た。
適当に各国の事が書かれていそうな本を手に取って、長机の前にいくつも置かれている椅子のうちの一つに座る。
俺が手に取った本は、『氷の王国』という題名の本だ。
ずっと北の方へ行ったところに、凍えた大地があるようだ。
そこは、1年中雪が降り続けている場所らしい。
ぺらっ……ぺらっ……と本のページをめくっていると、
「本、お好きなんですか?」
突然横から声をかけられた。
なんだなんだ。
声の主の方を見ると、高貴な服装に包まれた女の子がそこにいた。
丁寧な口調で話しかけられたので、こちらもそれに応じよう。
「好き、というか知識をつけるのは大事かなと思ってます」
「そうですね、大事なことだと思います。でも、あなたはこんな風に……にこっとしながら本を読んでいましたよ」
そう言って、女の子は満面の笑みを向けてきた。
いやいや、本読みながらそんな表情してたらやばい奴だって。
確かに今読んでいるところは少し面白いかなと思うけど、そんな笑顔で本を読んでいるわけない、はず。
「僕は、そんな笑顔で本を読んでいたんですか?」
「はい、とっても可愛らしい笑顔でしたよ」
それはこっちのセリフなんですけどもね。
てか、そんなところ見られていたとか恥ずかしいな。
シャルとかレナにも見られていたのだろうか。
「いやー、お恥ずかしいです」
頭をかきながら、俺はそう言った。
「そんなことないですよ。読書を楽しむのは良い事です」
「そうですかね」
「そうですよ。あ、こちらの椅子に座ってもよろしいですか?」
俺の隣にある椅子の事だ。
断る理由もないので、
「いいですよ」
と伝える。
「ありがとうございます。私、友達がいないので、こういった場所で友達を作ろうと努力しているのですよ」
それは嘘だろう。
友達を作るのには十分過ぎる社交性を兼ね備えていると思うのですが……。
「そうなんですか? 友達がいない様には全然見えませんよ」
「ふふふ、それは嬉しいですね。ですが、友達は本当にいないのですよ。学園の方々に話しかけても何故か無視されてしまうのです」
ヴァスノスには貴族が通う学園がある。
つまり、この子も貴族ということになる。
それにしても悲しそうな表情だ。
この子は、きっといじめられているのだろう。
俺も坑夫として働いていたとき、理不尽としか思えないいじめを受けていたから気持ちはよく分かる。
ならば、こんなときぐらい俺が友達として接しよう。
「そうですか、それは悲しいですね。それなら、俺と友達になりましょう」
「……え? いいのですか?」
「もちろん、でも俺は冒険者だからヴァスノスにいつまでいるか分からないけどね」
「嬉しいです。ありがとうございます」
「感謝することでもないよ。優しそうな人だと思ったから、俺も友達になりたいと思っただけだよ」
「いえ、私は優しくなどないです。優しいのはあなたの方ですよ」
うーん、俺って優しいか?
ゴブリンを狩るときだって、ゴブに同族を騙させて倒してた訳だし、結構ひどいことしてる気がするけど。
まぁ、優しいと思われているならそれでいいか。
と、こういう考えに行きつくあたり、実際俺は優しくないのだろう。
「じゃあ友達になったことだし、名前を教えてくれよ」
「クラリスと申します。あなたは?」
「俺はアレン。それと、喋り方とかこんな感じでも大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。寧ろそちらの方が友達って感じがしていいですね」
「それはよかった」
本当によかった。
かしこまった喋り方はあんまり好きじゃないんだよな。
友達になろうみたいなところぐらいから結構素になってきてるし。
「クラリスは、どんな本を読むんだ?」
「魔導書ですね。魔法の理解を深めることで、様々な魔法を扱えるようになるんですよ」
「ってことは、クラリスの職業は魔法使いか」
「そんな感じですね」
口振り的には、魔法使いではないようだが、魔法がメインの職業であることは確かだろう。
魔法職は戦闘以外にも色々な場面で活躍できるため、数ある職業の中でも大当たりと言える職業だ。
テイマーのような不遇職とは違うのに、彼女は何故学園でいじめられているのだろうか。
そう思ったが、変な詮索はするべきじゃないなと反省した。
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コメント
ノベルバユーザー385074
続きがとても気になる